六十四卦

六十四卦 意味・読み方

水地比|意味・卦辞爻辞解説(すいちひ)

資料説明周易と高島易断をもとに整理
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。

引

一言で読む

誰に親しみ、誰に帰るかを問う卦です。中心の正しさと自分の誠が、吉凶を分けます。

卦象と卦名

比は上が坎水、下が坤地です。水は地の上を流れ、地は水を載せ、水は地を潤します。互いに近づき、助け合い、まとまる象です。「比」という字は、二人が並ぶ姿を写したものと説かれます。並べば親しみ、親しめば相輔け、相輔ければ楽しみが生まれます。

卦の中心的な意味

ただし比が説くのは、仲の良さそのものではありません。全卦では五つの陰が九五の一陽を中心にして親しみます。言い換えれば、関係には信頼できる中心が要ります。中心が正しければ、衆が来て親しむのは吉。中心が不正なら、親しみは結党、すり寄り、依存、悪い圏への入り込みに変わります。関係そのものに善悪があるのではなく、誰に、いつ、何のために比するかが吉凶を分けます。

向いている問い

協力、援助を求めること、同盟、入社、帰属、婚姻、外交、コミュニティづくりでよく出ます。まず相手や集団が正しい中心を持つかを見ます。次に、自分が誠意で近づくのか、眼前の利益で貼りつくのかを見ます。比を得たら四つ問います。中心は正しいか。自分の意図は真実か。来る時機は遅すぎないか。この関係は長く守れるか。善人に比すれば吉、匪人に比すれば害。早く誠をもって来るのが比であり、事が定まってから利だけを見て来るのが後夫です。

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卦辞

一言で読む

人と親しむのは吉です。ただし根本、長久、正しさを確かめずに近づけば凶にもなります。

原文

比:吉。原筮元永貞、無咎。不寧方来、后夫凶。

書き下し文

比は吉なり。原ね筮して元永貞なれば咎なし。寧からざるもの方に来る、后夫は凶なり。

現代語訳

比は吉です。根本をたずねて占い、元から善く、長く続き、正しければ咎はありません。不安な者は今まさに来ますが、遅れて来る者は凶です。

卦辞の読み解き

「原筮」を、ただ機械的にもう一度占うことと取ってはいけません。高島の読みでは、関係の始まりへ遡り、なぜ親しむのか、どんな中心に帰るのか、その結びが元善を持つか、長く続くか、正を守れるかを審べることです。

「不寧方に来る」は、不安な人々が正しい中心に来て安んじること。九五が剛中で正しいから、迷う者、不安な者は来て親しみます。しかし「後夫は凶」です。来るべき時に来ず、様子を見て、形勢が定まってから利を求めて来る者は、すでに比の道を失っている。親近も同盟も、時機と誠意が命です。

実際の読み方

協力なら、相手の起点、信用、期限、原則を調べます。恋愛なら、一時の親密さより、長く正しく続けられるかを見ます。チームなら、中心が信頼できないかぎり、人が集まるほど乱れます。仕官や転職で避けたいのは、成功が見えた後にだけ近づく態度です。

「この人は強いか」より、「この中心に近づけば、自分はより正しく、安定し、長く働けるか」を問います。比の三門は、元、永、貞です。

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彖曰

一言で読む

正しい中心を助ける関係なら人は安らぎます。中心が歪めば、親しみは派閥に変わります。

原文

比、吉也。比、輔也、下順従也。原筮、元永貞、無咎、以剛中也。不寧方来、上下応也。后夫凶、其道窮也。

書き下し文

比は吉なり。比は輔くるなり、下順い従うなり。原ね筮して、元永貞にして咎なきは、剛中を以てなり。寧からざるもの方に来るは、上下応ずるなり。后夫の凶なるは、其の道窮まればなり。

現代語訳

比は吉であり、比とは輔けることです。下の者が順に従います。根本をたずね、元から善く、長く続き、正しければ咎がないのは、剛中の中心があるからです。不安な者が来るのは上下が応じ合うからで、遅れて来る者が凶なのは、その道が尽きているからです。

彖伝の読み解き

九五の一陽が尊位にあり、中正で、五陰がこれに親しみます。中心が剛中であればこそ、不安な者が来て安らぎます。孟子の「多助之至、天下順之」を引けば、中心に徳と信があるかぎり、人は自然に助けに来ます。

しかし、中心が歪めば比は壊れます。親しみは派閥、私党、依存、利用し合いへ変わります。表面は仲良く見えても、内では利益を奪い合うようになります。だから比卦で見るのは、人数の多さではなく、来る人の理由と中心の徳です。

