六十四卦

六十四卦 意味・読み方

水天需|意味・卦辞爻辞解説(すいてんじゅ)

資料説明周易と高島易断をもとに整理
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。

引

一言で読む

前に険がある時は、焦って渡るより、信頼と資源を養いながら時を待つ卦です。

卦象と卦名

水天需は、上が坎水、下が乾天の卦です。需は、信実があれば光が差して通り、正しく待てば吉で、大きな川を渡るにも利がある。卦辞はそう告げます。雲気はもう天に上っています。しかし雨はまだ落ちていません。下の乾は剛健で、進みたい力を持っています。しかし前には坎の険があり、川、水、穴、危険が道をふさいでいます。

卦の中心的な意味

高島は「需」を「須」として読み、必要なものが満ちるまで待つことと解きます。本当の需は、何もせずに不満を抱えることではありません。軍隊が兵糧を待ち、商人が資本と航路を整え、病人が飲食と休養で気力を戻し、君子が風雲の会を待ちながら徳と才を養う。需とは、そういう待ちです。乾の強さがあるからこそ、すぐには突っ込まず、力を失わないように待てます。

向いている問い

仕事では、資金、承認、証拠、人員、物流、タイミングが足りない時に出ます。関係では、信頼が熟すまで急ぎません。投資、訴訟、手術、遠行など危険を伴う事では、勇気だけで渡らず、船、道、人、時を待ちます。需を得たら、三つ確認します。危険はどこにあり、自分からどれほど近いか。足りないものは資金か、証拠か、道具か、人か、信頼か。いまの待ちは養勢なのか、それともただの逃避なのか。待つ間に条件が厚くなっているなら、それは正しい需です。待つほど弱っていくなら、待ち方のほうを変えます。

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卦辞

一言で読む

待つ間に信と準備が整えば、あの危険な川も渡れる時がやって来ます。

原文

需:有孚、光亨。貞吉、利渉大川。

書き下し文

需は、孚有り、光いに亨る。貞にして吉、大川を渉るに利あり。

現代語訳

需は、信があれば明るく大きく通り、正しく守れば吉で、大川を渡るにも利があります。

卦辞の読み解き

ただ待てばよいのではありません。信頼と正しさがあり、道が見えてきた時、大きな危険にも進めます。

「有孚」は内外に信頼があることです。口約束だけでなく、心が真実で、相手も信じられ、証拠や約束が支えになる状態を指します。「光亨」は、暗かった局面に光が差し、通路が見え始めることです。「貞吉」は、待つ間も正しさを守り、焦って横道に入らないことです。

「大川を渉るに利があります」は、すぐ水に飛び込めという許可ではありません。川は険です。舟、橋、同伴者、水勢、時機が整った時に、はじめて渡ることが利になります。九五が中正の主位にあって上下に信を持たせるため、待つことが困窮には落ちません。

実際の読み方

大きな案件では、まず信頼、証拠、道具、ルートをそろえます。資金調達なら、資本が集まる前に無理に開局しません。交渉なら、相手の態度、条件、境界線が見えてから踏み出します。病気や手術なら、焦りで進めず、専門判断と安全条件を待ちます。実占では、「利渉大川」を雑に読みません。自分が信用でき、相手も信用でき、道が見え、リスクが管理できる。その四つがそろってから渡ります。需の吉は正しさを守って待った結果であり、賭けで手に入るものではありません。

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彖曰

一言で読む

力があるからこそ、前の険を見て踏み込まず、条件が満ちるまで待てるのです。

原文

需、須也、険在前也、剛健而不陷、其義不困窮矣。需、有孚、光亨、貞吉、位乎天位、以正中也。利渉大川、往有功也。

書き下し文

需は須つなり、険前に在るなり、剛健にして陷らず、其の義困窮せず。需は、孚有り、光いに亨り、貞にして吉なるは、天位に位し、正中なるを以てなり。大川を渉るに利あるは、往きて功有るなり。

現代語訳

需とは待つことで、危険が前にあります。剛健であっても険に落ちないので、道理として困窮しません。信があるから明るく通り、正しく中にいるので吉となり、大川を渡るにも利があり、進めば功があります。

