明治二年、ある藩士が商業に従事すべきかを問うた時、高島は初九を得ました。しかし商業より仕途に向くと判断しました。「抜茅茹」は旧交が根で連なる象なので、顕職にある友人を通じて仕官を求めれば進身できると読み、後にその人は実際に仕官し昇進しました。泰の吉も、どの根から来るかを見なければなりません。
高島易断
地天泰|意味・卦辞爻辞解説
地天泰䷊を、卦意、卦辞、彖曰、象曰、占断、六爻の順に読み解きます。
引
地天泰は、上下が通じ、人心と資源が流れ、安らぎが生まれる卦です。ただし泰は永久の安楽ではなく、順調な時ほど次の閉塞を防ぐ卦でもあります。
卦象と卦名
泰は上が坤地、下が乾天です。形だけを見ると、地が上にあり天が下にあるので逆のように見えます。しかし易はここで形ではなく気の動きを見ます。天の気は上り、地の気は下り、上下の気が交わる。陰陽が交わるから雨沢が生じ、万物が通じて育ちます。高島は「泰」の字を、水を決して流れを通す形として読み、水が滞らなければ民は安んじると説きます。大禹が水を治め、九河を疏通し、耕作を教え、地平天成して民を太平に導いた象もここに重ねます。
卦の中心的な意味
泰は、ただ運がよいという意味ではありません。上の意が下へ届き、下の情が上へ届き、指導する人と実行する人が同じ方向を向き、財や情報が滞らず、正しい人が内側で主軸になる時です。だから吉です。しかし、泰の危険もここにあります。人は順調に慣れると、制度を直さず、古い習慣に甘え、豊かさを当然と思い、変化への備えを忘れます。泰卦の六爻が、初めの「抜茅同進」から最後の「城復于隍」へ進むのは、通泰が放っておけば閉塞へ転じることを示しています。
向いている問い
仕事では、社内の上下、現場と経営、取引先と自社が本当に通じているかを見ます。事業を進めるにはよい時ですが、同時に制度、予算、分担、後継、人材更新、危機への備えを整えます。関係では和合に向きますが、ただ仲がよいだけでなく、互いの責任と利益が通っているかが大事です。家庭では、財務、住まい、役割、年長者と若い人の話が通うなら泰です。泰を得た時は、「よかった」で終わらせません。今の順調は本当に構造が通っているからか、一時的に問題が隠れているだけか。正しい人が進み、不正なものが退いているか。利益は全体に巡っているか。未来の変化へ余地を残しているか。これを見て初めて、泰を使える読みになります。
卦辞
小さく閉じたものが退き、大きく担える力が内へ来る時、上下は通じて吉になります。
原文
泰:小往大来,吉亨。
現代語訳
泰は、小さいものが去り、大きいものが来ます。吉で、通ります。
卦辞の読み解き
外卦の坤は陰、内卦の乾は陽です。内に陽があり外に陰があるので、内は健やかで、外は順う形になります。人事に当てれば、内側で君子が主軸となり、小人は外へ退いて主事しない。正気が来て、邪気が退く。厚く担える力が中へ入り、薄く狭い力が去る。これが小往大来です。
ここでいう大小は、人数や見た目の大きさだけではありません。大とは、責任を担えるもの、正しく生み出せるもの、長く通わせるものです。小とは、私欲、閉塞、浮薄、狭い利益、目先だけの勢いです。組織がにぎわっていても、内側で私欲や古い悪習が主事しているなら、それは泰ではありません。泰は表面の繁栄より、内にどの力が入っているかを見ます。
実際の読み方
事業なら、内部に主幹があり、外には柔らかく応じられる時です。人材を進め、古い滞りを退け、長期の仕組みを作ります。売買では、買い入れや仕込みに利が大きく、売り急ぎは薄利になりやすいと読みます。婚姻では陰陽が合う形なので吉ですが、礼と責任が必要です。
この卦辞を現代で使うなら、三つを確認します。正しい人が進んでいるか。不正や閉塞が退いているか。上下の話と資源が通っているか。三つがそろえば真の泰です。見た目だけ盛んで内側が小人なら、すでに泰の中に否が伏しています。
彖曰
泰の順調さはにぎわいではなく、天地と上下の気持ちが本当に通うところにあります。