実際の読み方

組織では、九五が誰かを探します。責任者、制度、使命、家の中心、あるいは自分の心の原則。その中心が人を落ち着かせ、責任を明らかにし、善い方向へ導くなら、近づいてかまいません。逆に、恐怖、利益、情実だけで人を縛る中心なら、近づくほど危険です。近づいた後、自分の心が明らかになり、責任がはっきりし、事が正しく運ぶなら比吉です。近づいて貪り、隠し事が増え、判断が濁っていくなら、比を誤っています。

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象曰

一言で読む

本当の親しみは、近づくだけで終わりません。居場所と責任を整え、長く通わせます。

原文

地上有水、比、先王以建万国、親諸侯。

書き下し文

地の上に水有るは比なり。先王以て万国を建て、諸侯を親しむ。

現代語訳

地の上に水があるのが比です。先王はこれを見て、万国を建て、諸侯に親しみました。

象伝の読み解き

水は地上に流れ、散れば万流となり、集まれば一つの水系になります。ここに読み取れるのは、政治と共同体の形です。天下は一人が統べることはできても、一人で直接すべてを治めることはできません。だから功臣を藩屏として置き、諸侯を親しみ、朝聘往来、巡狩述職、租税の軽減、法の平等、恩沢の流通によって、関係を親しくしつつ秩序を作ります。

比の親しみが目指すのは、人を一人の私物にすることではありません。各地、各人、各部門に居場所と責任を与え、流通させることです。

実際の読み方

チームでは、共通の中心を持ちつつ、分担と授権を置きます。協力では、親密さだけでなく、契約、連絡、見直し、退出条件まで定めます。家庭では、親しいからこそ境界と役割が要ります。外交では、親善と規則を両立させます。良い比は、水が地を潤すように、各方を安んじます。悪い比は、人を一塊に縛り、自由な出口をなくし、後で恨みを生みます。

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占断

一言で読む

同盟、帰服、親近、援助、婚姻を読みます。善を択べば吉、遅来と無首は凶です。

総合的な占意

比の総占は、どの中心、関係、共同体に親しむべきかを見ます。吉は誠実で正しい中心への親比にあり、凶は不正な相手、遅すぎる帰服、首のない結び。

項目別の占断

  • 戦争・統治:水が下へ流れるような勢いがあり、平定後は帰服を制度と秩序へ定着させます。
  • 商売・協力:流通、信用、長期の仲間に利があります。大事を共にする前に、まず人品を見ること。
  • 仕官・上位者:正当な旧誼と能力があれば昇進につながり、外では賢正な上位者へ親しみます。
  • 外交・関係:長期の親睦を守りながら、境界と規則を定め、小事で大体を壊さない。
  • 家宅・婚姻:家は低地や水辺、貴人の近くにあることがあり、婚姻は誠実で正しい長久の結びを重んじます。
  • 健康・妊産:古占の心腹の水腫は近くの良医へ相談し、妊産は動爻と医学的確認を合わせます。
  • 時機・遅参:中心と人心がすでに定まった後の帰服は、首を失って終わりにくい。

六爻の要点

  • 初六:素朴な瓦缶に満ちるような誠によって人を引き寄せ、意外の吉を得ます。
  • 六二:親しみが内から生まれ、まず中核の正しい関係を固めて貞吉。
  • 六三:比す相手が正しくないため、悪い集団に近づかず離れます。
  • 六四:外の賢正な中心へ親しみ、投機的に媚びず正しさを守ります。
  • 九五:親しみを公開し、人を囲い込まず、自発的な帰服を尊重して吉です。
  • 上六:帰属が遅く中心もないため、首を失った関係となり、事が終わりません。

実際の読み方

事業では、信頼できる中心と長期のパートナーを探します。恋愛なら、誠実、正当、長久であれば進んでよい。商売では、流通、信用、紹介、協力に利があります。助けを求めるなら、近くの信頼できる専門家を頼ること。仕官やキャリアなら、正当な旧誼と能力があれば親近が昇進をもたらしますが、久しく疎遠な人へ臨時に頼るのは難しいでしょう。外交や上級との関係では、大体を見て小事で長期親睦を破らず、同時に規則と境界を定めます。比の要は、まず自分の側の信用を確かなものにするところにあります。

高島の占例

英国留学から帰国し、ある県で奉職する人の気運を高島が占って初六を得ました。家庭は和楽で性情は温和、外交にも通じているため比卦はその人に合う。誠をもって人に接し、信をもって交われば、瓦缶の酒香が外へ達するように内なる誠が伝わり、意中の吉だけでなく望外の喜びも来ると読みました。比の第一歩は、自分が信頼できる人になることです。

