六十四卦

六十四卦 意味・読み方

火雷噬嗑|意味・卦辞爻辞解説(からいぜいごう)

資料説明周易と高島易断をもとに整理
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。

引

一言で読む

火雷噬嗑は、真ん中に挟まった硬いものを噛み砕く卦です。関係、制度、契約、案件を塞いでいるものを明らかにし、処理して初めて、秩序はもう一度合わさります。

卦象と卦名

噬嗑は、平たく言えば「口の中にある硬いものを噛み切り、本来閉じるべき口を閉じさせる」卦です。上卦の離は火であり明、下卦の震は雷であり動です。下で雷が動き、上で火が照らします。乱暴に押し切るのではありません。明らかに見きわめてから、果断に処理します。

卦の中心的な意味

高島の読みでは、全卦がそのまま一つの口の形になります。初九と上九の二つの陽は上下の唇、中の爻は歯にあたります。九四の剛爻が真ん中にあるのは、口の中に硬いものが挟まった象です。口の中に物があれば口は閉じません。合わせるには、その物を噛み砕くほかありません。これが噬嗑です。現実では、誰かの挑発、組織の弊端、契約の穴、隠された事情、チーム内でわざと止めている人、心の中で向き合わない欲望が、この硬いものになります。これを除かないまま表面的に和を唱えても、口はやはり合いません。

向いている問い

噬嗑を得たら、まず全体を止めている「硬い物」を探します。それは人か、金か、証拠か、旧帳か、制度の穴か、自分の欲か。次に、感情を脇へ置いて事実を明らかにします。規則を明らかにし、責任を明らかにし、必要な力で処理します。

この卦が説くのは、争い好きでも強硬さでもありません。明と動の組み合わせです。離の明がなければ、震の動きはただの衝動に終わります。震の動きがなければ、離の明はただの観察で終わります。明と動が合った時、塞がりは噛み切られます。

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卦辞

一言で読む

塞がりを噛み切って通す時は、情に流れず、明らかな証拠と手順で裁くのが利です。

原文

噬嗑:亨。利用獄。

書き下し文

噬嗑は亨る。獄を用うるに利あり。

現代語訳

噬嗑は通ります。獄を用いるのに利があります。

卦辞の読み解き

噬嗑の亨は、放っておいて何もかも順調になる亨とは違います。硬いものが除かれるから通じるのです。食べ物がよく噛まれて喉を通れば口は閉じ、気も通ります。人事でも、家庭の讒言、朝廷の奸人、道を塞ぐ強暴、事業の欺瞞、契約の曖昧さを処理して初めて、秩序は戻ります。

獄を用いるとは、すぐ人を罰せよという合図ではありません。内卦の震に威があり、外卦の離に明があるので、獄を治める道は威と明の両方を備えていなければなりません。威だけなら粗暴になります。明だけで威がなければ弱く、実行されません。証拠、責任、処分、手順が明らかであること。そこが要になります。

実際の読み方

もし問題が誤解なら、まず話し合います。しかし偽造、侵占、欺き、挑発、規則破りがあるなら、曖昧な和だけでは足りません。事実を出し、標準を決め、正しい手順で処理します。会社なら、契約、帳簿、権限、罰則を整えます。家庭なら、境界と責任を言葉にします。訴訟なら、証拠と手順を重んじます。噬嗑の処理は、怒りを晴らすためというより、公正を取り戻すために行います。

次へ:彖曰

彖曰

一言で読む

本当に中間を塞ぐものがあるなら、明らかに見て、強さと柔らかさを分けて処理します。

原文

頤中有物、曰噬嗑、噬嗑而亨。剛柔分、動而明、雷電合而章。柔得中而上行、雖不当位、利用獄也。

書き下し文

頤中に物有り、噬嗑と曰う、噬嗑して亨る。剛柔分かれ、動きて明らかに、雷電合して章らかなり。柔中を得て上行し、位に当たらずと雖も、獄を用うるに利あるなり。

現代語訳

口の中に物があることを噬嗑と言います。噬嗑して通ります。剛と柔が分かれ、動いて明らかであり、雷と電が合わさって明らかになります。柔が中を得て上へ行き、位は当たらなくても、獄を用いるのに利があります。

