六十四卦

六十四卦 意味・読み方

火山旅|意味・卦辞爻辞解説(かざんりょ)

資料説明周易と高島易断をもとに整理
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。

引

一言で読む

自分の根の上にいない時は、大きな亨通より小さな通りを求めます。

卦象と卦名

旅は上卦が離で火、下卦が艮で山です。山には固定した位置がありますが、火は山の上に附くだけで、燃え過ぎれば去り、長くは留まりません。山は旅人がしばらく身を寄せる場所にあたり、火は外で漂う人の状態にあたります。だからこの卦を旅と言います。

卦の中心的な意味

離には麗、すなわち附くという意味と、別れるという意味があります。本家を離れ、外に附いている。それが旅です。人が故郷、親族、地盤を離れて他郷に身を寄せる時、本位にいる時のように大きく事を成すことはできません。だから卦辞は小亨と言い、大亨とは言いません。

卦辞は「旅は、小しく亨る。旅は貞にして吉」と言います。旅の中でしばらく頼れる所を得て、自分を保てるだけでも小亨です。本当の吉は、外で大きく得ようとするところにはありません。旅人の正道を守るところにあります。柔らかく人に接し、環境を明らかに見て、貪らず争わず、来る時は来て、去る時は去ります。

向いている問い

旅を得たら、まず自分が客の立場にいると考えます。仕事なら外任、臨時、出張、流動の商い。関係なら、一時的に通じ合っても長くは安定しにくいところです。財なら素早く動かし、滞貨を避けます。訴訟や争いは早く終えるのがよいでしょう。

旅の大きな戒めは、一時の宿を永久の根拠地と思い込まないことです。

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卦辞

一言で読む

旅先で狙うべきは大成功より身の保ち方で、客の分を守るほど吉になります。

原文

旅:小亨、旅貞吉。

書き下し文

旅は、小しく亨る。旅は貞にして吉なり。

現代語訳

旅は少し通じます。旅は正しくして吉です。

卦辞の読み解き

旅は羈旅です。人が外地にいて本居を失い、孤身で宿ることを言います。古人は遠く異国へ赴くことを悲事としました。地盤、人情、資源、名分が自分の手にない以上、本地、本職、本家にいる時のような大通達は期待できません。

しかし旅は、まったく成らない卦でもありません。依る所を得ること、住む所があること、資財があること、信じられる人がいること、明らかな判断があること。これらがそろえば、自分を保ち、小亨を得られます。旅の貞は、客居の正であって、主人の正ではありません。自分はしばらくいるだけだと知り、越位せず、居座らず、細かく争わず、強く求めないことです。

旅の道は、柔和と明察の両輪で進みます。剛に過ぎれば傲りとなり、傲れば人と和せません。明がなければ暗くなり、昧ければ身を保てません。旅人は人情に柔順でありながら、ぼんやりしてはいけません。環境に附きながら、自分の準則を失ってもいけません。

実際の読み方

新しい都市、新しい職場、外地の案件、臨時の関係、知らない集まりにいるなら、すぐ主になろうとしません。

まず安全な住処、信頼できる資源、重要な証拠、頼れる人を探します。そのうえで規則、人間関係、危険を見ていきます。旅は賢い客であれと言い、乱暴な主人になれとは言いません。

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彖曰

一言で読む

止まる力と見る力がそろうから、客の身でも小さく通じます。

原文

旅、小亨、柔得中乎外、而順乎剛、止而麗乎明、是以小亨、旅貞吉也。旅之時義大矣哉!

