六十四卦 意味・読み方
火地晋|意味・卦辞爻辞解説(かちしん)
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。
引
明るさが地上に出て高くなる卦です。認められて進む時ですが、正しい光に従うのが条件です。
卦象と卦名
晋は上が離、下が坤です。離は日であり、火であり、明るさです。坤は地であり、柔順であり、広く受ける力です。太陽が地の上に出れば、初めは低くても、やがて高く昇り、万物を照らします。だから晋は進む、昇る、上へ行くという意味になります。
卦の中心的な意味
卦辞は「康侯、用て馬を錫うこと蕃庶、昼日三たび接す」です。康侯は明君に認められた諸侯、功ある臣を指します。多くの馬を賜り、一日のうちに何度も接見されます。能力や功績が上に見いだされ、正式に礼遇され、昇っていく象です。晋の進み方は抜け道を通りません。明るい場で、明徳と功績によって上へ行く進みです。
ただし晋は、何もかも順調に上がるだけの卦ではありません。初爻は進もうとして摧かれ、二爻は憂いを抱え、三爻でようやく衆の信を得ます。四爻には鼫鼠のように位を盗み貪る危うさがあり、五爻では得失を気にしすぎない度量が要り、上爻では進み過ぎた角を内側の整理に用います。明るさが上がるほど、徳と信と節度が問われます。
向いている問い
晋を得たら、昇進、評価、発表、事業の前進、社会的に見えるようになる流れを見ます。ただし上がれるかどうかを問うだけでは足りません。自分の進み方は明るいか、衆に信じられているか、上の明に従っているか。ここまで確かめます。
仕事では、成果を隠さず出す時です。人間関係では、正面から認められる形を作ります。名誉では、飾りよりも明徳を重く見ます。進みたい一心で疑い、貪り、裏で手を回し、強引に片づけようとすれば、晋の光はすぐ濁ります。
卦辞
功と明徳が公に認められる時です。明るい場で礼にかなうほど、遇し方も厚くなります。
原文
晋:康侯用錫馬蕃庶、昼日三接。
書き下し文
晋は、康侯用て馬を錫わるること蕃庶なり、昼日に三たび接す。
現代語訳
晋では、康侯が多くの馬を賜り、昼のうちに三度も接見されます。
卦辞の読み解き
功ある人が明るい場で正式に認められ、厚く遇されます。康侯は、たまたま得をした人物ではありません。国を安んじる功があり、明君から礼をもって遇される臣です。坤は国、邦、安らかさ、馬、衆の象を持つので、侯、康、馬、蕃庶の語が出ます。離は日なので昼日です。昼に三たび接すとは、陰でひそかに近づくことではありません。明るい日のもとで公然と接見され、問われ、労われることを言います。
卦の形は、上が明で下が順です。上の離は明君、下の坤は順臣に見立てます。上が明らかで下が柔順に仕える時、君臣はよく合い、功ある者が進められます。進む側は自分から奪いに行きません。明に麗き、順にして上行します。秩序の中で光に従うから進めるのです。
この卦は家庭にも当てはまります。国では明君と順臣、家では明察のある父と順承する子です。父は上にあって理を明らかにし、溺愛しません。子は下にあって孝敬し、逆らいません。修身も斉家も治国も、内なる明徳を少しずつ進めていく道にほかなりません。
実際の読み方
仕事では、上司や組織に認められ、正式な評価や抜擢を受ける象です。家庭では、上が明らかで下が順えば和します。学業や名誉では、見えるところへ出る機会があります。
ただし、賞を受けるほど慎みが要ります。公の評価を自分の手柄にしすぎれば、そこから驕りが生まれます。晋の礼遇は、明徳をさらに昭らかにするために与えられるものです。
彖曰
柔順に大明へ従うから上がれます。功と徳が光の中で引き上げられます。
原文
晋、進也。明出地上、順而麗乎大明、柔進而上行。是以康侯用錫馬蕃庶、昼日三接也。
書き下し文
