六十四卦 意味・読み方
天風姤|意味・卦辞爻辞解説(てんぷうこう)
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。
引
小さな一端が強い局面へ入り込み、思いがけない出会いが始まります。
卦象と卦名
姤は上が乾天、下が巽風です。天下に風がある。風は形がなく、どこへでも行きます。知らせ、きっかけ、機会、関係が、ふいに身近へ来るような象。姤とは、遇うこと、出会うこと、予定しなかった会合です。
卦の中心的な意味
姤は夬の反対です。夬では一陰が上にあり、五陽がそれを決し去ろうとしました。姤では、一陰がまた下から生まれます。造化はこのように、陰陽が消長し、去ってまた来ます。陽だけの世界はなく、問題が永久に消えたふりもできません。大切なのは、陰柔が初めて来た時、早く見分け、早く包み、早く境界を置けるかどうか。そこに尽きます。
卦辞は「女壮なり。女を取るに用うる勿れ」と言います。古文では女壮という言い方で、陰柔の勢いが初めて生まれ、しかも速く伸びることを戒めます。現代の読みでは、これを単純に女性が悪いという話にしてはいけません。初めて来た吸引、私情、誘因、協力の話、欲望が、小さいのに勢いを持つ。そのとき初めから核心を渡すな、という警告です。
向いている問い
姤を得たら、接触までは構いません。深く結びつくのは、もう少し後にします。観察するのもよいのですが、権限や核心をいきなり渡してはいけません。
最初の出会いで規則を決めます。小事が大勢となり、小念が大欲となり、小さな関係が大きな巻き込みになるのを防ぎます。
卦辞
初めて来た強い誘因ほど、小さいうちに境界を置きます。
原文
姤:女壮、勿用取女。
書き下し文
姤は、女壮んなり、女を取るに用うる勿かれ。
現代語訳
女の勢いが強い。女を娶ることに用いてはいけません。
卦辞の読み解き
初めて来た柔らかい力が強く伸びる時、それを深い結びつきとして受け入れてはいけない。卦辞の戒めはそこです。姤は五月の卦で、一陰が坤の初から来て、乾の下に生じます。陰が現れたばかりの時、しるしは小さい。しかし勢いは速い。霜がほんの少しから始まり、久しければ堅い氷になるようなものです。初めに防がなければ、後には防ぎきれません。
古人は、家道の敗れを女禍として語ることが多かったため、「女壮」を戒めの語にしました。現代の説明では、この「女」を陰柔、私情、誘惑、まだ形になっていない負の要素、あるいは初めて来たのに速く広がる力として読みます。女性に近づくなという話ではありません。不正な出会いを軽く受け入れるな、不正な柔勢に権限を与えるな、という戒めです。
「女を取るに用うる勿れ」も、すべての婚姻を否定する言葉ではありません。姤のような不期の私的な形で取るな、という限定です。出会いが正しければ、天地が遇って万物が生まれ、男女が遇って家道が成り、君臣が遇って政と教えが成ります。長くともにできないのは、不正な出会いだけです。
実際の読み方
恋愛を問うなら、心が動いたかどうかだけでなく、正しいか、長く続くか、境界があるかを見ます。協力や取引なら、初めて来た機会にすぐ核心権限を渡しません。
欲望なら、起こったばかりの念の行き先を見ます。人事なら、小さな偏りを制度の問題へ育てないようにします。
彖曰
出会いは機会にもなりますが、正しく包めない柔勢は禍になります。
原文
姤、遇也、柔遇剛也。勿用取女、不可与長也。天地相遇、品物咸章也。剛遇中正、天下大行也。姤之時義大矣哉!