彖伝の読み解き

頤は口を指します。本来、口は開閉自在であるべきものです。そこに物があるから、噛む必要が生まれます。

物事も同じです。本来協力できる、流通できる、判断できるはずのところに、一つの阻隔があるから処理が必要になるのです。剛だけなら酷になり、柔だけなら姑息になります。六五は柔で尊位にあり、位こそ完全ではありませんが中を得ています。だから審断に節度があります。獄を用いる時に最も恐れるのは、過剛の猛烈と過柔の寛縦です。雷電合して章らかとは、雷が震え、電が照らすことを言います。人は威を感じ、同時に事実が見えます。調査だけで動かなければ腐敗は続き、動くだけで調査がなければ冤や暴になります。

実際の読み方

まず塞がりが本当にあるかを確認します。普通の意見の違いを大罪にしてはいけません。逆に、実際の欺きや害を「和」で隠してもいけません。調査、証拠、尺度、実行の四つがそろう時、噬嗑して亨ります。

この卦は外の刑罰だけでなく、自分の心にも使えます。怨み、貪り、ためらい、言い訳が心を塞いでいるなら、それも噛み切るべき物です。内外の塞がりを明らかにしてから動く。それが噬嗑の読み方です。

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象曰

一言で読む

罰や規則は人を脅す道具でしょうか。何が誤りかを明らかにし、秩序を戻すために整えます。

原文

雷電噬嗑、先王以明罰敕法。

書き下し文

雷電するは噬嗑なり。先王以て罰を明らかにし法を敕す。

現代語訳

雷と電が噬嗑です。先王はこれを見て、罰を明らかにし、法を整えました。

象伝の読み解き

雷は人を震わせ、電は物を照らします。先王はこの象を取り、刑罰を明らかにし、法令を厳かに整えました。罰が暗い場所の気分や怒りから出てはいけません。何をしてはいけないのか、なぜ誤りなのか、どんな結果になるのか。そこが見えている必要があります。

「明罰」とは、罰が公開され、だれにも分かり、公平であることを言います。「敕法」は、あらかじめ規則を整え、境界を知らせることです。規則が平時に不明のまま、事後に突然重罰を加えれば人を傷つけます。規則が明らかでも実行されなければ、人は軽んじます。

実際の読み方

現代では、契約条項、会社制度、家庭の境界、共同事業の分担、法的紛争にそのまま使えます。先に規則を説明し、次に事実を調べ、最後は規則に従って処理します。これが雷電噬嗑です。

よい管理は、脅しだけでも無限の寛容だけでも成り立ちません。見える規則と、実行される公正によって秩序を保ちます。

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占断

一言で読む

噬嗑を得た時は、訴訟、処罰、契約の詰まり、意思疎通の硬結、障害除去、整頓を読みます。吉は明断、凶は偏私と引き延ばしです。

総合的な占意

噬嗑を得た時は、たいてい物事の中間に塞がりがあり、その塞がりは放置では解けません。それは一人の人かもしれず、制度の穴、旧い帳簿、隠し事、曖昧な約束、自分の中の欲望かもしれません。進むことはできますが、突進では通りません。明らかに見てから処理します。

項目別の占断

  • 時運・功名:好運が動き始め、威儀と光耀によって名声が上がりますが、明断によって障害を除きます。
  • 商業・協力:買い手と売り手が集まり、貨物が売れます。契約、帳簿、権責の障害を早く明らかにします。
  • 家宅・婚姻:家では火災や急な変動を防ぎます。婚姻は和合の象でも、隠し事や第三者の妨げを先に除きます。
  • 病気・訴訟:鬱熱や強い煩躁は早く診療を受けます。訴訟は証拠と手順を整え、明らかに裁断します。
  • 天候・雑占:雷雨が急に来て、雨後に晴れる象があります。行人は早く帰り、失物は人に占有され隠された可能性を見ます。