次へ:初爻

初爻

一言で読む

親しみの始まりは飾りではありません。内に満ちた誠が、思いがけない吉を呼びます。

原文

初六:有孚、比之、無咎。有孚盈缶、終来有它、吉。

書き下し文

初六、孚有りて之に比すれば、咎なし。孚有りて缶に盈つれば、終には来りて它有り、吉なり。

現代語訳

誠があってこれに親しめば、咎はありません。誠が素朴な缶に満ちるほどであれば、最後には思いがけない吉も来ます。

爻辞の読み解き

缶は華美な器ではありません。素朴な土器です。比の初めに要るのは、地位や飾りより、中に満ちた本当の信です。器は素朴でも、酒が満ちれば香りは外に達します。人も同じで、内に誠があれば、遠近の人が自然に聞きつけて来ます。

この爻でいちばん大切なのは、親しみの起点です。話術や包装よりも、実情、実力、実心をもって近づきます。

実際の読み方

協力では、真実の帳簿、能力、条件、責任を示します。恋愛では、飾り立てるより誠実さを保ちます。商売では、信用が満ちれば遠近の客が来ます。近隣や家宅では、近い者が信じ、遠い者も慕う象です。

高島の占例

英国から戻ったその人の温和さ、外交の力、誠信を見て、高島は望外の吉まで読みました。初六は、よい関係に入る前に、まず自分を信頼される人にしておく爻です。

次へ:二爻

二爻

一言で読む

外へ売り込むより、内側から正しい中心と応じ合う関係のほうが、長く吉になります。

原文

六二:比之自内、貞吉。

書き下し文

六二、之に比するに内よりす、貞にして吉なり。

現代語訳

これに親しむのは内側からです。正しければ吉です。

爻辞の読み解き

六二は中正で、九五と正応します。外から見える熱気やすり寄りではなく、価値、信任、内部合意から生まれる比です。道を抱く人が外へ急いで自分を売らず、求められてから正しく助ける。そういう姿として読みます。

この親しみは安定しています。無理に引かれたものでも、利益で買われたものでもないからです。内で相応じ、正を守るところに、この爻の強さがあります。

実際の読み方

チームでは、まず中核メンバーの信頼を整えます。恋愛や婚姻では、心意が内から相応するなら守れます。事業では、内部の仲間や上司との信頼を土台にして外へ広げます。名声で重んじるのは、外からの引き立てより内在的な実力と正当な関係です。

高島の占例

ある県知事が省へ栄転する時の占では、高島が六二を、素より信任されて大臣を補佐する象と読みました。この爻が示すのは「内側から任される」吉です。

次へ:三爻

三爻

一言で読む

相手を誤って親しめば、孤立よりも危険です。判断も未来も、一緒に傷つきます。

原文

六三:比之匪人。

書き下し文

六三、之に比するに人に匪ず。

現代語訳

親しむ相手が、正しい人ではありません。

爻辞の読み解き

言葉は短く、警告は重いところです。六三は不中不正で、周りも柔弱です。上には首なき上六が応じるだけで、正しい中心へは比していません。これを悪友、佞人、悪い主人、腐ったパートナー、悪い圏として読みます。

比卦は親しみの卦ですが、ここでは親しみそのものが害になります。関係は近いほど、影響が深く及びます。相手が匪人なら、親しむほど自分の判断、名誉、財、将来が傷つきます。

実際の読み方

協力では、プロジェクトより先に人品を調べます。見るのは相手の信用、動機、周囲の人、そして過去の扱い方です。商売では、目先の利だけに走る人や小人と、長く貼りつきません。功名では、関係が不正なら、そのまま名声を損ないます。婚姻では、誤った配偶が一生の害になります。

高島の占例

共興大商業の占で、高島が友人を「非人」と断じ、後に重罪に関わった例のように、六三は非常に実務的です。共同事業の前に人を審ぶことは、案件を審ぶことより重要です。

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四爻

一言で読む

内輪にこもらず、外にある正しい中心へ誠実に従うなら、それは吉になります。

原文

六四:外比之、貞吉。

書き下し文

六四、外より之に比す、貞にして吉なり。

現代語訳

外にあるものへ親しみます。正しければ吉です。

爻辞の読み解き

六四と初六は初四の対応する位にありますが、ともに陰なので陰陽の正応にはなりません。だから六四は内へ戻らず、外の九五へ比します。これは背内向外の投機ではなく、外にある賢明な上位者へ親しみ従う姿として読みます。九五は剛陽中正で尊位にあり、六四が守正して近づくなら吉です。