書き下し文

旅は小しく亨る、柔外に中を得て、而して剛に順い、止まりて明に麗く、是を以て小しく亨り、旅は貞にして吉なるなり。旅の時義大なるかな。

現代語訳

旅は少し通じます。柔が外で中を得て、剛に順い、止まって明に麗くので、小しく亨ります。旅は正しくて吉です。旅の時の意義は大きい。

彖伝の読み解き

序卦伝は「豊は大なり。大を窮むる者は必ず其の居を失う、故にこれを受くるに旅を以てす」と言います。豊盛が極端まで進むと、かえって本居を失いやすいので、そこで旅になります。旅は観光だけを指しません。人がもとの安定した位置を離れ、外地、外位、外縁に入ることを言います。

人生には旅のような時が多いものです。士人は笈を負って遠く学び、商人は貨物を載せて出行し、使臣は異国へ赴き、普通の人も故郷を離れて生きることがあります。国家にとっても商旅が流通してこそ財用が通じ、個人にとっても外へ出て経験してこそ見聞が広がります。

旅の卦徳は、内に艮、外に離です。艮は止まることを主ります。止まる力があれば、乱れた宿を選ばず、乱れた行動もしません。離は明を主ります。明があれば、どこへ行くか、誰と交わるか、いつ手を引くかが分かります。止まるだけで明がなければ、その場で行き詰まります。明だけで止がなければ、あちこちで災いを招きます。二つが合って、旅の正道になります。

実際の読み方

旅では、行けるかどうかだけでなく、どこで止まるかを問います。出張なら住処、契約、帰路を決めます。案件なら境界、納品、退出の条件を明らかにしておきます。

感情なら、一時の出会いなのか長い関係なのかを見ます。投資なら、いつ売るかを先に考えます。旅の知恵は、動く中にも止まる所を持っておくところにあります。

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象曰

一言で読む

外での争いは長引かせません。明らかに慎んで裁き、獄を留めません。

原文

山上有火、旅、君子以明慎用刑、而不留獄。

書き下し文

山上に火有るは旅なり。君子以て明慎にして刑を用い、而して獄を留めず。

現代語訳

山の上に火があるのが旅です。君子はこれを見て、明らかに慎んで刑を用い、獄を留めません。

象伝の読み解き

山上の野火は、燃え過ぎれば去り、長くは留まりません。旅人も同じで、一つの土地に長く絡まってはいられません。刑獄や訴訟も長引けば、旅の中の絡みと同じで、遅れるほど解きにくくなります。

離は明なので、情実をよく見ます。艮は止なので、慎みと境界があります。法は山のように動かず、奸を照らすことは火のように明らかであるべきです。明で慎むから冤を作らず、獄を留めないから、問題を長期の怨みへ変えません。

この象は豊と対になります。豊は「獄を折め刑を致す」と言い、盛時には明断が必要だと説きます。旅は「刑を用い、獄を留めず」と言い、客の立場、外地、臨時の事だからこそ早く終えよと説きます。人が外で官司、争い、債務、誤解に巻き込まれたとき、引き延ばしが最も傷になります。

実際の読み方

訴訟、紛争、契約、苦情を問うなら、旅は早く明確に終えることを勧めます。証拠は明らかにし、態度は慎み、手続きは急ぎます。

外地の小さな争いを、長いもつれにしません。体面のために最後まで争い切るのも得になりません。旅中で最も貴いのは、身を抜くことです。

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占断

一言で読む

軽く速く動き、資金と人と証拠を守って早く結べば小さく通じます。

総合的な占意

旅で大切になるのは、資源、住処、助け手、証拠です。住処がなければ心が定まりません。資財がなければ行動が不便になります。童僕や助け手がなければ事は成りにくく、明察がなければ環境に引きずられます。

項目別の占断

  • 時運と旅:運はまだ全盛に至りません。よく見極め、慎んで軽く速く動き、災いに遭えばまず離れます。
  • 経営と功名:外へ運んだ商品は長く積まず、届けば売ります。外地で能力が見えれば、登用の機会もあります。
  • 戦いと競争:速度と明察を重んじ、火災や一時的な拠点の喪失を防ぎます。
  • 婚姻と家宅:関係が早く成ることはあっても、長期安定とは限りません。住まいでは防火と急な移動に備えます。
  • 病・訴訟・行人:急な症状は速やかに受診します。争いは早期に結び、旅人には早く帰る象があります。