彖伝の読み解き

下の乾は剛健です。能力も意志もあります。けれど上には坎の険があります。ここで剛健がそのまま突っ込めば、自分から険に入ることになります。剛健でありながら陥らない。これが需の知恵です。世の失敗の多くは、浮ついた焦りから来ます。前に危険があると分かっていながら、利益、体面、名声、不安に押されて勢い任せに進む。そうなると、本来の力がそのまま災いに変わります。需では、強さを耐心、補給、礼、信、判断へ回します。待つ対象は違っても、条件が満ちるまで乱れないという理は同じです。

実際の読み方

読む時は、「何を待つのか」を具体的にします。水が退くのを待つなら、橋や舟を備えます。人を待つなら、連絡と約束を守ります。資金を待つなら、予算と現金繰りを整えます。機会を待つなら、技能と人望を養います。相手の返答を待つなら、自分の誠意と条件を先に明らかにしておきます。

まだ郊にいるのか、沙に近づいたのか、泥に入ったのか、血穴にいるのか、酒食の正位か、入穴の終局か。需は、待つ距離と危険の深さを、爻ごとに細かく読み分けます。

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象曰

一言で読む

雨が来る前の時間をどう使うか。焦りではなく、養いと整備のほうへ回します。

原文

云上于天、需、君子以飲食宴楽。

書き下し文

雲天に上るは需なり。君子以て飲食し宴楽す。

現代語訳

雲が天に上っているのが需です。君子はこれを見て飲食し、宴を楽しみます。

象伝の読み解き

雲は天にあります。雨の兆しもあります。しかし雨は、人が怒って催せば落ちるというものではありません。

高島の読みで、「飲食宴楽」は放縦を指しません。節度ある飲食、身心の養い、人との和、待機中の余裕として読みます。孔子が粗い飯と水でも楽しみを失わず、顔回が一箪の食、一瓢の飲でも道を楽しんだように、ここでの飲食は、心を乱さないための養いです。君子は風雲がまだ会わない時、怨みにも焦りにも取り入りにも走りません。待っている間に、体、徳、関係、後方を整えます。

実際の読み方

現実では、待ち時間を訓練、休息、備蓄、連絡、関係維持に使います。チームなら、人に食べるもの、休む時間、希望、役割を与えます。家庭なら、焦りを身近な人にぶつけず、生活のリズムを守ります。事業なら、資金繰り、在庫、顧客連絡を整えます。需の象は、待つ人を消耗させないための教えです。養いがなければ、待機はただ枯れていきます。養いがあれば、待機は力を蓄えます。

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占断

一言で読む

前路に険があります。信を守り、兵糧と資本を整え、焦って踏み込まないことです。

総合的な占意

この卦を得た時は、時機がまだ来ず、前に険があり、資本、兵糧、人手、証拠などがまだ揃わないことが多いと読みます。吉は信を守って時を待つことにあり、凶は焦って険に入ることにあります。

項目別の占断

  • 事業・功名:資源が揃わない時は日程、資金、人手を整え、才徳を養って時を待ちます。
  • 投資・売買:高利の誘いで険へ入らず、価格、信用、販路の虚実が明らかになるまで待ちます。
  • 債権回収:相手は背信より事務や資金の混乱かもしれず、自ら危険な場所へ押しかけません。
  • 病気・妊産:養生して待てる状態と、出血や重症で待てない状態を分け、専門判断に従います。
  • 貴人との面会:礼儀と忍耐を保ち、急いで結果を迫りません。
  • 軍事・組織:先に兵糧、補給、証拠、外交上の礼を整え、待機そのものを能力にします。

六爻の要点

  • 初九:険から遠い郊外で常道を守り、必要な資源を備えて久しく待ちます。
  • 九二:水辺の砂まで近づき小言があっても、中を守って議論に動じません。
  • 九三:泥へ入り険が迫っているため、外患を招く前に危険な位置から退きます。
  • 六四:すでに傷を受け穴へ入り、専門家に従って止血、損切り、脱出を優先します。
  • 九五:酒食で人を養い休ませ、享楽ではなく正しい待機を保ちます。
  • 上六:行き詰まった状況に予期しない客が来るため、まず礼をもって迎え、援助か圧力かを見極めます。