晋は進むなり。明地上に出で、順いて大明に麗き、柔進みて上り行く。是を以て康侯用て馬を錫わるること蕃庶、昼日に三たび接するなり。
現代語訳
晋とは進むことです。明るさが地上に出て、柔順に大きな明へ寄り添い、柔らかいものが進んで上へ行きます。
彖伝の読み解き
柔順な徳が明に従って上へ進みます。太陽が地上に出るように、明るさが高くなっていきます。下の坤は柔順、上の離は大明です。人もまた、柔らかく正しい態度で大きな明に従えば、上へ進めます。
大明は明君とも読めますし、明徳や明道とも読めます。臣が進むのは、媚びや抜け駆けによるのではありません。上に明君があり、下に賢臣があり、明と順が合うからです。天子が功を褒め、車馬を賜り、何度も接見するのは、功績と位分を公に認める礼です。
昼日三接は、ただ賑やかな場面を描いた言葉ではありません。古礼では、諸侯を迎える時に饗応し、問い、労う正式な儀がありました。馬を賜ることも、物の贈与にはとどまりません。功を認め、進ませるための印です。だから晋の上昇には名分と秩序が伴います。
六爻を通して見ると、内卦の三爻は坤の順に属します。初は進もうとして阻まれ、二は憂いながらも正を守り、三で衆の信を得ます。外卦の三爻は離の明に属します。四は位が正しくないまま鼠のように貪り、五は卦主として得失を気にせず往き、上は進み極まって邑を伐つだけになります。進むほど光は強くなりますが、同時に貪りと過激さも表に出やすくなります。
実際の読み方
晋を読む時は、進みの由来を見ます。徳と功が見られて推されているのか、場を盗んで上がろうとしているのか。衆が信じているのか、一人の推薦だけで無理に上げているのか。
正しい晋は、柔順にして明へ近づく進みです。急に目立とうとすること、権力者へ取り入ること、表だけ明るく飾ることは、いずれも晋の本義から外れます。
象曰
人に見せる前に、自分の明徳を明らかにする。それが本当に進む人の順序です。
原文
明出地上、晋、君子以自昭明徳。
書き下し文
明地上に出づるは晋なり。君子以て自ら明徳を昭らかにす。
現代語訳
明るさが地上に出るのが晋です。君子はこれを見て、自分の明徳を明らかにします。
象伝の読み解き
外へ進む前に、まず自分の内なる明を明らかにします。太陽は地平から出た時こそ小さな光ですが、昇るほどに明らかになり、暗い所を照らします。君子はこの象を見て、人に認められるより先に、自分の明徳を明らかにすることを学びます。
明徳とは、心の内にある本来の明るさです。けれども私欲、恐れ、怒り、焦り、怨みがかかると、その明るさは見えにくくなります。晋の時、人は外の位が上がることに気を取られます。しかし位だけ高くなって内の徳が暗くなれば、四爻の鼫鼠のように、明るい場にいながら暗い働きをすることになります。
自昭明徳とは、自分を飾ることではありません。自分の不足を知り、動機を明らかにし、仕事の筋道を透かし、人に見られても恥じない形へ整えていきます。日が昇るように、外から押し上げられる前に、内側の明を育てます。
実際の読み方
昇進、公開、発表、評価を問うなら、まず自分の仕事、数字、動機、責任が明るいかを見ます。会社なら会計と規則と意思決定を明らかにします。学びなら、分かったつもりの所を照らします。関係なら、相手を動かす前に自分の欲を照らします。
晋の上昇は、自分を大きく見せる作業ではありません。自分の明を人前に出せる状態まで整える作業です。
占断
運が開き、名も仕事も上がる象です。ただし阻み、憂い、貪り、争いも道に含まれます。
総合的な占意
今の問いに当てれば、晋は昇進、合格、表彰、発表、事業の認可、プロジェクトの前進、貴人の接見、家庭運の上昇として現れやすい卦です。一方で、初の摧如、二の愁如、四の鼫鼠、上の晋其角があります。明るく進むほど、妨害者、心配、権限を盗む人、やり過ぎた改革にも気を配ります。
項目別の占断