六爻の要点

  • 初九:足指への小さな刑で過ちを早く止め、再犯を防ぐので無咎です。
  • 六二:柔らかな肉を噛みますが、容易な処理でも深く入りすぎないようにします。
  • 六三:長く保存した干し肉を噛んで毒に当たり、旧弊の反発を受けますが、慎重なら大咎はありません。
  • 九四:骨付きの干し肉を処理し、金矢のように剛直な証拠と基準を用いて艱貞を守ります。
  • 六五:干し肉を噛んで黄金を得るように、裁断の主位で中正を守り、危うさを自覚すれば無咎です。
  • 上九:刑具が耳を覆い、もはや忠告が届かない。過ちを最後まで放置して凶となります。

実際の読み方

事業や協力では、契約、権責、帳簿を明らかにします。関係では、誤解、隠し事、第三者の妨げを除きます。訴訟では証拠と手順が最重要です。健康では、火熱、鬱結、急な発作を見ます。問題の処理を恐れることはありません。ただし、処理を報復に変えてはいけません。噬嗑は、秩序を取り戻すための明断です。

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初爻

一言で読む

小さな過ちは芽のうちに止めるほど、後の大きな咎を防げます。

原文

初九:屨校滅趾、無咎。

書き下し文

初九、校を屨きて趾を滅す、咎なし。

現代語訳

足に刑具を履かせ、足の指を隠します。咎はありません。

爻辞の読み解き

初九は最下にあり、事はまだ始まったばかりです。足に刑具がはめられ、趾が隠れるほどなので、もう歩き続けることができません。大災が成ったというより、早い段階で止められた形です。象伝の「行かざるなり」は、誤った方向へ進ませないという意味に読めます。

震は足で、初爻はその最下にあたります。古人の軽刑は人を苦しめるためではなく、罪を重ねることを止めるために置かれました。小さな問題ほど早く注意し、早く止めます。これが初九です。

実際の読み方

事業では、まだ小さい不正や危険な計画を止めます。家宅では工事や改造の象もあります。病では足、瘡、脚気などの初発を早く治します。競争では伏兵に注意します。婚嫁には不利です。行人はまだ帰りにくいでしょう。

高島の占例

ある人が放貸の共同事業を占って初九を得た時、高島は「不可行」と断じました。後で聞くと、抵当の株券を私売し、失敗したら財産を隠して破産を装う計画でした。止めたため救われました。初九は、悪い念が足を出した時に止めることが救いだと教えます。

次へ:二爻

二爻

一言で読む

柔らかく見える問題でも、深く噛めば自分も少し傷つきます。それでも処理そのものに咎はありません。

原文

六二:噬膚滅鼻、無咎。

書き下し文

六二、膚を噬みて鼻を滅す、咎なし。

現代語訳

柔らかい肉を噛んで、鼻まで埋まるほどです。咎はありません。

爻辞の読み解き

膚は柔らかく骨のない肉で、噛むのはたやすいところです。しかし鼻を滅すとあるので、処理の過程で羞辱、損傷、思わぬ代価が出ます。六二はそれ自身が中正なので、断事はおおむね中正です。六五とは二五の位で対しますが、ともに陰で正応にはならず、そこから力を借りることはできません。ただし初九の剛の上に乗っているため、噛み方が深くなり、鼻まで傷つきます。

問題は解決できますが、過程はきれいに済みません。そういう爻です。簡単そうに見える事ほど、相手の忌諱や強硬な部分に触れることがあります。

実際の読み方

時運は平平で、自力は浅く、有力者の助けを借りて行うのがよいでしょう。商業では貨物が集まり、よい値を待って売れます。戦いでは初めから成果があります。病では邪が肌膚にあり、深く入る前に止めます。婚嫁は興旺の家なら成ります。

高島の占例

占例1

明治二十五年、日本新聞が政府から停刊を命じられ、関係者が解除の時期を問うた時、高島は六二を得ました。記事が政府の忌諱に触れたことを、柔らかい肉を噛んだ熱い汁が鼻を傷つける象とし、さらに卦数から日を推して八、九日以内に解けると読み、実際に八日目に解除されました。