六爻の要点

  • 初六:旅先で小事と小利にこだわるほど居場所が狭まり、自ら災いを招きます。
  • 六二:宿、資金、信頼できる助け手がそろえば、旅はひとまず安定します。
  • 九三:宿を焼き、助け手も失う重い危機では、人と身と拠点を守ることを優先します。
  • 九四:一時の宿と道具を得ても本来の位置ではないため、自衛はできても心は安まりません。
  • 六五:腕前で要所を射止めれば、小さな損と引き換えに名誉と任命を得ます。
  • 上九:旅の極みで高ぶり危うさを忘れると、最後の居場所と支えを失い、喜びが悲しみに変わります。

実際の読み方

外へ出て用を足す、外地で財を求める、臨時に協力する。どの場合も、軽装で速く動き、承諾を少なくし、貨物を積み過ぎず、争いを減らします。

現金、証明書類、契約書、連絡先、住処を整えます。旅は、外へ出るなとは言いません。外へ出るなら旅人としての規律を持てと言います。

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初爻

一言で読む

小利や小怨を数えるほど、客の居場所は狭くなります。災いは自分持ちです。

原文

初六:旅瑣瑣、斯其所取災。

書き下し文

初六、旅して瑣瑣たり、斯れ其の災いを取る所なり。

現代語訳

旅して瑣瑣とします。これはその災いを取る所です。

爻辞の読み解き

初爻は最下にあり、旅人になったばかりの人です。瑣瑣とは、小さく、細かく、浅いことを言います。外にいる人にはもともと根がありません。それなのに一銭一厘、小利小怨を細かく争えば、旅舍の主人、同伴者、土地の人と合わなくなり、最後には身を置く所まで失います。

ここでの「所」は居処と取ります。旅をしてその所を失えば、容れてくれる地がありません。象伝の「志窮まる災いなり」が言っているのは、外が必ず害してくるという話ではありません。志量が窮まり、器量が小さく、処世が狭いので、自分で災いを取ってしまうということです。

実際の読み方

時運は、出身や境遇が低く、孤身で客となるので、大きな利は得にくいところです。経営は資本が小さく、事業も卑近なので、小さな災いを防ぎます。功名は得られても高くはなりません。

戦いでは兵力が薄く、勝ちにくくなります。家宅は小戸で委瑣の象ですが、慎めば災いを免れます。婚姻は名門との厚い縁になりにくいでしょう。病は初起の小病なら治せます。

高島の占例

ある友人が気運を問うて、旅が離に変じる初六を得ました。高島は、人生は寄るようなもので、天地もまた逆旅だと説きました。財を散じて衆と和すれば四海は皆兄弟となり、財を集めて怨みを取れば平らな道も茨になります。委瑣に利を追えば、必ず身を容れる地を失います。大度寛容で、小さな財を惜しまず、怨みを招かず、忠信篤敬をもって世に処するべきだという断でした。

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二爻

一言で読む

宿があり、資があり、助け手もいます。旅としては十分な安定です。

原文

六二:旅即次、懐其資、得童仆貞。

書き下し文

六二、旅して次に即き、其の資を懐き、童仆の貞を得。

現代語訳

旅して宿に就き、その資財を懐き、童僕の正しさを得ます。

爻辞の読み解き

即は就く、次は旅舍を指します。資は金銭や貨物、童僕は随行して助ける者です。旅人が外にいて、住む所を得、身に資財があり、さらに信頼できる人の助けを得る。旅の中では、なかなか得がたい安定です。

六二は柔中で正に居ります。だから内では自分を失わず、外では人を失いません。金があるので慌てず、人がいるので孤独にならず、住処があるので漂いません。爻辞は大吉とまでは言いません。旅の中では、災いを免れて身を保てるだけで十分によいからです。

