高島易断

天山遯|意味・卦辞爻辞解説

天山遯䷠:一言で読む 天山遯は、退くべき時に退く卦です。形勢の中で陰が伸び、正道が圧迫されるなら、退くことは敗北ではなく、身と道を保つ知恵です。 現代語訳 遯は上が乾天、下が艮山です。天は上にあって遠く、山は下に止まります。天と山ははるかに隔たり、互いに及びません。だから遠く退き、避ける象があります。卦体は四陽が上、二陰が下です。二陰が少しずつ長じ、陽気は退き始めます。小勢力が進み、大きな正気がやむなく退く時節です。

導入

一言で読む

天山遯は、退くべき時に退く卦です。形勢の中で陰が伸び、正道が圧迫されるなら、退くことは敗北ではなく、身と道を保つ知恵です。

現代語訳

遯は上が乾天、下が艮山です。天は上にあって遠く、山は下に止まります。天と山ははるかに隔たり、互いに及びません。だから遠く退き、避ける象があります。卦体は四陽が上、二陰が下です。二陰が少しずつ長じ、陽気は退き始めます。小勢力が進み、大きな正気がやむなく退く時節です。

序卦伝は、恒は久であり、物はいつまでもその所に居られないので遯が来ると言います。恒は長く処する道でした。しかし形勢が変われば、長く居続けることが正ではなくなります。高島はまた、遯の字を豚が人を見て逃げる象として、逃逸、退避の意味を取ります。

卦辞は「遯、亨。小しく貞に利があります」と言います。退くべき時に退ければ、かえって通じます。ただし小利貞です。今は大きく事を広げる時ではなく、小さな所で正を守り、収め、害を避ける時です。退く時を得れば、身は退いても道は通じます。地位に執着して強く争えば、濁った勢いに引き込まれます。

実際の読み方

遯を得たら、まず時勢がすでに不利かどうかを見ます。不正な人や流れが勢いを得て、自分が争うほど深く巻き込まれるなら、露出を減らし、距離を取り、核心を守ります。

遯は責任放棄でも、臆病な逃避でもありません。機を見て動くことです。退き方が明らかなら、後に進む余地も残ります。

卦辞

一言で読む

退くべき時に退けば道は通り、今は小さく正を守って大功を争わない時です。

現代語訳

遯は通ります。小さく正しく守ることが利です。つまり、退くべき時に退けば通り、大きく争わず小さく正を守るのが利、という字面です。遯は陰が長じる卦です。内に二陰が伸び、外の四陽がだんだん圧迫されます。邪と正は同じ主位に長く居られず、陰陽も同時に同じ所を占められません。修養があり、責任を担える人でも、この時勢に退かなければ害を受けます。進んで亨るのではなく、退いて後に亨ります。

小利貞の小は、下の二陰がまだ小さく、完全に横行していないことを示します。陽道が全く消えたわけではないので、小さな所では正を守れます。これを大勝と誤って進めば間違いです。退避だから何もできないと見るのも違います。遯の機会は、小に守れるが、大きく無理に争ってはいけないところにあります。

高島は、遯を先見の明の卦として読みます。寒気が極まる前に衣を加え、穀物が大いに乏しくなる前に食を謀り、病が重くなる前に薬を求める。陰勢が浸みるように長じる時に、後の勢いを見るのが遯の知恵です。

実際の読み方

仕事では、業界の風向き、権力の構造、協力環境が変わったなら、戦いに執着しません。職場では、不正な人が党を組んで伸びているなら、境界を守ります。感情では、牽累が深すぎる前に距離を置くことがあります。

遯は扉を叩きつけて断つことではありません。自分が巻き込まれない位置へ身を置くことです。

彖伝

一言で読む

退く知恵は時と共に動くことにあり、陰がじわじわ伸びる前に身と道を保ちます。

現代語訳

遯が通るとは、退いて通ることです。剛が位に当たって応じ、時とともに行きます。小しく貞に利があるとは、陰がじわじわ伸びることです。遯の時の意味は大きいものです。つまり、退くことは時勢に逆らわず身と道を保つ大きな知恵、という字面です。九五は剛健で正位にあり、六二と応じます。時勢を読み、その時と共に行動できます。下の陰気は少しずつ長じるので、小しく貞に利ありと言われます。