原文
泰,小往大来,吉亨。则是天地交而万物通也,上下交而其志同也。内阳而外阴,内健而外顺,内君子而外小人,君子道长,小人道消也。
現代語訳
泰は、小さいものが去り、大きいものが来るので吉で通ります。天地が交わって万物が通じ、上下が交わってその志が同じになります。内は陽で外は陰、内は健やかで外は順い、内は君子で外は小人です。君子の道が伸び、小人の道が消えていきます。
彖伝の読み解き
高島はここを非常に重く見ます。この卦は天地の形の位置を言うのではなく、天地の気が交わるかどうかを言います。天気が上らず、地気が下らなければ雨は成りません。人事でも、上が下を思わず、下が上に届かず、命令だけが下り、訴えだけが上がるなら、まだ泰ではありません。泰の内側は乾の健、外側は坤の順です。内に正しく強い主幹があり、外に柔らかく応じる働きがある。だから通じます。もし表面だけ繁栄し、会議や契約や売上はあるのに、志が通わず、現場の声が制度に入らず、利益の配分が歪んでいるなら、それは泰の姿をしていても、すでに否へ向かいます。
実際の読み方
会社では、経営と一線の情報が通っているかを見ます。家庭では、責任、感情、金銭の話が互いに届くかを見ます。共同事業では、契約書があるだけでなく、利益、速度、リスクの感じ方が本当に合っているかを見ます。国や組織なら、制度が民情を受け止め、民情が制度へ戻る通路があるかが大切です。泰を読む時、ただ「今はうまくいく」と断じるのは浅い読みです。上が下を体恤し、下が上へ承応し、主幹が正しく、実行が力を持ち、情報と財が滞らないか。そこまで見て、はじめて彖伝の泰になります。
象曰
順調な時ほど、過ぎたものを整え、足りないものを補い、太平が続く仕組みを作るべきです。
原文
天地交,泰,后以财成天地之道,辅相天地之宜,以左右民。
現代語訳
天地が交わるのが泰です。王者はこれを見て、天地の道を裁ち整え、天地のよい働きを助け、民を左右して助けます。
象伝の読み解き
高島は「財成」を、過ぎたところを裁ち整えること、「輔相」を、足りないところを補い助けることとして読みます。天地は万物を生みますが、ただ放っておけばよいわけではありません。日月星辰を観、節気を分け、城邑を定め、天時を察し、地利を弁え、春夏は耕し、秋冬は収める。こうして天地の大きな働きが、人の暮らしに合う秩序になります。
泰の時こそ、制度を作る時です。順調だから何もしないのではなく、順調だからこそ、後で崩れない形に整えます。太平は自然に続くものではありません。過ぎたものを抑え、足りないものを補い、人情と実務に合う仕組みへ落とすことで初めて保てます。
実際の読み方
会社なら、成長期にこそ予算、手順、責任分担、権限、採用、引き継ぎを整えます。家庭なら、和睦している時に財務、介護、子育て、住まい、相続の話を進めます。個人なら、調子がよい時に生活リズム、貯蓄、学習、健康管理を作ります。泰の象は、順調な時に難しい整備をする知恵です。文書を補う。古い役割を見直す。合わない人を配置換えする。現金を残す。旧い関係を修復する。否になってから救うより、泰のうちに裁成し輔相する方がはるかに容易です。
占断
泰を得た時は、通達、和合、安定、上下相応の象です。ただし吉の中に満ちすぎを防ぎ、通の中に詰まりを防ぐ必要があります。
総合的な占意
泰の総占は、天地、上下、内外の交通が通じ、正しい力が内に入っているかを見ます。順調な時ほど制度を整え、盛極から否へ転じる兆しを防ぎます。
項目別の占断
- 時運・国運:上下が応じ、君臣が正しく、民が安んじる泰平の時ですが、盛極から否へ転じる兆しを防ぎます。
- 事業・仕官:謀り事は成りやすく、正しい仲間や旧交とともに進めます。すでに名位が高い人ほど持盈保泰が必要です。
- 商業・開発:売買はともに吉で、買い入れの利が大きい。公益開発では荒遠を包み、広く人を利することを重んじます。
- 婚姻・家政:陰陽が和合して婚嫁は吉。よい内助や適任の管理者を得れば、家業を保てます。