実際の読み方

事業では、資源が未整備なら日程、資金、証拠、チーム、許認可を整えます。投資では、高利の言葉に誘われて険しい局面へ入らず、虚実が見え、価格や人心が落ち着くまで待ちます。追債では、相手が故意に背信しているのか、ただ事務と資金が混乱しているのかを見ます。医療では、待ってよい養生と、待ってはいけない危険を分けます。

高島の占例

左右田金作の出資占で高島が初九を取り、危険な会社にまだ近づいていないので待つべきと断じ、後に会社の禍難と株価下落を見てから判断できたように、需は「永遠にしない」ではなく「険の虚勢が退くまで待つ」卦です。

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初爻

一言で読む

危険からまだ遠いなら、慌てる必要はありません。日常の節度を守って待ちます。

原文

初九:需于郊、利用恒、無咎。

書き下し文

初九、郊に需つ、恒を用うるに利あり、咎なし。

現代語訳

郊外で待ちます。いつもの道を守ることが利になり、咎はありません。

爻辞の読み解き

危険からまだ遠い場所で、平常の節度を保って待つ。初九の位置です。

郊は町の外、遠い場所です。坎の水険は見えていても、まだ足元には迫っていません。初九は乾の剛健を持ちますが、最下にあり、まだ険に入っていません。恒とは、常道、持続、平常の判断です。遠くの危険を見て慌てるのでもなく、遠いからと軽んじるのでもなく、距離を保って待ちます。行旅が金を持ったまま水に阻まれる、商貨が郊外にしばらく置かれる、初めて名を求める人が草野に退いて待つ。初九から取るのは、そうした象です。

実際の読み方

事業では、まだ危険に入っていないうちに観察し、資源を守ります。売買では、貨物を安全なところに置き、道が通るまで待ちます。功名や就職では、初めから性急に進むことを避け、力を養います。病気なら、清静に養生します。

高島の占例

左右田金作の会社への出資占のように、まだ詐謀や泡沫から遠い時は、最良の策は近づかないことです。離れていられる段階で離れていられるのは、大きな福です。

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二爻

一言で読む

険に近づけば小言も出ます。足を取られる前なら、中道を守って終わりは吉です。

原文

九二:需于沙、小有言、終吉。

書き下し文

九二、沙に需つ、小しく言有り、終には吉なり。

現代語訳

砂地で待ちます。少し言葉の問題がありますが、終わりには吉です。

爻辞の読み解き

水辺に近づき、小さな噂や口論も出てきます。それでも、まだ深くは陥っていません。

沙は郊より水に近く、足元もゆるみ始めています。九二は中を得ているので、険に近づきながらも落ち着きを保てます。「小しく言有り」とは、噂、口論、遅延への不満、誤解、報告の錯綜です。完全な平穏とは言えません。しかし、まだ泥に陥ったわけではないので、流言に引かれて判断を乱さなければ終に吉となります。戦いなら沙漠や伏兵、偵察の誤報。商売なら河橋や運送の遅れ。人事なら待機中の議論。問いに応じて読み分けます。

実際の読み方

チームでは、小さな陰口や不満にすぐ過剰反応しません。物流や契約では、橋、道路、水路、書類、手続きの遅れを確認します。関係では、相手の一言を取り上げて全体を壊しません。

高島の占例

永井泰次郎の貸金回収占で、高島がこの爻を取り、相手は背信ではなく商務で混乱しているだけだから待てと読んだように、九二は「遅れ=裏切り」と決めつけない知恵を教えます。