九五と六二は本来正応ですが、遯卦ではこの応がかえって迫りになります。六二の陰勢が伸び、九五の陽勢が退きます。二は五に応じながら、実際には五を退かせる力です。陰長陽消は、誰か一人が無理に作るものではなく、時勢です。易を知る者は時勢と捻じれません。退くべき時には退き、身を退けて道を保ちます。

人事では、遯は運勢が次第に否へ向かう形です。太王が狄を避けて岐へ移り、後に周を興したこと、勾践が身を屈して呉に仕え、後に越を興したことは、遯れて亨る例です。退くことは世を忘れる孤高ではなく、後に再び興るための身を残すことです。孔子の、止まるべき時は止まり、去るべき時は去るという知時にも通じます。

六爻を見ると、下卦は上卦ほど吉ではありません。下卦には艮止の執着があるからです。初爻は退いて尾を露し、真の退ではありません。二爻は執して留め、退かせません。三爻は繋がれて、退くに決しません。四爻は好遯で、籠絡に乗りません。五爻は嘉遯で、正志によって退きます。上爻は肥遯で、牽累なく最もゆったり退きます。

実際の読み方

遯を読む時は、退くかどうかだけでなく、退き方が清いかを見ます。尾を引いて退くのは危険です。人に牢籠されれば脱しにくい。心に牽累があれば病になります。

超然と、礼に合い、余裕を持って退くことができるなら、それが遯の高明さです。

象伝

一言で読む

小人を遠ざける時は、憎しみで争わず、静かで厳かな境界を置きます。

現代語訳

天下に山があるのが遯です。君子はこれを見て、小人を遠ざけ、憎まずに厳しくします。つまり、距離を置く時は怒りで争うのではなく、厳正な境界で遠ざける、という字面です。天は上にあり、山は下にあり、相去ること遠い。山が天を怨むのではありません。本来、及ばないだけです。君子はこの象を取り、正を守らない人を遠ざけます。

不悪而厳が大切です。小人を遠ざける時、悪言で相手を攻める必要はありません。かといって、親しいふりをして曖昧にもしません。悪めば心が乱れ、争って相手の場に引き込まれます。厳であれば境界が明らかで、相手も侵しがたいと知ります。最もよい遠離は、隙を与えず、自然に遠ざかる形です。

高島は、君子が小人に対する善法は、比附せず、争闘せず、決然と遠く遯れることだと言います。恨みで切るのでも、弱さで譲るのでもありません。自分の態度、制度、距離を厳正にすることです。

実際の読み方

職場では、不正な人と互いに罵り合わず、曖昧な協力もしません。証拠と境界を保ちます。関係では、説明を少なくし、距離を厳にします。管理では、感情で怒るより、規則と隔離で処します。修身では、誘惑から遠ざかり、怨まず、怒らず、相手の流れに引かれないようにします。

占断

一言で読む

多く収め、退き、核心を保つ時です。小事は正を守れますが、大事で無理に争うには向きません。

現代語訳

高島の総占では、戦いは前方に山があり、山間に敵兵の伏せる恐れがあって敗北しやすい。経営では、一時の物価の高低が大きく離れ、買いと売りの相場が遠く違うため、市況の誤判に注意します。功名は退隠がよく、進見には向きません。正を守る者は吉、不正の者は不利です。

家宅は山に近く、前面が空闊で遠く、陰の祟りに注意します。病は陰邪や祟りにまとわれるような象で、敬して遠ざけ、居を避けるのが吉です。婚姻は二五の陰陽が本来応じますが、邪正は同じ所に居られないので、謝絶が吉です。妊産は女を主に見ます。

現実では、辞職、退場、危ない協力からの離脱、売却、消耗する関係からの離脱、撤兵、転居、訴訟の止損、戦略的縮小に多く応じます。争いに執着せず、当てずっぽうに決めもしない。残すべきものは残し、切るべきものは切ります。

実際の読み方

協力では、核心資源と契約の境界を守ります。感情では、相手の勢いが正しくなければ、謝絶は絡み続けるよりよい。投資では、相場差が大きすぎる時に退きます。職場では、組織の風気がすでに変わったなら、体面を保って退くことが亨になります。