占例2

別の商業占でも六二を得て、容易に利益が出そうな取引でも、強硬な相手によって屈辱を受ける恐れがあるため、細密に処理すべきだと戒めました。容易に噛めることは、無造作に噛んでよいことを意味しません。

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三爻

一言で読む

古い問題を噛む時は毒や反発が出ますが、公正に処理すれば大きな咎には至りません。

原文

六三:噬腊肉、遇毒、小吝、無咎。

書き下し文

六三、腊せる肉を噬みて、毒に遇う、小しく吝なれども、咎なし。

現代語訳

長く保存した干し肉を噛み、毒に当たります。少し吝ですが、咎はありません。

爻辞の読み解き

ここでいうのは、長く保存した干し肉です。外は肉に見えても、中に骨があり、古くて毒を含むことがあります。六二の柔らかい肉より、ずっと扱いにくい相手です。現実で言えば、旧い案件、旧い帳簿、旧い怨み、古い制度の積弊にあたります。

噛んで初めて中の毒が分かります。六三は陰で陽位にあり、中正を失います。処理の節度を誤りやすく、毒に当たります。それでも慎重で公正なら、大きな咎には至りません。旧問題の毒性を軽く見て急げば、逆にこちらが噛まれます。

実際の読み方

時運は得意の中に失意があります。商業では利があるようで、小損や怨みが混じります。戦いでは営地や準備が悪いと小敗があります。家宅には不安や小災があります。病では薬が合わないことがありますが、小病なら大害は少ないでしょう。

高島の占例

占例1

高島は刑事裁判占で、犯人が長く保存した干し肉のように容易には服しにくく、時間が経つほど反発を強めるので、審判を慎重にせよと読みました。

占例2

秋収の占では、水害、米不足、混食による病まで読みました。六三は、旧問題は処理できるが、毒を持つことを忘れるなと教えます。

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四爻

一言で読む

最も硬い問題には、剛直な証拠と基準を得て、苦しみの中で正を守ることが吉です。

原文

九四:噬干胏、得金矢、利艱貞、吉。

書き下し文

九四、干胏を噬みて、金矢を得たり、艱貞に利あり、吉なり。

現代語訳

骨付きの干し肉を噛み、金の矢を得ます。困難の中で正しさを守るのに利があり、吉です。

爻辞の読み解き

九四は、全卦の真ん中にある硬い梗です。ここでいうのは骨付きの干し肉で、最も噛みにくい一口です。現実で言えば、強硬で服しない人、長く決まらない争い、貴重な財物が絡む訴訟、証拠と基準がなければ裁けない複雑な案件にあたります。

金は剛を、矢は直を示します。金矢とは、剛直、公正、証拠、標準、執行の力を指します。この爻では、情で済ませることも、曖昧な調停も利きません。まっすぐな基準と、耐える正しさが要ります。六爻の中で九四だけが明確に吉と言われるのは、全卦の硬物を噛み切る爻だからです。

実際の読み方

時運では、旧を改めて新に従う盛運です。商業では、肉を食べて金を得るような余利があります。家宅は豊かですが、安きに危を忘れません。戦いでは、敵の兵糧や武器を得て利がありますが、勝つほど慎みます。病は治りにくく、慎重に養います。

高島の占例

ある商業上の大紛争で高島は九四を得て、中間に大利を謀る者があり、それを除かなければ隔絶は解けないと読みました。硬い相手には、剛直な裁断と証拠が必要です。九四は、最も難しいところほど、証拠と正直が要ると教えます。

次へ:五爻

五爻

一言で読む

主位で裁く人は価値ある結果を得ても、危うさを忘れず正を守れば咎がありません。

原文

六五:噬干肉、得黄金、貞厲、無咎。

書き下し文

六五、干肉を噬みて、黄金を得たり、貞にして厲し、咎なし。

現代語訳

干し肉を噛み、黄金を得ます。正しく守っても危うさはありますが、咎はありません。

爻辞の読み解き

六五は尊位にあり、噬嗑の主として審断する位置です。六五の干し肉は、九四の骨付きの干し肉よりは少し噛みやすいところです。黄金は、黄が中、金が剛を示します。中正の中で、堅く価値ある結果を得る象です。