ただし、外比は誤解されやすいところです。単に嫌貧愛富で旧を捨て新へ走るだけなら、吉からは遠いままです。外の中心が本当により正しく、より大きく事を成せる時に、そこへ比するのが賢明です。

実際の読み方

事業では、外部プラットフォーム、上級機関、導師、貴人、制度、海外市場へ正しく接続します。商売なら、外地、海外、流通の拡張に利があります。家庭では、内外の親比が調えば和します。婚姻では、外地の縁や正式な紹介が成ることもあります。

高島の占例

宮内大臣の占で、高島が六四を九五君側へ忠正に比する象と読んだように、六四は「中心のそばで補佐する」位置です。権力へ近づくことが吉になるのは、私欲ではなく忠正による時です。

次へ:五爻

五爻

一言で読む

公正な中心は人を囲い込みません。来る者を受け、去る者を追わないから信頼されます。

原文

九五:顕比。王用三駆、失前禽、邑人不誡、吉。

書き下し文

九五、比を顕らかにす。王三駆を用い、前禽を失う、邑人誡めず、吉なり。

現代語訳

親しみを明らかにします。王は三方から狩りをし、前方へ逃げる獲物は追わずに逃がします。邑の人々も警戒せず、吉です。

爻辞の読み解き

九五は比卦の中心です。顕比とは、私的な結党ではなく、公開で明らかな親比です。王の狩りで三面を囲み一面を開けるのは、禽に逃げる道を残し、尽くは傷つけない礼です。前へ逃げる禽は追いません。来る者は受け、去る者は強制しません。これが王者の量です。

人を囲い込み、離脱を恐れ、強制で保つ中心は、その時点ですでに信を失っています。九五の中心は中道で人を安んじるので、邑人も驚きません。

実際の読み方

リーダーは、規則を公開し、公平さを見える形にします。協力では、相手に選択と出口を残します。競争では、逃げる小利を追いすぎません。外交では、大局の親睦を保ちながら、必要な規則を立てます。病では、症状が顕れ、邪気が退く方向なら、過度に驚かず治療を続けます。

高島の占例

米国猟船捕獲事件の占で、高島が国家間の大体を傷つけず、規則制定へ向かうべきと読んだように、顕比は軟弱ではありません。公開、礼、余地によって関係を保つ強さです。

次へ:上爻

上爻

一言で読む

中心を失った親近や、遅れて貼りつく関係には、そもそも帰るところがありません。

原文

上六:比之無首、凶。

書き下し文

上六、之に比するに首なし、凶なり。

現代語訳

親しもうとしても首がありません。凶です。

爻辞の読み解き

比は九五を中心に、すでに成っています。上六はその上にいて従わず、正しい陽の首を持ちません。無首とは、君なし、主将なし、店主なし、家主なし、主婚者なし、あるいは代表を失うことです。卦辞の「後夫凶」は、ここに落ちます。来るべき時に来ず、比の道が成った後で貼りつこうとしても、もう位置がありません。

関係には中心が要ります。行動にも主位が要ります。婚姻には主婚者、商事には店主、外交には代表。首がなければ、衆は帰るところを失います。

実際の読み方

協力では、機会を逃した後に無理に貼りつきません。チームでは、責任者や共同原則がなければ、事は終わりを持ちません。商売では、主人や責任者に近づけないなら成りにくいでしょう。婚姻では、来歴不明、主婚者不明なら慎みます。家宅では、家主を失うことに注意します。

高島の占例

占例1

紹介状を持って上京し、同県の貴顕へ援助を求めようとした人の占で、高島は、旧誼があっても平生の交際が薄く疎遠だったため、依頼は許されにくいと読み、後にその通りになりました。上六は、必要な時だけ頼る関係には首がないと教えます。

占例2

高島は日本とドイツの交際を占い、「首なし」から同国の駐日公使が交代する可能性を読みました。代表の交代も、親比の中心と筋道を失わせます。

水地比:読みの覚え

水地比は、誰と親しみ、どの中心に帰るかを問う卦です。近づくこと自体より、その中心の正しさと自分の誠を見ます。

親しさにも中心がいる

比は、ただ仲良くする卦ではありません。帰る中心を選ぶ卦です。 遅れて近づく、違う相手に比する、誠のない親近。どれもかえって孤立を深めます。誰と結ぶかだけでなく、どの時機に、どんな心で近づくかまで見ます。