初爻

一言で読む

退くのが遅れて尾が残る時は、ここでさらに前へ進まず止まるほど災いは少なくなります。

現代語訳

退く時に尾を残して危ういです。進む先を持とうとしてはいけません。つまり、退くと言いながら痕跡や未練を残すと危険で、なお進もうとしてはいけない、という字面です。初爻は艮の始めで、艮には穴居の象も尾の象もあります。だから遯尾です。本当に身を避ける者は、山に入るなら深きを恐れ、林に入るなら密ならざるを恐れます。後ろに痕跡を残し、人に見られることを嫌います。退いて尾を隠せないなら、真に退いたとは言えません。

遯尾の危険は、退き方が徹底しないことです。頭では退くと言いながら、尾はまだ元の場に残っている。口では避けると言いながら、内心では別の前進を狙っている。これでは功が成らないうちに失いが来ます。爻辞が往くなと言い、象伝が往かずば何の災いあらんと言うのは、ここで前へ出なければ一段の災いを免れるからです。

友人が気運を占い、遯が同人に変じた時、高島は、遯は四陽が外、二陰が内で、陽が消え陰が長じ、好運がすでに退く象だと読みました。初爻の遯尾は、好運が退き、残るのは尾末だけという意味です。だから退守して前へ行ってはいけません。運は五年を一度とし、上六の無不利へ至る頃にようやく広くなると断じました。

実際の読み方

戦いでは伏兵は深く隠れ、頭を隠して尾を露すなら、むしろ行かない方がよい。売買では貨物を速く売り、首尾ともに了結して、遅れて災いを受けないようにします。功名には龍門焼尾の象があり、関門を越えられれば吉。家宅は速く移るのがよく、遅れれば災いがあります。婚姻は合わず、遠ざかるのがよい。妊産は女を主に見ます。

二爻

一言で読む

柔らかく見える縛りほど強く、退くべき人を礼や情で逃がさない力になります。

現代語訳

黄牛の革でこれをしっかり縛ります。解こうとしても解けません。つまり、柔らかく見えるが非常に強い結びつきで逃がさない、という字面です。黄は中正の色、牛は柔順、革は堅くしなやかです。艮は皮であり手です。坤の気は黄牛です。黄牛の革で縛るとは、柔らかく見えて非常に解きにくい結びつきです。

この爻は特別です。六爻の多くは遯を言いますが、六二は遯と言いません。真に遯れようとするのは諸陽であり、その陽を退かせ、また礼や利益や情分で籠絡して逃がさない力が六二だからです。六二は九五に応じますが、表面の応は実際には迫りです。退かせながら、また固く繋ぐ。高島は、六二の固志は九五の正志と違い、五の志を固めて退けなくするものと読みます。

友人の気運占で遯が姤に変じた時、高島は、人は運に縛られること黄牛の革のごとく、志願があっても施せず、これが運の退く象だと読みました。また明治二十九年の皇国気運では、三国干渉、ロシアとフランスの清国償金斡旋などを例に挙げ、欧州列強が競って利を図り、清国の手足を黄牛の革で縛るようであり、日本をも籠絡しようとしていると見ました。日本は志を固く守り、内に軍備を修め、外に辞令を善くして、束縛を受けてはならないと読みました。

実際の読み方

戦いでは、諸軍が逃げ散ろうとする時、固く守れる者はよい。経営では、貨価が上がる時に旧本へ執着し、かえって売り抜けにくいことがあります。功名では、席珍待聘、美玉待沽の象がある一方、困難に縛られて脱しにくいこともあります。家宅は陰気が長じ、移りたくてもすぐ売れません。婚姻は成った後の退悔が難しく、仲介者が苦労します。妊産は女を主に見ます。

三爻

一言で読む

心に牽累があれば退くべき時にも離れられず、小事は保てても大局は遅れます。

現代語訳

退こうとしても繋がれています。病があり危ういです。臣や妾を養うには吉です。つまり、牽かれて退けないことは危険だが、小さな従属事務を残す程度なら吉、という字面です。繋は羈絆です。九三は陽剛で、内卦の上にあり、六二と親しく比します。二陰に牽かれて、すっぱり遠く引くことができません。退こうとしても志が決まらないので繋遯です。