- 農事・雑占:雨水が調い年成は豊か。妊産には男女双生の象があり、失物は左右の近い所を探します。
六爻の要点
- 初九:茅を抜けば根が連なるように、正しい仲間とともに進みます。
- 九二:荒遠を包み、険を渡り、遠人を棄てず、私党を離れて中道を守ります。
- 九三:平らなものは傾き、往くものは復るため、順境の中でも艱貞を守ります。
- 六四:上から軽やかに下り、富で誘わず、誠によって隣や仲間と交わります。
- 六五:尊位から謙って礼を成し、正しい相応によって福を得ます。
- 上六:城が壕へ崩れ戻り、泰が尽きます。外征を止め、自邑の立て直しへ戻ります。
実際の読み方
仕事では、大事を進められますが、撤退線と次の制度を作ります。財務では、仕込みや長期配置はよいが、順調さを前提に借りすぎません。関係では、和合を礼と謙虚さで保ちます。組織では、正しい人を進め、小人を主事させません。仕途を問えば、初九のように旧交や同類の引き立てで進むことがあります。公益や開発なら九二のように荒地や辺境を包む働きが要ります。盛名や高位なら九三のように持盈保泰が必要です。古い企業なら六四のように旧態を改め、適任の新人を入れるべきです。家政なら六五のように賢い管理者や内助を得て保てます。末運なら上六のように拡張を止め、内政を整えます。泰は「何をしても吉」ではなく、吉の根がどこから来るかを見る卦です。
高島の占例
初爻
順調な始まりでは、一人の動きが同類を連れてくるので、正しい仲間と進むことが吉です。
原文
初九:拔茅茹以其汇,征吉。
現代語訳
茅を抜くと根がつながっていて、その仲間も一緒に抜けます。進めば吉です。
爻辞の読み解き
初九は剛明の才徳を持ちながら下にあり、六四と応じます。在野の賢人が大臣に推薦されるような象です。三つの陽は同じ乾体なので、一陽が進めば、他の陽も根で連なって進みます。君子が得位すれば賢士が朝に集まり、同心して泰を成します。
高島は同時に、同類相引の危うさも見ます。君子が進めば君子が連なりますが、小人が主事すれば小人もまた同類を呼びます。初九の要点は、「一人で突進する英雄」ではなく、「どの根に連なるか」です。
実際の読み方
仕事では、推薦、旧交、同僚、同窓、前職の縁から道が開くことがあります。採用や共同事業では、能力だけでなく根の正しさを見ます。商売では、志の合う仲間や貨財が集まる象です。功名では、段階的な昇進。失物は草むらや束になったものの中を探す読みもあります。
高島の占例
明治二年、藩士が商業に転じてよいかを問うた時、高島は初九から、商業より旧交に引かれて仕途へ進む方がよいと断じました。後にその人は仕官して昇りました。この爻は、吉の方向がどの根から伸びているかを見ます。
二爻
本当の安定は、荒いものも遠いものも包み、私党に偏らず中道で用いる力から生まれます。
原文
九二:包荒。用冯河,不遐遗;朋亡。得尚于中行。
現代語訳
荒いものを包み、川を歩いて渡るような危険も用い、遠いものを遺さず、私党を失えば、中道にかないます。
爻辞の読み解き
九二は剛中で、泰の主幹です。高島は特に「包荒」を重く見ます。太平を治める人は、整った場所だけ、親しい人だけ、楽な仕事だけを扱うのではありません。未開の地、粗野な人、遠方の資源、難しい危険まで包みます。「馮河」は危険を承知で川を渡る勇気です。「不遐遺」は遠い者を棄てないこと。「朋亡」は友がなくなる意味ではなく、私党に偏らないことです。
九二の泰は、内輪の安楽ではありません。中心に立つ者が広く包み、危険を引き受け、公道で用いるから、太平が広がります。
実際の読み方
管理では、辺縁の社員、遠方の市場、未整理の領域、面倒な問題を切り捨てません。事業では、リスクを取って拡張できますが、中道を守り、私的な仲間だけで固めません。家業では、使用人や周辺の人を寛く扱いながら、決断は偏らずにします。
高島の占例