ただし「貞厲」とあります。手放しの吉ではありません。条件つきの吉です。六五は中徳を持ちますが、柔で陽位にあるため圧力があります。刑獄や重大な争いごとを断じる時は、罪状が見えていても、疑わしきは慎み、危うさを忘れず、正を守らなければなりません。

実際の読み方

時運は時を得て、求めることが通りやすいでしょう。商業では、上質で清潔な貨物に大利があります。家宅は方位がよく大利です。戦いでは敵城が柔弱で攻めやすいでしょう。病では食と肉の宜忌を見、長引けば危ういので調えます。行人は利を得て帰ります。失物は得られます。

高島の占例

占例1

明治二十二年の米作占で高島は六五を得て、新穀入倉、稲の黄金色を読み、雨害があっても全国では豊作としました。

占例2

威海衛の戦況でも、清軍艦隊が頤中の物のように囲まれ、干し肉を噛み黄金を得るように成熟した戦機と読みました。六五は、主位にある人の中正な決断を示します。

次へ:上爻

上爻

一言で読む

初めの戒めを聞かなかった人は、最後に重く縛られて耳までふさがり凶になります。

原文

上九:何校滅耳、凶。

書き下し文

上九、校を何いて耳を滅す、凶なり。

現代語訳

首に刑具を負い、耳をふさぎます。凶です。

爻辞の読み解き

上九は卦の尽きる所にあります。初九は足の刑具で進むことを止められました。上九は首に重い刑具を担い、耳まで覆われます。耳が滅するとは、人が忠告を聞けず、事実を聞き分けられなくなることです。

象伝は「聡明ならざるなり」と言います。断獄や聴事で最も大切なのは、聞くことです。剛が過ぎて中を失えば、本人も裁く者も聞く力を失います。冤を作るよりは刑を恤む心を持ちたいところです。重刑が示されることも、本人が剛愎で聞かないことも、行き着く先は凶です。

実際の読み方

時運は大運が終わり、柔らかく処世すれば保てますが、なお強く押せば凶になります。商業では、利を得たら止まり、貪りすぎません。家宅は意外の災いに注意します。戦いは前進してはいけません。病では耳、頸、毒腫など重症に注意します。妊産は古くから男児の象と伝えますが、耳や出産の傷に注意します。

高島の占例

占例1

東京の酒店主人が朝に外出して日暮れまで戻らず、家族が占いを求めた時、高島は上九を得ました。内震外離、南方の街路、雷火の蒸気車、「何校滅耳」から鉄道事故と耳の損傷を読み、後に警察から、主人が鉄道で死亡し頭と耳が裂けたとの知らせが来ました。

占例2

ある貴紳の妻が予定日を過ぎても出産しない件でも上九を得ました。高島は卦中の陽爻が陰を挟む形を妊娠とし、「滅耳」から胎児が大きく難産となって耳を傷つける恐れを読みました。後に実際に難産となり、嬰児の耳が傷つきました。

火雷噬嗑:読みの覚え

火雷噬嗑は、真ん中に挟まった硬い障害を噛み砕く卦です。情で流さず、明らかな基準で処理して秩序を戻します。

何が真ん中を塞いでいるか

噬嗑では、罰も規則も脅しの道具ではありません。何が塞いでいるのかを見える形にし、噛み砕いて秩序を戻すために置かれます。まず、関係や制度の真ん中を塞いでいるものを名指しします。違反、嘘、未処理の契約、言えない不満、責任の空白。そのどれなのかを曖昧にしたままでは、口は合いません。 次に、処理の基準が誰に見せても説明できるかを確かめます。基準が人によって変われば、処理そのものが次の不信を生みます。そして、古い問題を噛めば毒が出ると見込んでおきます。六三の遇毒が言うのは、怒りや恥や隠れていた事実が、噛んだ拍子に噴き出すことです。