書き下し文
姤は遇なり、柔の剛に遇うなり。女を取るに用うる勿かれとは、与に長かるべからざればなり。天地相遇いて、品物咸く章らかなり。剛の中正に遇いて、天下大いに行わるるなり。姤の時義大いなるかな。
現代語訳
姤は遇うことです。柔が剛に遇うことです。女を娶ることに用いてはいけないのは、ともに長くすることができないからです。
彖伝の読み解き
出会いは起こる。ただし正しくない柔勢と長く結んではならない。彖伝はそこを分けます。乾は剛、巽は柔。天は清明に上にあり、微風が下から起こってこれに遇う。だから柔遇剛です。遇うことそのものに罪はありません。悪いのは、遇い方が正しくないまま、その後に好きなだけ伸ばしてしまうところです。
彖伝はさらに「天地相遇いて品物咸く章らかなり。剛、中正に遇いて天下大いに行わる」と言います。天地が遇うから万物が明らかになります。剛健の徳が中正に遇うから、教化が天下に通ります。姤の核心は、すべての出会いを拒む所にはありません。出会いを正しくする所にあります。
天下に女がないことも、遇がないこともあり得ません。「女壮」だから女を絶ち、遇を退けようとすれば、天下を寂滅に向かわせるだけで、聖人が易を作った本意から外れます。本当に戒めるべきなのは、不正な出会いを放任して長じさせるところです。六爻の中では、九五が最もよく「包む」ことができます。中正によって柔を包み、柔が剛を侵さないようにし、かえって助けとします。
国家に置くと、宮中、内政、私門、近習は、大乱の始まりになりやすい所です。内が必ず悪いからではありません。小さい勢いが内側から育ちやすいからです。君徳が中正で、命令が四方に通り、内外に法があれば、姤は教化となります。初めに姑息へ流れれば、後には剥になります。
実際の読み方
姤は二層で読みます。出会いそのものは機会であり得ます。出会った後に、それを育ててよいかどうかが吉凶の分かれ目です。
よい出会いは包み、導き、成就させます。悪い出会いには、約束を置き、隔て、伸び過ぎを止めます。
象曰
新しいものを受け入れる前に、規則を四方へ知らせておきます。
原文
天下有風、姤、后以施命誥四方。
書き下し文
天の下に風有るは姤なり。后以て命を施し四方に誥ぐ。
現代語訳
天下に風があるのが姤です。君はこれを見て、命令を施し、四方に告げます。
象伝の読み解き
風が行き渡るように、上に立つ者は命令や規則をはっきり伝える。象伝はそう教えます。風は天下を行き、遠く届かない所がありません。君王はこの象に法り、命令を発し、訓告を出し、四方に上の意を知らせます。
姤は相遇です。上の意が通らず、下の心が疑っていれば、本当の出会いは成りません。だから一つの政を立て、一つの法を興し、一つの事を始める時は、規則、目的、境界、賞罰を明らかに言います。命令が風のように伝わって初めて、人々はどう接すればよいかを知ります。
これは卦辞の「女を取るに用うる勿れ」とも通じます。出会いの前に規則がなければ、出会った後に私情が主になります。先に命を施し、四方へ告げる。それは偶然の出会いを正道の中へ入れ、私的な遇を明らかな遇へ変える手続きです。
実際の読み方
管理では、制度を出してから人や機会を受け入れます。家庭では、境界と家の決まりを先に言います。関係では、黙契だけに頼らず、譲れない一線を言葉にします。
新しい人、新しい金、新しい機会が入る時ほど、先に規則を明らかにします。
占断
出会いの初めは慎みます。風は速く、巻き込みも広がります。
総合的な占意
姤のよさは、風が天下を行く所にあります。姤の怖さもまた、同じ所にあります。一つの知らせ、一つの関係、一つの欲、一つの争いが、すぐ広がります。だから、初めの出会いのうちに定めておくのが何より大切です。
項目別の占断
- 時運と功名:好運が盛んに行き、名を四方、四海に知らせる象があります。
- 戦いと経営:軍令は速く、賞罰は信を重んじます。遠方への交易には利がありますが、制度と契約を先に整えます。
- 婚姻と関係:公開され、名分と礼にかなうことが大切です。私的な出会いだけで急いで結べば長続きしません。
- 家宅・病・訴訟:風による家屋の損傷、驚風や肝風、四肢のこわばりに注意します。訴訟は巻き込みが広がりやすく、失せ物は遠くへ移って得にくい象です。