東京の友人が常陸の沼地開墾を問うた時、高島は九二を得て、荒地を開き五穀を植え、社会にも国にも利があると読みました。財ある者がただ安逸を求めるより、資金を投じて荒れた所を開き、飢寒を救うことこそ九二の包荒です。
三爻
盛んな時ほど傾き始めるので、艱難を忘れず正しく守ることが泰を保ちます。
原文
九三:无平不陂,无往不复,艰贞无咎。勿恤其孚,于食有福。
現代語訳
平らで傾かないものはなく、往って戻らないものはありません。艱難を思って正しければ咎はありません。その誠を憂えなくても、食には福があります。
爻辞の読み解き
九三は泰運の盛んな所にいますが、同時に陽が極まり、陰が迫り始める所です。高島は、月が満ちれば欠け、花が開けば落ちると説きます。泰がここまで来ると、すでに否へ移る機が見えます。
だから九三の徳は、盛りに酔わないことです。泰の極みにいる人は、患いを思い、危険を予防し、いつも艱難を忘れず正を守ります。「食に福あり」は、誠を守れば生活の福は保てるという慰めでもあります。
実際の読み方
事業では、最高に順調な時こそ回落を見ます。売上、名声、権限、人気が大きい時ほど、資金繰り、後継、在庫、批判、法務を点検します。商売では、目の前の失意の後に利があることもありますが、守りが要ります。戦いや競争では伏兵を警戒し、固守を選びます。家業では先業を謹んで守ります。
高島の占例
三条相公の気運を占って九三を得た時、高島は、声名と勲業が盛んであるほど、これから陰へ移る機を警めました。後に三条は顕職を解き内大臣の閑位に就き、なお誠を尽くしました。盛位で一歩退くことは、失勢ではなく泰を保つ道になることがあります。
四爻
勢いが空になり始めたら、命令ではなく近い者との信で下へ交わり直す必要があります。
原文
六四:翩翩,不富以其邻;不戒以孚。
現代語訳
ひらひらと下ります。富によらず隣とともにし、戒めなくても誠によって集まります。
爻辞の読み解き
翩翩は鳥が羽をひるがえして下りる姿です。六四、六五、上六は外卦の陰で、本来は下に安んじるべき柔が上にいます。だから心は落ち着かず、三陰が連なって下へ交わろうとします。高島は、外見はまだ整っていても、内側は空になり始め、同業、親族、近隣の助けによって保つ象として読みます。
不戒以孚とは、命令や警戒で無理に集めるのではなく、中心に本当の信があるので自然に相応することです。六四はすぐ凶ではありません。しかし泰の半ばを過ぎ、旧い順局が緩み始めたしるしです。
実際の読み方
事業では、表面の勢いより内実を見ます。売上や看板はあっても、資金、人材、技術、信用が空になっていないかを確認します。古い会社や家業では、旧来のやり方に恋々とせず、新しい適任者を入れ、権限を渡し、周囲と信を通わせます。商売では、同業の助けで成ることがあります。失物は隣家や近所に問う読みもあります。
高島の占例
維新後、東京の豪商が旧商況の変化で衰えた時、高島は六四から、古い番頭たちが新法に通じないことを見て、適任の新人に事権を委ねるべきと読みました。後に家風を改革して再び盛んになりました。六四は、旧い泰を守るには、下へ交わり直す必要があると教えます。
五爻
高い立場の者がへりくだって賢い相手と結ぶ時、福が来て大吉になります。
原文
六五:帝乙归妹,以祉,元吉。
現代語訳
帝乙が妹を嫁がせます。それによって福があり、大吉です。
爻辞の読み解き
六五は柔で尊位にあり、下の九二の剛中と応じます。帝乙が妹を嫁がせるというのは、ただの婚姻ではありません。尊い側が身を下げ、礼を尽くして、正しい相手と結ぶ象です。高島はこれを、聖君が虚心に賢臣を礼遇し、九二の補佐によって治を成し、太平の福を開く姿として読みます。
ここでの尊さは、高い所にとどまることではありません。高い位置にある者が、自分の位を保ちながらも、本当に働ける人へ下り、任せ、結ぶことです。柔中が剛中に応じるので、元吉になります。
実際の読み方