噛んだ後に合わせられるか

契約違反、訴訟、社内処分、関係修復では、曖昧な温情より透明な手続きが働きます。小さな過ちは初九のうちに止め、硬い問題ほど記録を残します。証拠、手順、軽重の三つを分けておけば、処理が報復に変わることはありません。そして噬嗑の嗑は、合うという字です。噛み砕いた後に規則が残り、人がまた一緒に働き、帳尻が合う。そこまで見届けて、ようやく処理が終わります。

訟と革のあいだ

天水訟と並べると、訟はまだ言い分を争う局面、噬嗑は規則によって障害を裁断する局面だと分かります。争いが尽きたところで、結局は噛み定められる一本の基準が要ります。沢火革とあわせれば、噬嗑は目の前の妨げを法で処理する働き、革は制度そのものを改める働きです。執行で足りるのか、仕組みから作り替えるべきなのか。二つを分けて読むと、手の打ち方が決まります。

火雷噬嗑:読みの覚え札記を開く

火雷噬嗑は、真ん中に挟まった硬い障害を噛み砕く卦です。情で流さず、明らかな基準で処理して秩序を戻します。

何が真ん中を塞いでいるか

噬嗑では、罰も規則も脅しの道具ではありません。何が塞いでいるのかを見える形にし、噛み砕いて秩序を戻すために置かれます。まず、関係や制度の真ん中を塞いでいるものを名指しします。違反、嘘、未処理の契約、言えない不満、責任の空白。そのどれなのかを曖昧にしたままでは、口は合いません。 次に、処理の基準が誰に見せても説明できるかを確かめます。基準が人によって変われば、処理そのものが次の不信を生みます。そして、古い問題を噛めば毒が出ると見込んでおきます。六三の遇毒が言うのは、怒りや恥や隠れていた事実が、噛んだ拍子に噴き出すことです。

噛んだ後に合わせられるか

契約違反、訴訟、社内処分、関係修復では、曖昧な温情より透明な手続きが働きます。小さな過ちは初九のうちに止め、硬い問題ほど記録を残します。証拠、手順、軽重の三つを分けておけば、処理が報復に変わることはありません。そして噬嗑の嗑は、合うという字です。噛み砕いた後に規則が残り、人がまた一緒に働き、帳尻が合う。そこまで見届けて、ようやく処理が終わります。

訟と革のあいだ

天水訟と並べると、訟はまだ言い分を争う局面、噬嗑は規則によって障害を裁断する局面だと分かります。争いが尽きたところで、結局は噛み定められる一本の基準が要ります。沢火革とあわせれば、噬嗑は目の前の妨げを法で処理する働き、革は制度そのものを改める働きです。執行で足りるのか、仕組みから作り替えるべきなのか。二つを分けて読むと、手の打ち方が決まります。

この卦を読む前に

本卦、動爻、問いを照らす

卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。

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本卦の問い

まだ話し合いで済む段階か、はっきり処理すべき段階か。どこで見分けますか。

相手が問題に気づいていないだけなら、まず話を通します。偽造、侵占、欺き、挑発、規則破りが出ているなら、曖昧な和では口が合いません。分かれ目は、相手が知らずにやっているのか、知ったうえでやっているのかにあります。

厳しく処理すると、関係が壊れませんか。

噬嗑が恐れるのは二つあります。噛むべきものを避けて塞がりを残すことと、噛みすぎて周りまで傷つけることです。証拠と手順と比例を守るかぎり、処理は怨みになりません。上九の滅耳の凶は、強硬を通しすぎて忠告が耳に入らなくなった姿を指しています。

まだ話し合いで済む段階か、はっきり処理すべき段階か。どこで見分けますか。開く

相手が問題に気づいていないだけなら、まず話を通します。偽造、侵占、欺き、挑発、規則破りが出ているなら、曖昧な和では口が合いません。分かれ目は、相手が知らずにやっているのか、知ったうえでやっているのかにあります。

厳しく処理すると、関係が壊れませんか。開く

噬嗑が恐れるのは二つあります。噛むべきものを避けて塞がりを残すことと、噛みすぎて周りまで傷つけることです。証拠と手順と比例を守るかぎり、処理は怨みになりません。上九の滅耳の凶は、強硬を通しすぎて忠告が耳に入らなくなった姿を指しています。