実際の読み方

時運は、財があり人があり、位置も中正なので大きな憂いはありません。経営では財を得て利を謀り、人を得て共に事を運べます。遠い土地で客となっても安んじられます。

戦いでは軍餉が足り、兵卒も順うので、攻戦に力があります。家宅は寄居の宅ですが、財用が豊かで人も正しく居ります。婚姻は入婿や富家に寄る象があります。病は外地で病んでも、看護する人を得て癒えることがあります。

高島の占例

明治十七年に高島が九州を遊歴した時、ある石灰坑の社員が坑業を占って、旅が鼎に変じる六二を得ました。本社は東京にあり、遠く九州で坑業を営んでいるので、諸人は皆旅にある。この爻には財も人もあり、上下の用人は正直無私なので、本来は憂いがない。そう読んだうえで、三爻には焚次喪僕の象があるから翌年の火災を防ぐべきだと警告しました。五爻の後は名誉を得るものの、上爻にも焚巣の恐れがあるため、五年内は予防が必要だとしています。

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三爻

一言で読む

宿が焼け、助け手も去ります。正しくしていても、この位置は危ういままです。

原文

九三:旅焚其次、喪其童仆、貞厲。

書き下し文

九三、旅して其の次を焚かる、其の童仆を喪う、貞なれども厲うし。

現代語訳

旅先で宿を焼き、童僕を失います。正しく守っても危ういです。

爻辞の読み解き

三は内卦の極で、艮から離に入ります。離は火なので、焚く象があります。次は旅舍、童僕は随行の助け手です。旅舍が焼ければ居る所を失い、童僕を失えば助けを失います。旅人が最も頼る二つが、同時に失われます。

火災は童僕の不注意から起こることもあれば、童僕の過ちでないこともあります。どちらの読みも成り立ちます。しかし災いの後、童僕が主人の責めを恐れて背き去ることがあるので、「其の童僕の貞を喪う」と言います。爻辞は「貞なれども厲うし」とも読めます。邪な事をしていなくても、旅中の位置そのものが危うければ、危険は残ります。

実際の読み方

時運は破敗が重なり、危険も大きくなります。戦いでは火攻めを防ぎ、さらに軍心が散って戦わずに崩れることを防ぎます。経営では突発の災いを警戒します。

功名は目先には成りにくいので、後の運を待ちます。婚姻は一時成りにくく、白頭まで続くかどうかも疑わしいところです。家宅は火災を防ぎます。病は本人が癒えても、子女や身辺の助け手に障りが出ることがあります。失せ物は下属や随行者に関わることが多くなります。

高島の占例

真言宗の雲照律師が宗教の盛衰を問うて、旅が晋に変じる九三を得ました。高島はまず旅卦として、雲照が本山を離れ、世外を雲遊する姿は旅そのものだと読みました。しかし禅者にとっては、四大が禅房であり、六道が逆旅ですから、衣鉢、童僕、焚失を必ずしも憂える必要はありません。変卦の晋は明が地上に出る象なので、仏日長明、宗教はむしろ日々進んで盛んになると解しました。

次へ:四爻

四爻

一言で読む

宿も道具も得ました。それでも位ではないので、心は快くありません。

原文

九四:旅于処、得其資斧、我心不快。

書き下し文

九四、旅して処り、其の資斧を得、我が心快からず。

現代語訳

旅してそこに処り、その資斧を得ます。わが心は快くありません。

爻辞の読み解き

処は、次よりも、しばらく安んじる場所に近い言葉です。資斧は旅中に必要な財物、道具、防衛の備えを指します。四は離に入り、外へ向かって見られ、用いられ、利を求める位置にあります。何かを得てはいますが、まだ位を得たわけではありません。

二爻の資は自分が懐いているもの、四爻の資は外から得るものです。だから「得」と言います。食宿、旅費、護衛、工具を得るのは、ないよりよいことです。しかし旅人の志願は、そこでは終わりません。位を得たい、用いられたい、真の名分がほしい。そこに届いていないので、心は快くありません。