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三爻

一言で読む

危険のすぐそばで待てば、立ち位置の悪さが、そのまま外からの害を招きます。

原文

九三:需于泥、致寇至。

書き下し文

九三、泥に需つ、寇の至るを致す。

現代語訳

泥の中で待ちます。賊が来ることを招きます。

爻辞の読み解き

危険に近づきすぎた場所で動けずに待つ。外からの害を、自分で呼び込む形です。

泥は水際にあり、濡れ、重く、足を取ります。九三は乾の終わりで、外の坎の険に最も近いところです。剛が重なって進みすぎ、待つ場所を誤っています。外に災いがあるだけではありません。自分の立ち位置が、それを呼び込みます。戦場で敵境に近づきすぎる、商売で引き上げにくい場所に資金を置く、婚姻や官司が泥沼化する、牢獄や病災を招く。九三が挙げるのは、こうした象です。ここでは、待つことがそのまま安全策になるわけではありません。場所を変えなければ、待つことそのものが危険になります。

実際の読み方

投資では、資金を抜きにくい案件や、相手の勢力圏の奥へ入りません。競争では、相手の土俵に長居しません。感情関係では、衝突点のすぐそばで返事を待ち続けるのをやめます。官司や債務では、小さい問題を大きな外患にしないうちに退きます。九三の教えは、勇気ではなく位置です。危険な泥地で待たず、まだ動けるうちに場所を直します。

高島の占例

高島が佃島の獄中で同囚の身事を占って九三を得た時、横須賀工事の外役そのものより、別の病災や外来の禍を防ぐべきだと判断し、自愛と慎重を勧めました。九三の寇は人だけでなく、病、官事、債務、世論など、自分の険しい位置が招く災いにもなります。

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四爻

一言で読む

すでに傷つき、険の中にいます。強がらず、専門の助けに従って穴を出ます。

原文

六四:需于血、出自穴。

書き下し文

六四、血に需つ、穴より出づ。

現代語訳

血の中で待ちます。そして穴から出ます。

爻辞の読み解き

すでに傷つき、険しい穴の中にいる。それでも正しく従えば、そこから出られます。

六四は外卦の坎に入り、険はもう遠くにはなく、身に及んでいます。血は戦傷、出血、心血の消耗、痛みです。穴は谷穴、坑穴、鉱穴、病の深所、産道、逃げ場のない場所を指します。ここで効くのは「順以て聴く」です。柔順に現実を聞き、専門の言葉を聞き、脱出の道に従うから、穴より出られます。この爻は、医療、出産、鉱山、危機脱出の問いに鋭く働きます。すでに血がある時に、意地や体面で待ち続けてはいけません。

実際の読み方

危機では、第一に止血と出口です。事業で損失が出ているなら、撤退、再編、債務整理、専門相談へ動きます。病気、出産、出血、手術の可能性がある場合は、迷わず専門医にかかります。鉱山や地下資源など、安全リスクのある仕事では、規則と安全を重んじます。

高島の占例

イギリス人医師の娘の難産占で、高島がこの爻を取り、外科的処置を勧めた例のように、六四は「もう待てない危険」を示すことがあります。卦は医学の代わりではなく、専門治療へ向かわせる警鐘です。

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五爻

一言で読む

正しい待機には、補給と休息ともてなしがあります。人を養うから吉になります。

原文

九五:需于酒食、貞吉。

書き下し文

九五、酒食に需つ、貞にして吉なり。

現代語訳

酒食をもって待ちます。正しければ吉です。

爻辞の読み解き

待つ場が整い、飲食や休息によって人が養われるなら吉。九五はその位です。

九五は需卦の主位で、中正を得ています。ここでの酒食は、放縦な享楽を指しません。待機している人、兵、民、家族、チームに、必要な飲食、休息、報酬、もてなしを与えることです。得勝後の犒賞、鹿鳴宴、飲食業、婚宴、出産後の祝い。読み取れる場面は幅広いですが、根はすべて「養人」にあります。需が九五まで来ると、待機は消耗ではなく、秩序ある養いに変わります。人は養われるから待てます。礼と食があるから、関係は保たれます。

実際の読み方

管理では、チームの補給、休息、報酬、会食、承認を整えます。事業では、飲食、食糧、供給、輸入、物流、備蓄に関わる象が出ます。人に会う時は、礼を尽くし、急に結果を迫らず、場を整えます。婚育では、宴席や喜びの読みになることもあります。