六爻の要点
- 初六:小さな巻き込みが生じた時点で境界を設ければ止まり、放置すれば大患になります。
- 九二:危ういものを管理できる範囲に包み、外からの介入で広げません。
- 九三:進退に迷ってもまだ深く牽かれていないため、限界線を守れば転じる余地があります。
- 九四:得るべき機会や人心を失い、空しく包もうとしても凶が生じます。
- 九五:力ある者が来るものを正しく包み、美質を含んで天時を待ちます。
- 上九:剛い出会いが極まって吝となりますが、ここで返れば大きな咎を免れます。
実際の読み方
機会を問うなら、接触してよいが、結びつきは少し遅くします。危険を問うなら、どこまで巻き込まれるかを先に見ます。関係なら、公開で正当かを見ます。
事業なら遠方の交易に利があるものの、制度と契約を先に立てます。
初爻
小さく弱い乱れも、最初につなぎ止めれば吉。放てば凶です。
原文
初六:係于金柅、貞吉、有攸往、見凶、羸豕孚蹢躅。
書き下し文
初六、金柅に係がる、貞にして吉なり、往く攸有らば、凶を見る、羸豕孚として蹢躅す。
現代語訳
金柅につなぎます。正しく守れば吉です。行く所があれば凶を見ます。痩せた豚も、確かに落ち着かず行きつ戻りつします。
爻辞の読み解き
小さく弱いものでも、最初につなぎ止めれば吉。放って動かせば、そこから凶が見えます。金柅は糸をからめる道具で、乾の金と巽の木の象を取ります。柔らかい糸をつなぎ止めれば正を守れますが、放って乱れれば、すぐ紊れます。
羸豕は痩せた雌豚、蹢躅は不安げに行ったり来たりするさまです。初陰はまだ弱いけれど、内には動き回る気があります。これをつなぎ止めなければ、後には陽を消し、剛を剥ぐ所まで進むかもしれません。姤の初爻で何より大切なのは、早く防ぐことです。問題がまだ小さい時こそ、規則、境界、制度でつなぎ止めるのに向いています。
実際の読み方
時運は今、牽制を受けており、妄りに動いてはいけません。戦いでは兵力が弱く、固守が吉です。焦って攻め上がれば凶になります。経営では店に座って商うのがよく、走り回る商いには不利です。
功名は旧を守るのがよい時です。婚姻は正しく内に位置すれば吉。家宅は内門の乱れを防ぎます。病は陰弱の症で静養がよいでしょう。行人は外に引っかかりがあり、しばらく帰りにくい時です。
高島の占例
明治十八年十二月、鳥尾得庵が東欧の乱事を語り、ブルガリアとルメリア両国の乱の結末を問うて、姤が乾に変じる初六を得ました。高島は、二国は一陰の小国のようなもので、国境を守り、互いに友好を修めるなら金柅につなぐ吉である。しかし外国のそそのかしを聞き、妄りに兵を動かせば、たちまち凶災を見る。羸豕蹢躅は、弱小でありながら躁動する国々があちこち乱れ動く象だと断じました。
二爻
危ういものは内で包めば咎なし。外の客には触らせません。
原文
九二:包有魚、無咎、不利賓。
書き下し文
九二、包に魚有り、咎なし、賓に利あらず。
現代語訳
包みの中に魚があります。咎はありません。賓には利がありません。
爻辞の読み解き
危ういものを内側で包み、制御できるなら咎はありません。ただし外の客へ渡しても利にはなりません。乾には包容の象があり、巽は魚です。魚は初陰を指します。九二は内卦の中位にあり、剛中で初を包めます。激しく追いつめて変を起こすでもなく、姑息に養うでもなく、包みつつ制するので大過はありません。
「賓に利がありません」というのは、この柔らかく小さい要素がすでに九二に包まれているからです。部外の人や客に取らせたり、手を入れさせたりしてはいけません。小人、欲、私情、危険を扱ういちばんよい方法は、外へ広げる所にはありません。初めのうちに包み、限りを置き、長じさせない所にあります。
実際の読み方
時運は、世の中で君子だけに遇うことはないので、調えて害を受けないようにします。功名では、魚が龍に化す象があり、昇る望みがあります。経営では貨物が満ち、利を外人に奪われません。
戦いでは、兵を善く用いれば敵を破れます。婚姻は陽が陰を包む形で成ることがあり、家宅は女性が主となる象です。病は池魚の殃、思わぬ巻き添えの病を防ぎます。
高島の占例