損得だけで結ばない

提携、婚姻、転職、コミュニティ参加では、相手の根本を見ます。その中心が人を利用するだけなのか、人を保ち育てるのか。近づくほど自分の判断が薄くなる相手なら、比する相手ではありません。自分の側も点検します。親しさが広がりを生むなら吉ですが、閉じた仲間意識や排他性に変わり始めたら、結びつきはもう濁っています。損得だけで近づけば、比の親しさは薄いままです。

心・人・勢の三層

地水師とあわせて読むと、比は人の心が帰り親しむこと、師はその人々を用いて行動することだと分かります。心が寄っていないところに組織を置いても、残るのは命令だけです。沢地萃とあわせれば、比は誰に心を寄せるかを問い、萃は集まった人々をどう安んじるかを問う、という違いが見えてきます。

水地比:読みの覚え札記を開く

水地比は、誰と親しみ、どの中心に帰るかを問う卦です。近づくこと自体より、その中心の正しさと自分の誠を見ます。

親しさにも中心がいる

比は、ただ仲良くする卦ではありません。帰る中心を選ぶ卦です。 遅れて近づく、違う相手に比する、誠のない親近。どれもかえって孤立を深めます。誰と結ぶかだけでなく、どの時機に、どんな心で近づくかまで見ます。

損得だけで結ばない

提携、婚姻、転職、コミュニティ参加では、相手の根本を見ます。その中心が人を利用するだけなのか、人を保ち育てるのか。近づくほど自分の判断が薄くなる相手なら、比する相手ではありません。自分の側も点検します。親しさが広がりを生むなら吉ですが、閉じた仲間意識や排他性に変わり始めたら、結びつきはもう濁っています。損得だけで近づけば、比の親しさは薄いままです。

心・人・勢の三層

地水師とあわせて読むと、比は人の心が帰り親しむこと、師はその人々を用いて行動することだと分かります。心が寄っていないところに組織を置いても、残るのは命令だけです。沢地萃とあわせれば、比は誰に心を寄せるかを問い、萃は集まった人々をどう安んじるかを問う、という違いが見えてきます。

この卦を読む前に

本卦、動爻、問いを照らす

卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。

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本卦の問い

比が出たら、この人と組んでよいということですか。

相手の中心を先に見ます。卦辞は「元・永・貞」を挙げます。始まりが善いか、長く続くか、正しさを守れるか。六三が警告するとおり、相手が匪人なら、親しむほど判断も名誉も財も傷つきます。案件を調べる前に、人を調べる順序です。

今から近づくのは、もう遅すぎますか。

比は時機も見ます。形勢が定まってから利を求めて来る者を、卦辞は「後夫は凶」と言います。ただし遅れを取り戻す道がないわけではありません。初六のように、誠を器に満たすところからやり直せば、香りは自然に外へ届きます。

頼れる人が見つかりません。

上六は、首のない関係を凶とします。中心が見えないなら、無理に誰かへ貼りつくより、まず自分の側の原則を中心に据えます。比の第一歩は、信頼できる人を探すことと、自分が信頼される側に立つことの両方にあります。

仲はよいのに、なぜか苦しいです。

親しさが人を縛る形になっていないかを見ます。九五は、来る者を受け、去る者を追いません。出口のない親しさは、後で恨みに変わります。境界、役割、退出条件を置くことは、関係を冷やすのではなく、長く保つための備えです。

比が出たら、この人と組んでよいということですか。開く

相手の中心を先に見ます。卦辞は「元・永・貞」を挙げます。始まりが善いか、長く続くか、正しさを守れるか。六三が警告するとおり、相手が匪人なら、親しむほど判断も名誉も財も傷つきます。案件を調べる前に、人を調べる順序です。

今から近づくのは、もう遅すぎますか。開く

比は時機も見ます。形勢が定まってから利を求めて来る者を、卦辞は「後夫は凶」と言います。ただし遅れを取り戻す道がないわけではありません。初六のように、誠を器に満たすところからやり直せば、香りは自然に外へ届きます。

頼れる人が見つかりません。開く

上六は、首のない関係を凶とします。中心が見えないなら、無理に誰かへ貼りつくより、まず自分の側の原則を中心に据えます。比の第一歩は、信頼できる人を探すことと、自分が信頼される側に立つことの両方にあります。

仲はよいのに、なぜか苦しいです。開く

親しさが人を縛る形になっていないかを見ます。九五は、来る者を受け、去る者を追いません。出口のない親しさは、後で恨みに変わります。境界、役割、退出条件を置くことは、関係を冷やすのではなく、長く保つための備えです。