ただし、酒食を貪楽にしてはいけません。九五の吉は中正にあります。養うための食であって、溺れるための食ではありません。

高島の占例

ある人が貴顕への拝謁と請願を望んだ時、高島は九五を得て、貴顕は喜んで迎え、酒食を設けて厚く遇し、来訪者も志を達すると判断しました。後にその通りになりました。条件と礼が整った正式な面会や重要交渉に九五が応じる例です。

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上爻

一言で読む

険の奥で思わぬ来客や圧力を受けたら、礼を守って迎えます。そこに出口ができます。

原文

上六:入于穴、有不速之客三人来、敬之終吉。

書き下し文

上六、穴に入る、速かざるの客三人来ること有り、之を敬えば終には吉なり。

現代語訳

穴に入ります。招いたわけではない客が三人来ます。その人たちを敬えば、終わりには吉です。

爻辞の読み解き

険の奥にいても、外から来る人や変化を礼で受ければ道は開く。上六の教えです。

上六は坎の終わりで、すでに穴の中にいます。自分から大きく主導できる場所ではありません。そこへ、内卦の三陽を象徴するような「速かざる客三人」が来ます。招いたわけではない客、外援、外圧、買主、仲裁者、観察者、媒人などです。大切なのは「これを敬すれば終に吉」です。突発の変数を、拒絶や争いで迎えず、礼をもって受け、秩序を保ちます。同じ「穴」でも、病なら墓穴や体内の深病、商売なら鉱穴や倉庫、家宅なら陰湿な場所、人事なら迷い込んだ場所、軍事外交なら険守の地。読み分けはここまで細かくなります。

実際の読み方

苦境では、外部の人、圧力、援助、買主、仲裁が突然来ることがあります。まず礼を守り、相手を観察し、条件を整えて受けます。争いごとでは、和解や周旋に利があります。貨物や倉庫では、客が来たら売る機会と見ますが、湿気や保管リスクも合わせて見ます。病では、たとえ終吉の語があっても重症として扱います。上六は、需が尽きる時の変化です。自分の思い通りに来た客でなくても、敬して扱えば、閉じた穴に出口が生まれます。

高島の占例

占例1

高島は上六で友人の妻の胃癌を占い、入穴を墓穴の象として重病と判断し、ほどなく亡くなりました。

占例2

中野氏の自殺を占った時は、事業の負債に迫られ、神魂が定まらない入穴の象と読みました。

占例3

伊東氏の子が長く消息不明だった時は、同僚三人と外で遊び続けており、月末に帰ると判断しました。

占例4

陸軍の気運を占った時は、外国の参謀が兵備を見に来る象とし、来賓を礼遇して国交を密にすべきだと読みました。同じ「穴」も、病なら墓穴、事業なら鉱穴、人事なら耽溺の場、軍事外交なら険守の地となるため、問いに応じて弁別します。

水天需:読みの覚え

水天需は、危険の前でただ止まる卦ではありません。信を保ち、糧を蓄え、渡れる時まで身を整える卦です。

待つことも仕事になる

需の待ちは、怠けというより準備です。焦って険に入らず、食事、資金、信用、連絡を整えます。時が来たらすぐ動けるよう、待っている間に体勢を作っておきます。

何を待っているのかを言葉にする

待つ対象を具体的に言えない時、その待ちは不安の先延ばしに変わりやすくなります。返事なのか、資金なのか、回復なのか、許可なのか、天候なのか。まずそこをはっきりさせます。対象が決まれば、待つ間に補給すべきものも決まります。体力、資金、情報、信用、食事、人との連絡。この補給が、後の渡り方を左右します。

条件が満ちるまで荒らさない

交渉、投資、転職、病気の回復では、条件が満ちる前に結果を急ぎません。待機中に礼を尽くし、人を養い、予定と出口を整えるほど、需の待ちは力を持ちます。

待機を消耗に変えない

九五が酒食を置くのは、待つ人を枯らさないためです。補給も休息も報酬もないまま待たせれば、待機はそのまま消耗になります。自分が待つ側なら、生活のリズムを崩さず、焦りを身近な人へぶつけません。