某甲が気運を問うて、姤が遯に変じる九二を得ました。高島は、この人が本当に問いたいのは気運ではない、ある女性の事だと読みます。後に聞くと、商人が妻を家に残しており、その妻と某甲が私通していました。夫が帰った後、妻を外国商人に預け、金を借りて身を抵当にしたように装い、最後には夫が妻を捨て、某甲が娶ることになります。爻象の包有魚、不利賓がまさに応じました。魚は争い得る物のようで、包んだ者に利があり、賓には不利です。
三爻
落ち着かない時でも、まだ牽かれていなければ大咎はありません。
原文
九三:臀無膚、其行次且、厲、無大咎。
書き下し文
九三、臀に膚なし、其の行くこと次且たり、厲きも、大なる咎なし。
現代語訳
尻に皮膚がありません。その行き方はためらいがちです。危ういけれど、大きな咎はありません。
爻辞の読み解き
落ち着けず、進むのもためらう。それでもまだ完全には牽かれていないので、大咎には至りません。臀に膚なしとは、座って安らかでないこと。行くこと次且とは、歩こうとしてためらうさまです。三は巽体の上、乾体の下にあり、剛柔の境にいます。進みたいのに進めません。だから危ういのです。
幸い象伝は「其の行くこと次且たりとは、行きて未だ牽かれざるなり」と言います。ためらいはあっても、まだ完全に牽制されてはいません。初六の妄動に比べれば、九三の危険は優柔不断の側にあります。しかし乾健の性をまだ保っているので、危うくても大きな咎には至りません。
実際の読み方
時運は気が弱く、ためらいが多く、動けば危うい時です。戦いでは進もうとして進めず、疑いが危険を生みますが、大敗には至りません。経営は運送や売買が早く進まず、利を得にくいでしょう。
功名はまだ待つ時です。婚姻は遅れれば成ることがあります。重大な計画で、すでに坐立不安なら、時機がまだ定まっていません。強行しない方が無難です。
高島の占例
占例1
友人がある事の成否を問うて、姤が訟に変じる九三を得ました。高島は、事は意外から起こり、座るも行くも難しく、結局は成らないけれども大過はないと断じました。
占例2
明治二十八年、三浦中将が朝鮮公使として赴任する前、交際政策を占って同じ爻を得ています。高島は外卦を日本、内卦を朝鮮とし、朝鮮は柔弱で、後宮が権を擅にし、朝政が侵されると読みました。臀無膚は近身の災い、其行次且は改めようとして改められないこと、すなわち国勢の危うさです。
占例3
明治三十年に伊藤侯爵の気運を占った時も、この爻でした。小人が次第に出て善後の計を妨げる、侯爵は徳望があっても位に安んじにくい。そう読んだところ、その年十月、伊藤は総理大臣を辞しました。
四爻
包むべきものを失えば包みは空。凶はそこから起こります。
原文
九四:包無魚、起凶。
書き下し文
九四、包に魚なし、起てば凶なり。
現代語訳
包みの中に魚がありません。凶を起こします。
爻辞の読み解き
受け止め制御すべきものを失えば、包みは空になります。凶はそこから起こります。巽は魚で、魚は本来初陰を指します。九二がすでに魚を包んでいるので、九四が包もうとしても得るものがありません。制御すべきものを制御できず、親しむべきものが離れ、受け止めるべき人心が流れ去った。そこから凶が起こります。
象伝は「魚なきの凶は、民に遠ざかるなり」と言います。この魚は民にもたとえられます。治める者は民を遠く追いやってはなりません。同胞として包み養います。民を遠ざけ、民を失い、民がなくなれば、包みは空になり、凶は自然に来ます。
実際の読み方
時運は剛が柔に変わり、器量が浅く、凶が多い時です。戦いでは主将の才が薄く、衆軍を包容できず、兵変を防ぎます。経営では包みに魚がなく、袋も空で、利を得にくいでしょう。
功名は、魚がなければ水が涸れるように、名がなければ人は窮します。婚姻は子を重く見ますが、魚なしは妊りにくい象で凶です。家宅は孤立して民から遠く、不測を防ぎます。病は陰が極度に虚し、陽が包めず凶です。
高島の占例
ある友人が気運を問うて、姤が巽に変じる九四を得ました。高島は、姤は不期の出会いであり、四爻は魚を包もうとするが魚はすでに二へ帰っているので、謀っている事はすでに他人の手に落ちていると読みます。相談者の運は順ではないけれども、今はなお含容し優待して、包みを失った所から凶禍が生じるのを防ぐべきだと断じました。
五爻
強い者が柔を正しく包み、美質は内に。結実は天に任せます。