- 時運:朝日が次第に昇るように光が増していき、全体として吉です。
- 戦い:道に従って進軍し、昼に戦うのがよく、暗い夜襲には向きません。
- 経営と功名:エネルギーや照明など光を扱う業に利があり、功名は日ごとに高まる象です。
- 訴訟:まず自分を省み、責任を明らかにしてから争いを処理します。
- 家宅・妊産・失せ物:東南向きで明るく開けた家は吉です。妊産は旧来の断で女児に当たり、失せ物は明るい所を探します。
- 現代での応用:昇進、試験、事業の承認を得る時ほど、妨害、憂慮、投機的な人物、過激な処置に注意します。
六爻の要点
- 初六:進み始めて妨げられ、信じてもらえなくても、正しさを守ってゆったり待ちます。
- 六二:進めても憂いがある時は、正しさを守れば上から助けを得られます。
- 六三:人々の信頼と承認を得れば、以前の悔いは消えます。
- 九四:不正な手段で高位に居る姿は、物を盗む野ねずみのようで危険です。
- 六五:一時の得失を数えず、大きな方向の正否に集中すれば、進んで利があります。
- 上九:力が極端に達したら自らの邑を正すためだけに用い、外へ威を振るいません。咎を免れても、正しさを固く押し通せば吝です。
実際の読み方
仕事では、成果を明るい場に出し、正式な承認を取りに行きます。名誉では、見せ方よりも実質を優先します。お金では、明るい資料、明確な契約、公開できる根拠を重んじます。争いでは、まず自省してから動きます。
チームでは、個人の後ろ盾より衆允、つまり多くの人が納得していることが大切です。晋の進歩は、光を強めながら進む時に本物になります。
初爻
押し戻され、まだ信も得ていません。正を守って余裕をもてば咎はありません。
原文
初六:晋如、摧如、貞吉。罔孚、裕無咎。
書き下し文
初六、晋如たり、摧如たり、貞にして吉なり。孚とせらるること罔きも、裕かにせば咎なし。
現代語訳
進もうとしますが、押し戻されます。正しく守れば吉です。まだ信じられなくても、ゆとりがあれば咎はありません。
爻辞の読み解き
進み始めに阻まれても、急がずに正を守れば足ります。晋如は進もうとすること、摧如は摧かれ阻まれることです。初六は晋の始めにあり、柔順に上へ行こうとしますが、応じる九四が正位でなく、助けるどころか障りになることがあります。
罔孚とは、まだ信じられていないことです。新しい提案、新しい役目、新しい事業では、自分では正しいと思っても、周囲はすぐには信じません。頼みにした人が味方になるはずが、かえって阻むこともあります。ここで焦って弁明し、怒って反撃すれば、咎を招きます。裕かにとは、心にも時間にも余裕を持ち、正を守って時を待つ構えです。
実際の読み方
時運は開き始めですが、まだ力が足りません。仕事では、案を出してもすぐには採用されないことがあります。営業では、商品が来たばかりで市場がまだなじみません。婚姻や関係では、気持ちがまだ合わず、急がなければ成ります。
失せ物は後に出てくる見込みがあります。病はゆっくり養えば差し支えありません。初六の要点は、正しさを急いで証明しようとしない一点にあります。
高島の占例
ある県の人が志願の成否を問うと、晋が噬嗑に変じる初六が出ました。品行も才能もある人ですが、衆情はまだ信じず、頼んだ相手も助けにならず、かえって阻みます。だからすぐには成らないと高島は読み、四爻の衆允の時、つまり数か月後を待つよう勧めました。後にその人は貴人へ建議書を届けようとして面会できず、警部に辱められ、まさに摧如の象となりました。
二爻
憂いを抱えたままでも進めます。中正を守れば、尊い所から大きな助けが来ます。
原文
六二:晋如、愁如、貞吉。受茲介福、于其王母。
書き下し文
六二、晋むが如く、愁うるが如し、貞にして吉なり。茲の介いなる福を、其の王母より受く。
現代語訳
進もうとしますが、憂いがあります。正しく守れば吉です。この大きな福を王母から受けます。