退くべき時の退は、早く遠いほどよい。牽系があって憂い疑えば、病が身にあるように危うい。高島はここを細かく分けます。三が二陰に繋がれるのは、陰が陽を繋ぐので危うい。しかし三が陽をもって二陰を畜え、臣妾として使令の用に安置するなら、大節に関わらず、かえって吉です。つまり家用、従属事務、小さな附属は残せます。しかし人生の大節や大局の転身では、小さな牽累に大事を誤らせてはいけません。

友人が商業の盛衰を問い、遯が否に変じる九三を得ました。高島は、九三は二陰を恋い、退くに決せず、商業失敗の象だと読みました。貨物を売るべき時には速く売るべきで、元金を惜しんで迷えば、貨価は日々下がり、損は大きくなります。臣妾を畜う吉とは、残った資本で家を養う程度ならよいが、商業を再興しようとしてはならないということです。

実際の読み方

戦いでは進退に規律が必要で、鼓で進み金で退く時、一瞬遅れれば大敗します。経営では、売る時に価格へ恋々としてはいけません。功名では、奸人が当政する時は急流勇退がよい。家宅は病厄が多く、速く移るのがよい。婚姻は正式な大承諾には不利で、小さな取り決めだけなら保てる場合があります。妊産は女を主に見ます。

四爻

一言で読む

好意や利に誘われても縛られず退ける人は、清く身を保てます。

現代語訳

好ましい退き方です。君子には吉ですが、小人にはうまくいきません。つまり、好意や利益に絡まれても、君子ならそれに縛られず退ける、という字面です。九四は初六と応じ、初六は九四に好意を持つ形です。しかしその好意は必ずしも真に善いものとは限りません。九四の地位や名望を借りて自分を重くしようとすることもあります。九四はそれを見抜き、情好に縛られず、超然として遠く引くので好遯です。

好には二つの意味があります。一つは、人が自分を好むが、その好意に附かないことです。あなたが私を好んでも、私はそのために附きません。もう一つは、自分の好む所によって退くことです。世人は富貴功名を好みますが、君子は天を楽しみ命を知ることを好みます。自分の志によって退き、爵禄や情面に引かれないので吉です。小人は権位に恋うのでできません。

親友の気運占で、遯が漸に変じる九四を得ました。高島は、その職位の中に邪正の入り混じった僚属があり、外面は情好が厚いが、内には奸計が多い。声色に出さず、決然と引退するのが最上だと読みました。後に官制改革で非職の命を受けました。また杉浦重剛が千島艦事件の英国への再交渉を問うた時もこの爻を得ました。高島は、当時の大勢は曲直より強弱により、日本が公法を立てても直を得にくいので、退避して了事するのがよいと読みました。

実際の読み方

戦いでは、軍中に罠を設ける者があれば、退いて避けることも吉です。経営では、買入れを進、売出しを退と見て、今は出荷して利を得ます。功名では、本人に功名心がない場合、それが真の高節か虚名かを分けます。病は転危為安の象がありますが、明医に遇う必要があります。婚姻は後の離異に注意します。訴訟は走るを上策とします。妊産は男を主に見ます。

五爻

一言で読む

名分と時機を見て美しく退けるなら、退くこと自体が吉になります。

現代語訳

立派に退きます。正しく守れば吉です。つまり、退き方が正しく美しいなら吉、という字面です。九五は陽で陽位に居り、剛健中正です。六二に応じていますが、時勢を審らかにし、微かな兆しを知って、超然と遠く退けます。その退きは情に動かされたものでも、形勢に折られたものでもありません。志が決まり、方向が正しいので嘉すべきです。

象伝は「志を正しくするを以てなり」と言います。九五の退きは、六二の固志に対して、正志で退くものです。大象の不悪而厳でもあります。怒って逃げるのでも、狼狽して退くのでもなく、手続き、名分、時機、志向が正しい。退くことそのものが美事になります。

高島の親友、永井泰次郎の妻が妊娠した時、宴席で男女を占い、遯が旅に変じる九五を得ました。高島は、九五は乾に属し、陽で陽位にいるので男児の兆しと読みました。乾は父、艮は少男で、少男が父を継ぐ象があります。老父が財を譲って隠居することも遯意に合います。爻辞の嘉遯、貞吉は、子が家を継げることを示し、後に実際に男児が生まれました。