原文
九五:以杞包瓜、含章、有隕自天。
書き下し文
九五、杞を以て瓜を包む、章を含む、天より隕つること有り。
現代語訳
杞の木で瓜を包みます。文采を内に含みます。天から落ちるものがあります。
爻辞の読み解き
強いものが柔らかいものを包み、美質を内に保つ。最後の結実は天命によって来ます。杞は曲げて物を包める木、瓜は柔らかく蔓を伸ばすものです。杞で瓜を包むとは、剛の中に柔があり、上が下を包み、強いものが弱いものを護ること。九五は尊位にいて中正なので、最もよく初陰を包み、柔が剛を侵さないようにし、かえって成就させられます。
「含章」は、包まれているものの中に文采や美質があり、急いで外へ出さなくてよいという意味です。「有隕自天」は、瓜が熟せば自然に落ちるように、ある結末には天命があるという意味。人は包み、庇い育てる道を尽くします。しかし最終的に落ちるか、誰に帰するか、いつ成るかには時命があります。
実際の読み方
時運は中正に行き、包み込む力があります。吉と明言しなくても吉と知れます。経営では、木、植木、瓜果のような物、また広く包容する商いに大利があります。功名は五が尊位にいるので名は自然に現れますが、進退栄辱は命に安んじます。
戦いでは王者の軍のように、逆らう者を誅し、従う者を受けます。婚姻には子孫が続く象があり、病は熱が寒を包む象です。
高島の占例
横浜の弁護士が、商人と地主が公共財産の権利を争う大訟を問うて、姤が鼎に変じる九五を得ました。高島は、その財産は公共の物であり、商人にも取る権利があり、地主にも取る権利があると読みます。陰陽の消長のように、双方に権利があるからです。杞を商人、瓜を地主と見て、商人が地主を包容し、地主の権利が商人の取り計らいによって立つようにすべきだとしました。含章は、その中に大きな利益があること。有隕自天は、最後の帰結に天数があり、強いて争わず、双方が命に従って和解すべきことを示します。
上爻
硬いまま出会えば恥は残りますが、極まれば返るので咎なし。
原文
上九:姤其角、吝、無咎。
書き下し文
上九、其の角に姤う、吝なり、咎なし。
現代語訳
その角で遇います。吝です。咎はありません。
爻辞の読み解き
硬く高ぶったまま出会えば恥は残ります。ただし大きな咎までは至りません。乾は首であり、上爻は最上にいるので角の象です。角に遇うとは、出会いがあまりに硬く、高く、偏っていて、互いに触犯しやすいこと。九五のようには包容できないので、吝があります。
しかし角はよく触れても、必ず正を傷つけるとは限りません。上は極まれば下へ返ります。剥が極まれば、食われない碩果から一陽がまた復るようなものです。姤其角は、上に窮まって下へ返る象。だから小さな羞吝はあっても、大きな咎はありません。
実際の読み方
時運は上極に来て、窮まりに近い所です。経営では、利を争えば先に利を得ることもありますが、商人には吝が多い時です。功名は頭角を現す兆しがあります。戦いでは角力のように争い、殺伐が重く、兵を極める禍があります。
病は頭や角のような上部にできものが出るなら治せます。婚姻は老夫が若妻を求める象が多い時です。失せ物は、もとは高い所にあり、後に落ちているので、低い所を探します。
高島の占例
友人が困って相談に来ました。ある貴顕と以前から親しかったのに、その貴顕が欧米から帰って後、急に交情が疎くなり、面会を求めても拒まれる。理由が分からないというのです。占って姤が大過に変じる上九を得ました。高島は、姤には女の象があり、また相遇の卦でもある。角はよく触れるので、相遇の時に貴顕の夫人を怒らせたのだろう。夫人が怨んで讒言し、それで貴顕が遠ざかったと読みました。上が極まれば下へ返るので、貴顕も久しければ讒言を悟り、旧好は回復すると断じます。相談者は後に、以前その夫人を諫めて意に逆らったことがあり、それが原因だったと悟りました。
天風姤:読みの覚え
天風姤は、思いがけない出会いの卦です。小さく見える一端が大きな局面に入り、急に育つことがあります。
初めの遇いで界を引く
風は天下を行き、来るものは速く、しかも細かい。姤がいちばん恐れるのは、最初に「大したことはない」と流し、後になって小さな端が育ちきっていると気づくことです。 この出会いが正当な機会なのか、束の間の吸引なのか、いずれ均衡を崩す裂け目なのか。そこを先に見ます。