爻辞の読み解き
進む時に不安があっても、中正を守れば尊い所から助けが来ます。初六の摧如は外から阻まれる形で、六二の愁如は内側の心配です。二は中に居て正を得ています。進みたいのに、前の阻みを見て不安になります。それでも不安の中で中正を失わなければ吉です。
介福は大きな福です。王母は太后のような尊い陰位を指し、内側からの保護の意にも取れます。六二と六五は二五の位で向かい合いますが、どちらも陰なので正応にはなりません。二が五を承けるという位の関係にとどまります。五は尊位であり、坤には母の象があるので、王母から福を受けると言います。目先には憂いがあっても、深い所では上位の理解と保護があり、正を守る者には大きな助けが届きます。
実際の読み方
仕事では、不安があっても中正な方針を崩しません。戦いでは、前の失敗を恐れて慎むことが、かえって吉になります。商いでは、前の損が気になるのも当然ですが、やがて五爻のように得失にとらわれなくなる時が来ます。
婚姻は今すぐより、後になってまとまりやすいものです。家では祖母や年長の女性の助けが象になります。六二は、憂いを理由に正道を捨てない爻です。
高島の占例
明治五年、陸軍大佐福原実と兵営建設の件で旅をした折、高島は日本の前途を占って、晋が未済に変じる六二を得ました。維新後の日本は進もうとしていますが、旧藩士の不一致、西洋の風教との違い、改革の難しさがあり、進むほど憂いも増します。それでも二と五という臣君の位から見て、当道の大臣は天皇に信任され、太后にも信じられ、大福を受けると断じました。
三爻
多くの人が信じてくれるかどうか。信が揃えば、初めの悔いは消えます。
原文
六三:衆允、悔亡。
書き下し文
六三、衆允とす、悔亡ぶ。
現代語訳
多くの人が信じます。悔いは消えます。
爻辞の読み解き
衆の納得を得ることで、前の阻みも憂いもほどけます。允は信じること、納得することです。六三は内卦の上にあり、初、二と同じ柔順の仲間です。三つで衆となり、同心して進むので衆允と言います。前にはなお九四の障りがありますが、多くの人が信じれば一人の障害は押さえられ、悔いは消えます。
国を治め、事を謀るのに、古今を問わず決め手になるのは人心の向背です。人心が従わなければ、正しいことでも通りません。人心が納得すれば、阻みは自然に弱まります。初は罔孚で、まだ信がありません。三は衆允で、すでに信があります。この差が晋の進みを変えます。
実際の読み方
仕事では、個人の熱意よりも、チームや関係者の納得が整った時です。商いでは前の停滞が解け、買いも売りも動きやすくなります。戦いでは、皆の志が固まれば勝ちやすいものです。功名は人から推されて成ります。
訴訟や争いでは、第三者が入り、双方が納得して収まることがあります。六三の実用は、信頼の土台を築いてから前へ出る、その順序にあります。
高島の占例
九州の商人が、ある大会社の物品を買い取れるかを問い、晋が旅に変じる六三を得ました。初爻では買い手が進もうとして阻まれ、二爻では売り手も心配して定まりません。しかし三爻まで来れば衆情はすでに和し、四爻に利を貪る人がいても阻めない。高島はそう読み、購入は成って悔いなしと断じました。
四爻
明るい場で鼠のように貪れば、位を守ろうとしても危うくなります。
原文
九四:晋如鼫鼠、貞厲。
書き下し文
九四、晋むこと鼫鼠の如し、貞なるも厲し。
現代語訳
鼫鼠のように進みます。正しく守ろうとしても危ういです。
爻辞の読み解き
鼠のように暗く貪る進みは、表向き位にあっても危ういものです。鼫鼠は貪り、疑い、昼は隠れて夜に動き、いくつも技があるようで結局どれも拙いとされます。九四は陽で陰位にあり、中も正も得ていません。上下の陰の間に入り、互卦には坎の隠れ、艮の鼠の象があります。徳がないのに位を占め、上の柔主に取り入り、下を押さえて、忠言が上へ届かないようにします。