実際の読み方

時運は盛運がまだ至らず、得るものも限られます。経営は外で販売や輸送をして小さな利がありますが、望みを満たすほどではありません。功名は一時得られず、来年を待てば成ることがあります。

戦いでは敵の糧を得ることはできても、大勝までは至りません。婚姻は嫁資が厚くても名分が偏る象になります。家宅は位置が不当です。病は心の病、望みが遂げられない憂いから来ることがあります。失せ物は戻ります。

高島の占例

ある貴顕が、友人が外国公使の命を受けた後、別に望むことが成るかどうかを問いました。出たのは旅が艮に変じる九四です。高島は、外国へ使いすることは旅の象であり、使臣は遠く行って、行くには食があり、宿るには館があるので「旅于処、得其資斧」に当たると読みました。もし使任を捨てて別の位置を望むなら、それは得隴望蜀であり、今は如意にならず心も快くない。五爻の「終に誉命あり」の時に至って、はじめてその望みが成るかもしれないと断じました。

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五爻

一言で読む

一矢を失って雉を得ます。小さな損の先に、誉れと命が待っています。

原文

六五:射雉一矢亡、終以誉命。

書き下し文

六五、雉を射て一矢亡う、終に以て誉命あり。

現代語訳

雉を射て、一矢を失います。最後には誉れと命があります。

爻辞の読み解き

離は雉であり、また弓矢でもあります。六五は柔順で文明、離の主なので、雉を射る象を取ります。一矢を射れば矢は失われますが、雉のほうは得られます。小さく失って大きく得る形です。

古人は雉を士人の進見の礼にも用いました。雉を射て得るのは、士人が進身の階を得るようなものです。五爻には、遠く他邦へ行き、文明の才芸によって名を得る象があります。一時に人々が称美し、名誉が上に達し、任命、賞賜、使命を得ます。

実際の読み方

時運は柔順に進み、小さく往って大きく来ます。最後には喜慶があります。経営は小さな損があっても大きく得て、名利を兼ねます。功名は晩運が通じ、声名が上に達します。

戦いでは一撃で成功する象があります。家宅は美善で称えられます。婚姻は、二五がともに陰で正応にならないため、爻位だけで佳偶とは断じられず、礼と信を守れるかを別に見ます。病は古い占い方では忠勇受命の象も取りますが、現実には病状に従って判断します。

高島の占例

明治二十四年にある貴顕の気運を占って、旅が遯に変じる六五を得ました。高島は、この人には命を奉じて遠く遊ぶ象があると読みました。国家は維新以来、多く欧米に法を取ってきました。この人が異国へ遠く行き、一方では両国の睦を厚くし、一方では上国の文明を観るなら、雉を射て一矢中るように、小さな費用で大きく得られます。声誉は四方に播き、使命は必ず栄誉を受けると断じました。

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上爻

一言で読む

高ぶって危うさを忘れると、巣も順な牛も失います。先の笑いが後の号泣に変わります。

原文

上九:鳥焚其巣、旅人先笑后号咷。喪牛于易、凶。

書き下し文

上九、鳥其の巣を焚かる、旅人先には笑い后には号咷す。牛を易に喪う、凶なり。

現代語訳

鳥がその巣を焼かれます。旅人は先には笑い、後には大声で泣きます。牛を易に失います。凶です。

爻辞の読み解き

離は鳥であり火でもあります。艮は止まることであり、巣でもあります。鳥に巣があるのは、旅人に旅舍があるようなものです。その巣が焼けるとは、旅人の最後の安処まで失われることを意味します。

三爻は旅舍が焼け、上爻は鳥巣が焼けます。どちらも旅人が所を失う象です。しかし三爻は内卦の極で、剛が中を過ぎた位置でした。上爻は全卦の極で、高く居て危うさを忘れています。だからいっそう凶になります。兌には笑い、離には号咷の象があるので、先に笑い、後に泣きます。牛は性が順です。旅卦では柔順であることが吉なのに、上九は剛が極まって順を失うので、牛を失うと言います。人を載せて前へ進ませてくれる順の物まで失えば、凶になります。