婚嫁では、遠方の縁、尊卑や家格の差を礼で整える縁に吉があります。リーダーなら、上位者が謙虚に賢者を用いる時です。家業では、賢い管理者、内助、配偶者、補佐役によって保てます。商業では、外地や海外との通じも読みます。失物は、拾った人が返しに来る象を取ることもあります。
高島の占例
ある豪富が家政を占って六五を得た時、高島は、旧業と家教はあるが時勢に障りがあり、九二のような忠実な管理者を用いれば商運を興せると読みました。古い仲間の嫉妬やそしりがあっても、管理者が柔順に相従えば消えていく。六五は、富や家柄だけでは泰を保てず、賢を任せる礼が必要だと示します。
上爻
順調が崩れ始めたら、外へ攻めず内側へ戻って修復するしかありません。
原文
上六:城复于隍,勿用师,自邑告命,贞吝。
現代語訳
城が壕へ崩れ戻ります。軍を用いてはいけません。自分の邑から命を告げます。正しくても吝です。
爻辞の読み解き
隍は水のない城壕です。城はもともと壕を掘った土で築かれます。その城が壕へ戻るとは、高く築いたものが崩れて元へ返ることです。泰が極まれば否へ転じ、君徳は衰え、威権は廃れ、下情は上へ通らず、上の恵みは下へ流れず、人心は離れます。
この時に外へ兵を用いて解決しようとしてはいけません。城が壊れているのに、それを拠点に戦うことはできません。できるのは、自分の邑、つまり近い内側へ戻って命を告げ、文を修め、内政を整えることです。ただし否へ転じる寸前まで放置してから命を告げるのは遅いので、たとえ正しくても吝が残ります。
実際の読み方
事業では、拡張を止め、内部整備、資金回収、人員整理、顧客対応、基盤の修復へ戻ります。家業では、守りを固め、倒壊を防ぎます。商売では、小さく扱い、時を待ちます。競争では、攻城そのものはできても、治局が乱れているなら武力や力攻めに頼るべきではありません。上六は絶望ではありませんが、泰の盛んな時のやり方はもう通じないと告げます。九三で防げばここまで来ません。上六に至ったなら、体面より修復、外征より内政、拡大より基盤です。
地天泰:読みの覚え
地天泰は、上下が通じて気が流れる卦です。安らぎがある時ほど、それを続ける仕組みと、次の詰まりへの備えを見ます。
通っている時にこそ整える
泰の吉は、ただ順調という意味ではありません。上が下へ下り、下が上へ通い、資源と人心が循環している状態です。
流れがよい時ほど、人は手入れを忘れます。泰は、好調を当然にせず、分配、連絡、休息、後継を整えるよう促します。
立てておきたい問い
- 今の順調さは、誰か一方の我慢で成り立っていませんか。 - 流れが詰まり始める兆しはどこにありますか。 - 余っているものを、足りない所へ回せていますか。
余りを足りない所へ流す
組織、家庭、商売では、通っている時にこそ制度を整えます。余っている所から足りない所へ回せるか。そこに泰の持続力があります。
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天地否とあわせると、泰は上下が通じ、否は上下が隔たる卦であり、泰の中にも満ち過ぎれば否へ傾く兆しがあると分かります。水火既済とあわせれば、泰は気が通うこと、既済は物事が成ることを示し、通じるだけでも完成するだけでも維持は要ると見えてきます。
本卦の問い
今の順調さは、誰か一方の我慢で成り立っていませんか。
誰かの沈黙や過労で保たれている順調さは、泰ではなく後の否の種です。循環しているか、片側だけが支えていないかを見ます。
流れが詰まり始める兆しはどこにありますか。
返事の遅れ、資源の偏り、現場の疲れ、上層の鈍さなど、小さな詰まりを見ます。泰のうちに手を入れるほど、大きな閉塞を避けられます。
余っているものを、足りない所へ回せていますか。
人、時間、資金、注意、感謝を、足りない所へ流せているかを見ます。泰の豊かさは、抱え込むより循環させることで保たれます。
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