険の前と、険の中

天水訟とあわせて読むと、需は険に入る前に条件を整える時、訟は険に入った後に争いが起きた時だと分かります。需の段階で条件を詰めておけば、避けられる争いは少なくありません。水雷屯とあわせれば、屯は始まりの秩序をどう立てるかを問い、需は時の来ない間にどう養うかを問う、という違いが見えてきます。

水天需:読みの覚え札記を開く

水天需は、危険の前でただ止まる卦ではありません。信を保ち、糧を蓄え、渡れる時まで身を整える卦です。

待つことも仕事になる

需の待ちは、怠けというより準備です。焦って険に入らず、食事、資金、信用、連絡を整えます。時が来たらすぐ動けるよう、待っている間に体勢を作っておきます。

何を待っているのかを言葉にする

待つ対象を具体的に言えない時、その待ちは不安の先延ばしに変わりやすくなります。返事なのか、資金なのか、回復なのか、許可なのか、天候なのか。まずそこをはっきりさせます。対象が決まれば、待つ間に補給すべきものも決まります。体力、資金、情報、信用、食事、人との連絡。この補給が、後の渡り方を左右します。

条件が満ちるまで荒らさない

交渉、投資、転職、病気の回復では、条件が満ちる前に結果を急ぎません。待機中に礼を尽くし、人を養い、予定と出口を整えるほど、需の待ちは力を持ちます。

待機を消耗に変えない

九五が酒食を置くのは、待つ人を枯らさないためです。補給も休息も報酬もないまま待たせれば、待機はそのまま消耗になります。自分が待つ側なら、生活のリズムを崩さず、焦りを身近な人へぶつけません。

険の前と、険の中

天水訟とあわせて読むと、需は険に入る前に条件を整える時、訟は険に入った後に争いが起きた時だと分かります。需の段階で条件を詰めておけば、避けられる争いは少なくありません。水雷屯とあわせれば、屯は始まりの秩序をどう立てるかを問い、需は時の来ない間にどう養うかを問う、という違いが見えてきます。

この卦を読む前に

本卦、動爻、問いを照らす

卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。

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本卦の問い

需が出ました。いつまで待てばよいのですか。

測るのは期限より条件です。自分が信用でき、相手も信用でき、道が見え、危険が管理できる。この四つがそろった時が、「大川を渉る」に利がある時です。爻によって郊、沙、泥と待つ距離が違うので、自分が険からどれくらい離れているかも見ます。

待っているのか、逃げているのか分からなくなりました。

待つ間に条件が厚くなっているかで見分けます。資金、技能、信用、人の縁が増えているなら養勢です。何も増えないまま日が過ぎ、体力と気力だけが減っているなら、待ち方のほうを変えます。

もう待てない、と感じる時はどう読みますか。

六四のように、すでに血が出ている局面では待ちません。出血、重症、資金の枯渇、法的期限が絡む時は、意地や体面を捨て、専門家に従って止血と脱出を先にします。需は、危険を我慢する卦ではありません。

需が出ました。いつまで待てばよいのですか。開く

測るのは期限より条件です。自分が信用でき、相手も信用でき、道が見え、危険が管理できる。この四つがそろった時が、「大川を渉る」に利がある時です。爻によって郊、沙、泥と待つ距離が違うので、自分が険からどれくらい離れているかも見ます。

待っているのか、逃げているのか分からなくなりました。開く

待つ間に条件が厚くなっているかで見分けます。資金、技能、信用、人の縁が増えているなら養勢です。何も増えないまま日が過ぎ、体力と気力だけが減っているなら、待ち方のほうを変えます。

もう待てない、と感じる時はどう読みますか。開く

六四のように、すでに血が出ている局面では待ちません。出血、重症、資金の枯渇、法的期限が絡む時は、意地や体面を捨て、専門家に従って止血と脱出を先にします。需は、危険を我慢する卦ではありません。