晋は本来、明るく進む卦です。ところが九四の進みは、明徳によって認められる進みではありません。鼠のように暗がりで権を盗む進みです。真正の明が当たれば、鼠が猫を恐れるように、隠れた貪りは露見します。だから表向きは位を保っていても、そのまま居続けようとすれば危ういのです。
実際の読み方
時運には、どこか不透明なものがあります。仕事では、権限を利用して小利を取る人、情報を止める人に注意します。経営では、共同者の横領や不正な中抜きを防ぎます。功名は器用そうに見えて実力が足りません。
家では盗耗、鼠害、管理の不備に気をつけます。訴訟は進退が定まりにくいものです。九四を得たら、暗い進みを明るみに出し、正面から透明にしていく必要があります。
高島の占例
占例1
家政を問うた商人が、晋が剥に変じる九四を得ました。家の中に鼠のように盗み食いする管理者がいて、財産を耗らしている。高島はそう読み、厳しく調べるよう勧めました。
占例2
子爵五条為栄が西京へ移住する吉凶を問うた時も、同じ爻でした。晋は東から明が出る象で、西へ退く移住とは合いません。首鼠両端の迷いもあるので、移るべきではないと勧めています。
五爻
小さな得失を数えず、大きな是非と方向を見ます。だから往けば利があります。
原文
六五:悔亡、失得勿恤、往吉無不利。
書き下し文
六五、悔亡ぶ、失得を恤うる勿かれ、往けば吉にして利あらざる無し。
現代語訳
悔いは消えます。失うか得るかを心配してはいけません。進めば吉で、何事にも利があります。
爻辞の読み解き
小さな損得にとらわれず、明るい方向へ進めば吉です。六五は尊位にあり、柔で中を得た晋の主です。近くに九四という鼠のような爻がいるので、本来なら悔いがあります。しかし五は明徳を持ち、奸を察し、四を退けて二の中正を用いることができるので、悔いは亡びます。
失得勿恤は、たいへん高い態度です。六五は自分の明をひけらかさず、中正の臣を信じます。少し失った、少し得たといちいち数えず、是非を見て、正しい人に任せ、方向が明らかなら前へ往きます。だから往けば吉で、利のない所がありません。
実際の読み方
仕事では、小さな損得より人選と方向を重く見ます。経営では、前の小さな損を越えて大きな利益へ向かえます。功名は、名を求めすぎない時にかえって得ることがあります。訴訟は災いが去るので、止めるのが吉です。
六五は、晋のうちで最も視野の広い爻です。得失をすべて無視するわけではありません。得失より是非を上に置くところが肝心です。
高島の占例
占例1
ある華族が気運を問い、晋が否に変じる六五を得ました。廃藩以来の小さな災いや損はあっても、今は財産の得失を憂えず、余った財で旧藩士の子弟を教育し、国家のために人材を育てようとしています。まさに康侯の象にかなうと高島は読みました。
占例2
明治三十一年に内閣の気運を占った時も、同じ爻でした。国家は進み、君は明らかで臣は良く、内閣の人々が労苦も毀誉も気にせず忠に従うなら、任免の動きがあっても国運は進むと断じました。
上爻
角の先まで進みきった鋭さは、外へ振るわず、内側の整理にだけ使います。
原文
上九:晋其角、維用伐邑、厲吉無咎、貞吝。
書き下し文
上九、其の角に晋む、維れ用て邑を伐たば、厲けれども吉にして咎なし、貞なるも吝なり。
現代語訳
角にまで進みます。ただし用いるのは邑を伐つことだけです。危ういけれど吉で、咎はありません。正しくしても吝があります。
爻辞の読み解き
鋭く極まった力は、外へ乱用せず、内側の整理にだけ使います。角は最上にあって、鋭く突くものです。上九は晋の極に居て、剛が過ぎ、中を失い、進むことは知っても退くことを知りません。だから晋其角と言います。離には甲兵の象があり、上爻は離の極なので、伐邑と言います。