来たものの正体を見る
突然現れた人や機会が何を連れてきたのかは、しばらく経たないと見えません。ところが人は、小さく見えるうちに境界の方を先に緩めてしまいます。 善悪を急いで決めるより、この遇いを一歩先まで延ばして考える方が役に立ちます。このまま育ったら、局面はどこへ行くのか。その答えが落ち着かないものなら、今は投じる時ではありません。界を引く時です。
偶然を運命と読み替えない
曖昧な関係、突然の提携、見知らぬ誘い、思わぬ知らせ、遠方の機会。姤ではまず勢いを見分けます。接触までは構いません。ただし境界は早く決めます。観察するのもよいのですが、一時の引力に手綱を渡さないようにします。
決断の段、随う段
沢天夬と並べると、姤は問題や機会に初めて遇う段、夬はそれが育って決断を迫る段だと分かります。姤のうちに見分けられれば、夬まで行かずに済みます。沢雷随と並べれば、姤は突然の出会い、随は勢いに従っていく働きです。遇った後に、これは随うだけの値打ちがあるか、と一度問い直します。
天風姤:読みの覚え札記を開く
天風姤は、思いがけない出会いの卦です。小さく見える一端が大きな局面に入り、急に育つことがあります。
初めの遇いで界を引く
風は天下を行き、来るものは速く、しかも細かい。姤がいちばん恐れるのは、最初に「大したことはない」と流し、後になって小さな端が育ちきっていると気づくことです。 この出会いが正当な機会なのか、束の間の吸引なのか、いずれ均衡を崩す裂け目なのか。そこを先に見ます。
来たものの正体を見る
突然現れた人や機会が何を連れてきたのかは、しばらく経たないと見えません。ところが人は、小さく見えるうちに境界の方を先に緩めてしまいます。 善悪を急いで決めるより、この遇いを一歩先まで延ばして考える方が役に立ちます。このまま育ったら、局面はどこへ行くのか。その答えが落ち着かないものなら、今は投じる時ではありません。界を引く時です。
偶然を運命と読み替えない
曖昧な関係、突然の提携、見知らぬ誘い、思わぬ知らせ、遠方の機会。姤ではまず勢いを見分けます。接触までは構いません。ただし境界は早く決めます。観察するのもよいのですが、一時の引力に手綱を渡さないようにします。
決断の段、随う段
沢天夬と並べると、姤は問題や機会に初めて遇う段、夬はそれが育って決断を迫る段だと分かります。姤のうちに見分けられれば、夬まで行かずに済みます。沢雷随と並べれば、姤は突然の出会い、随は勢いに従っていく働きです。遇った後に、これは随うだけの値打ちがあるか、と一度問い直します。
この卦を読む前に
本卦、動爻、問いを照らす
卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。
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本卦の問い
急に現れた誘いや好機は、姤ではどう見ますか。
確かに出会いや機会ではあります。ただし引力だけで測りません。姤が重く見るのは、初めに引いた境界と、この関係が後にどこへ向かうかです。
この卦がいちばん恐れるのは何でしょう。
小さな端を軽く見ることです。始まりは些細な人、些細な考え、些細な穴でも、界を置かなければ、やがて全体を動かします。
姤を得たら、どう動けばよいですか。
まず触れて、見て、線を引きます。信頼のすべてをいきなり預けません。姤の知恵は、早いうちに見分けるところにあります。
急に現れた誘いや好機は、姤ではどう見ますか。開く
確かに出会いや機会ではあります。ただし引力だけで測りません。姤が重く見るのは、初めに引いた境界と、この関係が後にどこへ向かうかです。
この卦がいちばん恐れるのは何でしょう。開く
小さな端を軽く見ることです。始まりは些細な人、些細な考え、些細な穴でも、界を置かなければ、やがて全体を動かします。
姤を得たら、どう動けばよいですか。開く
まず触れて、見て、線を引きます。信頼のすべてをいきなり預けません。姤の知恵は、早いうちに見分けるところにあります。
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