実際の読み方

戦いでは、敵勢が強い時に潜かに退いて軍を保全できれば称すべきです。経営では、貨物が当地で値に合わなければ別地へ移して利を得る、応変して正を失わない形です。功名では高位に近く、功成り身退くれば吉です。家宅は諸葛の草廬、陶令の旧宅のように、高風を尚ぶ象があります。婚姻は二五が応じても志が異なり、謝絶して別に聘するのが吉。病は陰邪の絡みつきを避け、潜かに調養すれば吉。妊産は男を主に見ます。

上爻

一言で読む

牽累がなく余裕をもって退ける時は、身も道も損なわず利があります。

現代語訳

ゆったり豊かに退きます。利でないことはありません。つまり、何にも縛られず余裕をもって退けるので、どこにも不利がない、という字面です。肥は余裕、豊かさです。遯卦の前の爻は、退きたくてもどこかに牽かれます。尾が露れ、執され、繋がれ、好意に牽かれます。上九だけは応も比もなく、誰にも縛られず、心を煩わせるものもありません。だから飄然と遠く引くことができ、進退に余裕があります。

象伝は「疑う所なきなり」と言います。上九は乾陽の最上にあり、形勢を明らかに見て、機を見てすぐ高く退くので、少しの疑いもありません。高島は、嘉遯は微子や張良に似て、肥遯は太伯、伯夷、商山四皓に似ると言います。困って逃げるのではありません。道義が足り、身心に余裕があるから退くのです。

明治十八年、中央アジアのアフガニスタン境界問題で英露が緊張し、各国が和戦を議した時、高島は遯が咸に変じる上九を得ました。内卦の山止を英国、外卦の天健をロシアと見ました。英国は備戦しても実は大戦の意が薄い。ロシアは健進して退を知らず、開戦の意があります。合卦の遯は英国の気運、反卦の大壮はロシアの気運です。英国はただ厳守して、ロシアに隙を与えなければよいと断じました。

実際の読み方

戦いでは、普通は進むのがよく、遯はよくありません。ただし太王が狄を避け岐へ移ったように、根本保存のための退きなら大利です。経営では、皆が競い追う時に、一人だけ人の捨てるものを取り、退いて進む形で厚利を得ることがあります。功名では膏粱で口を肥やすのではなく、道義で身を肥やします。家宅は地位が高く家道が富み、財を求めるには利があり、名を求めるには不利です。病は肥えた人の気虚、虚脱を防ぎます。婚姻は富家に恋して私奔することを防ぎます。妊産は男を主に見ます。

天山遯:読みの覚え

天山遯は、退くべき時に退く卦です。退避は敗北ではなく、身と道を守るための、時に合った判断です。

早く退くほど、よく守れる

遯では、まだ小さく見える陰の伸びを早く読むことが大切です。明らかに悪化してからでは、退くにも余力が要ります。

憎んで争うより、静かで厳かな距離を作ること。好意や義理でつながった牽累も、道を曇らせるなら断つ必要があります。

立てておきたい問い

- 退くべき兆しを、意地で見ないふりをしていませんか。 - 好意や義理が、離れる判断を鈍らせていませんか。 - 退くことで守れる道は何ですか。

大事で争う時ではない

人間関係、職場、投資、政治的な場では、悪化が明らかになる前に距離を置きます。小事は守れても、大事で正面から争う時ではない、と読むことがあります。

あわせて読む

天地否は閉塞の中で守る卦、天山遯はそこから身を引く卦です。山地剥と読むと、退かずにいると何が削られるかが見えてきます。

本卦の問い

退くべき兆しを、意地で見ないふりをしていませんか。

小さな違和感、約束の軽視、空気の変化を見ます。意地で残るほど、後で退く費用は大きくなります。

好意や義理が、離れる判断を鈍らせていませんか。

好意があっても、関わるほど道が損なわれるなら距離が必要です。遯は冷たさではなく、守るべきものを守る判断です。

退くことで守れる道は何ですか。

身体、信用、学び、家族、仕事の核などです。退く目的が分かれば、逃げではなく整った撤退になります。