邑は遠い外国ではありません。近い所、自分の内側、自分の管轄の範囲です。この鋭い力は、遠くを攻めるためのものではありません。内部の不正を整えるためだけに用います。四爻の罪を五の命に従って討つなら、危ういながらも吉で、大きな咎はありません。ただし文徳よりも武力で進むので、道はまだ十分に光りません。正しいことをしても、やり方には吝が残ります。
実際の読み方
時運はよい運の終わりに近く、事故を防ぐ時です。戦いでは、近い内側の問題を整えるならよく、遠征には向きません。経営では、同業や社内で紛争が起きやすいものの、内部の整理に使えば利があります。
名誉は首に角がある形なので首選の象もありますが、成った後の軍役や責任には注意します。上九の教えは単純です。鋭い力を外へ乱用せず、まず自分の邑を治めます。
高島の占例
ある会社の盛衰を問われた時には、晋が豫に変じる上九が出ました。会社は創立以来不安が多く、総会で社員を整えても事務は乱れ、株主も騒いでいます。晋が上まで至れば進みは極まり、物は極まれば反るので改革が要ると高島は読みました。ここで言う伐邑は、外を攻めることではありません。会社内部の不正を整えることです。熟練した前社員を用いて規則を定めれば、危ういながら大過なく復興できます。ただし識者から笑われる点も残るので、貞吝だとしました。
火地晋:読みの覚え
火地晋は、明るさが地の上へ昇る卦です。進む象、認められる象を持ちますが、本当の晋は、明るい場に出ても揺るがないところにあります。
明るい所を通って進む
晋は暗がりで手を回す卦ではありません。日が地上に出て光が見えるように、功労も能力も態度も、公に見られて耐えるものでなければなりません。読む時はまず、この一歩の上昇が実際の成果によるのか、場の空気に合わせただけなのかを見ます。前者は続き、後者はすぐ薄くなります。自分の進み具合はもう人前に出せる段階か。この問いは先に自分へ向けておきます。
誰に見られ、誰に阻まれるか
上る道では、二種類の人が要になります。あなたのために口を利いてくれる大勢と、あなたと上位との間に横たわる一人です。初爻の罔孚は、まだ衆が信じていない段階、三爻の衆允は、衆がすでに味方についた段階を示します。前者に当たっているなら、焦りも怨みも過失を増やすだけで、ゆったり正を守る方が効きます。後者なら、正面から押すより、衆が代わりに口を開くところまで仕事を仕上げます。
認められた、その後
昇進、試験、作品の発表、業績の伸びを問えば、晋はよい勢いです。ただし上がった後こそ安定が要ります。成果を整理し、功をしかるべき人に返し、次の責任を引き受けます。顕れることだけを求めて本を忘れれば、光はまぶしさに変わります。日が昇れば、瑕も一緒に照らし出されます。
鼫鼠の爻が刺すもの
九四の鼫鼠は、この卦でいちばん刺さる一筆です。位だけは高く登り、徳が追いつかず、昼は隠れて夜に動き、光ではなく盗みで進みます。ここが戒めているのは、他人への警戒だけではありません。自分を映す鏡でもあります。外の位が上がって内の徳が暗くなれば、高い所に座っているのがその鼠です。晋が見ているのは位置の高さだけではなく、明るさも一緒に高くなったかどうかです。
観と豊、二つの物差し
風地観とあわせて読むと、観は徳を人に見えるようにする卦、晋は明るさが上へ進む卦です。まず見られるに足る姿があって、はじめて押し上げられます。雷火豊とあわせれば、晋は日の出の進み、豊は日中の盛りです。一方は上昇の頃合いを、もう一方は満ちた後の収め方を示します。三つを並べて読むと、見られる、上がる、満ちるという順に目盛りが刻まれます。
火地晋:読みの覚え札記を開く
火地晋は、明るさが地の上へ昇る卦です。進む象、認められる象を持ちますが、本当の晋は、明るい場に出ても揺るがないところにあります。
明るい所を通って進む