実際の読み方

時運は行運が極まり、高くて援けがなく、楽しみが悲しみに変わります。戦いでは営を焼かれ、寨を奪われることを防ぎます。経営は初めに小さな利があっても、後に大きく損じ、凶災が重なります。

功名は得るものより失うもののほうが多くなります。家宅は覆巣の危が伴います。婚姻は先に成って後に散る、先喜後悲の形です。病は古い占い方で牛に属する者をとくに凶と見ることがありますが、現実には必ず医学に従います。

高島の占例

明治二十四年の大津事件の後、新聞記者が高島に占を請い、旅が小過に変じる上九を得ました。旅は外へ出て遊ぶ卦で、上爻は高位にあるので、貴人の出遊の象になります。離は刀なので、傷は頭部にあると見て、ロシア皇太子が大津で刺された件に応じるとしました。初めは礼遇が厚く、互いに歓んでいたのが先笑、急に刀撃に遭ったのが後号咷です。軽車簡従で車駕衛兵を十分に伴わなかったことが「牛を易に喪う」に当たります。さらに卦象から、皇太子に重傷はなく、遊覧をやめて帰国し、犯人は速やかに裁くべきだと断じ、後に世論とも合いました。

火山旅:読みの覚え

火山旅は、外にいて仮に身を寄せる卦です。自分の根の上にいないので、大成功より小さな通りと身の保ち方を読みます。

客であることを忘れない

序卦伝は、大を窮める者は必ずその居を失うと言います。豊の次に旅が置かれるのは、そのためです。自分の根の上にいない時は、大きな所有や支配を求めません。求めるのは小亨、つまり身を保てるだけの通りです。 いちばんの戒めは、一時の宿を永久の根拠地と思い込むことです。仮住まい、出張、外部契約、異文化の場では、決めすぎず、持ち込みすぎず、土地のやり方を尊重します。

宿・資・助け手、そして明るさ

六二は、次に就き、資を懐き、童僕の貞を得る爻です。住む所、手元の資金、信頼できる助け手。この三つがそろえば、旅はひとまず落ち着きます。爻辞が大吉と言わないのは、旅では災いを免れて身を保てるだけで十分によいからです。 そこへ艮の止と離の明が加わります。止まる力があれば、乱れた宿を選ばず、乱れた行動もしません。明があれば、どこへ行き、誰と交わり、いつ手を引くかが見えます。出張なら住処と契約と帰路を、案件なら境界と納品と退出の条件を、先に決めておきます。

外の争いは長引かせない

大象伝は、明慎に刑を用いて獄を留めずと言います。豊が盛時の明断を説くのに対し、旅は客の立場、外地、臨時の事だからこそ早く終えよと説きます。証拠は明らかにし、態度は慎み、手続きは急ぎます。 初六が災いを取るのは、外が害してくるからではありません。一銭一厘、小利小怨を数えて、旅舍の主人とも土地の人とも合わなくなるからです。必要なことを短く伝え、早く整えて、重く絡まないようにします。

賑わいの中と、道の途中

雷火豊とあわせると、豊は盛りの中心に人や光が集まり、旅は本来の位置を離れて一人で進む卦なので、賑わいと孤独を対照できます。天山遯とあわせれば、旅は道中にある状態、遯は自ら退避する選択であり、どちらも無理に争わない点は同じでも心構えが違うと分かります。

火山旅:読みの覚え札記を開く

火山旅は、外にいて仮に身を寄せる卦です。自分の根の上にいないので、大成功より小さな通りと身の保ち方を読みます。

客であることを忘れない

序卦伝は、大を窮める者は必ずその居を失うと言います。豊の次に旅が置かれるのは、そのためです。自分の根の上にいない時は、大きな所有や支配を求めません。求めるのは小亨、つまり身を保てるだけの通りです。 いちばんの戒めは、一時の宿を永久の根拠地と思い込むことです。仮住まい、出張、外部契約、異文化の場では、決めすぎず、持ち込みすぎず、土地のやり方を尊重します。