晋は暗がりで手を回す卦ではありません。日が地上に出て光が見えるように、功労も能力も態度も、公に見られて耐えるものでなければなりません。読む時はまず、この一歩の上昇が実際の成果によるのか、場の空気に合わせただけなのかを見ます。前者は続き、後者はすぐ薄くなります。自分の進み具合はもう人前に出せる段階か。この問いは先に自分へ向けておきます。
誰に見られ、誰に阻まれるか
上る道では、二種類の人が要になります。あなたのために口を利いてくれる大勢と、あなたと上位との間に横たわる一人です。初爻の罔孚は、まだ衆が信じていない段階、三爻の衆允は、衆がすでに味方についた段階を示します。前者に当たっているなら、焦りも怨みも過失を増やすだけで、ゆったり正を守る方が効きます。後者なら、正面から押すより、衆が代わりに口を開くところまで仕事を仕上げます。
認められた、その後
昇進、試験、作品の発表、業績の伸びを問えば、晋はよい勢いです。ただし上がった後こそ安定が要ります。成果を整理し、功をしかるべき人に返し、次の責任を引き受けます。顕れることだけを求めて本を忘れれば、光はまぶしさに変わります。日が昇れば、瑕も一緒に照らし出されます。
鼫鼠の爻が刺すもの
九四の鼫鼠は、この卦でいちばん刺さる一筆です。位だけは高く登り、徳が追いつかず、昼は隠れて夜に動き、光ではなく盗みで進みます。ここが戒めているのは、他人への警戒だけではありません。自分を映す鏡でもあります。外の位が上がって内の徳が暗くなれば、高い所に座っているのがその鼠です。晋が見ているのは位置の高さだけではなく、明るさも一緒に高くなったかどうかです。
観と豊、二つの物差し
風地観とあわせて読むと、観は徳を人に見えるようにする卦、晋は明るさが上へ進む卦です。まず見られるに足る姿があって、はじめて押し上げられます。雷火豊とあわせれば、晋は日の出の進み、豊は日中の盛りです。一方は上昇の頃合いを、もう一方は満ちた後の収め方を示します。三つを並べて読むと、見られる、上がる、満ちるという順に目盛りが刻まれます。
この卦を読む前に
本卦、動爻、問いを照らす
卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。
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本卦の問い
昇進や進学のことで晋が出たら、よい兆しと見てよいですか。
多くはよい勢いで、進み、見いだされ、認められる象を含みます。ただし晋の上昇は明るい場での上昇です。支えるのは実際の成果であり、暗がりの小細工で得た位には長く座れません。
晋が出た時、いちばん防ぐべきものは何ですか。
顕れることだけを求める心です。認められた後こそ明徳と責任を守り、進歩を誇示に変えないようにします。あわせて、身近に位だけ貪る人がいないかも見ておきます。
作品や事業で晋を得たら、どう動きますか。
公開、展示、承認を取りに行くのに向いた時です。ただし中身を先に固めます。日が昇れば、粗い所も同時に照らされます。
昇進や進学のことで晋が出たら、よい兆しと見てよいですか。開く
多くはよい勢いで、進み、見いだされ、認められる象を含みます。ただし晋の上昇は明るい場での上昇です。支えるのは実際の成果であり、暗がりの小細工で得た位には長く座れません。
晋が出た時、いちばん防ぐべきものは何ですか。開く
顕れることだけを求める心です。認められた後こそ明徳と責任を守り、進歩を誇示に変えないようにします。あわせて、身近に位だけ貪る人がいないかも見ておきます。
作品や事業で晋を得たら、どう動きますか。開く
公開、展示、承認を取りに行くのに向いた時です。ただし中身を先に固めます。日が昇れば、粗い所も同時に照らされます。
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