宿・資・助け手、そして明るさ

六二は、次に就き、資を懐き、童僕の貞を得る爻です。住む所、手元の資金、信頼できる助け手。この三つがそろえば、旅はひとまず落ち着きます。爻辞が大吉と言わないのは、旅では災いを免れて身を保てるだけで十分によいからです。 そこへ艮の止と離の明が加わります。止まる力があれば、乱れた宿を選ばず、乱れた行動もしません。明があれば、どこへ行き、誰と交わり、いつ手を引くかが見えます。出張なら住処と契約と帰路を、案件なら境界と納品と退出の条件を、先に決めておきます。

外の争いは長引かせない

大象伝は、明慎に刑を用いて獄を留めずと言います。豊が盛時の明断を説くのに対し、旅は客の立場、外地、臨時の事だからこそ早く終えよと説きます。証拠は明らかにし、態度は慎み、手続きは急ぎます。 初六が災いを取るのは、外が害してくるからではありません。一銭一厘、小利小怨を数えて、旅舍の主人とも土地の人とも合わなくなるからです。必要なことを短く伝え、早く整えて、重く絡まないようにします。

賑わいの中と、道の途中

雷火豊とあわせると、豊は盛りの中心に人や光が集まり、旅は本来の位置を離れて一人で進む卦なので、賑わいと孤独を対照できます。天山遯とあわせれば、旅は道中にある状態、遯は自ら退避する選択であり、どちらも無理に争わない点は同じでも心構えが違うと分かります。

この卦を読む前に

本卦、動爻、問いを照らす

卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。

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本卦の問い

知らない土地で仕事を始めます。最初に何を用意しますか。

六二の三つです。安全な住処、手元の資金や証拠書類、そして信頼できる助け手。ここが埋まれば旅の不安はだいぶ減ります。主になろうと急ぐのは、その後で構いません。

相手が細かい要求をしてきます。どこまで応じますか。

旅では、細かい勘定に付き合うほど自分の居場所が狭くなります。初六が言うのは、そこで志量が窮まり、災いを自分で招くということです。必要な線だけ短く伝え、あとは早く整えます。

外地で火事や離反のような大きな損に遭いました。

九三は、宿が焼け助け手も去る爻で、正しくしていても危ういと言います。取り返そうとせず、人、身、拠点の順に守ります。九四のように、ひとまず処る場所と資斧を確保するところまで戻します。

旅の卦なのに、よい話が来ています。乗ってよいですか。

六五は、一矢を失って雉を得る爻です。小さな費用や譲歩の先に誉れと命があるなら、旅先でも進めます。ただし上九のように高ぶれば、巣も順な助けも一度に失います。

知らない土地で仕事を始めます。最初に何を用意しますか。開く

六二の三つです。安全な住処、手元の資金や証拠書類、そして信頼できる助け手。ここが埋まれば旅の不安はだいぶ減ります。主になろうと急ぐのは、その後で構いません。

相手が細かい要求をしてきます。どこまで応じますか。開く

旅では、細かい勘定に付き合うほど自分の居場所が狭くなります。初六が言うのは、そこで志量が窮まり、災いを自分で招くということです。必要な線だけ短く伝え、あとは早く整えます。

外地で火事や離反のような大きな損に遭いました。開く

九三は、宿が焼け助け手も去る爻で、正しくしていても危ういと言います。取り返そうとせず、人、身、拠点の順に守ります。九四のように、ひとまず処る場所と資斧を確保するところまで戻します。

旅の卦なのに、よい話が来ています。乗ってよいですか。開く

六五は、一矢を失って雉を得る爻です。小さな費用や譲歩の先に誉れと命があるなら、旅先でも進めます。ただし上九のように高ぶれば、巣も順な助けも一度に失います。