高島易断
天火同人|意味・卦辞爻辞解説
天火同人䷌:一言で読む 天火同人は、人と共に事を成す卦です。小さな内輪ではなく、明るく公開できる場所で、公の目的のために人を合わせます。 現代語訳 同人は上が乾天、下が離火です。火は上へ炎上し、天は高く明らかです。火の明るさが天へ向かい、天と同じ明に達するので同人と呼ばれます。高島は、離が下にあり乾が上にあるため、二つを合わせると炎のように光明が上達する象があると見ます。この卦は否の後に置かれます。否は天地が交わらず、上下が閉じる卦でした。同人は、その閉塞の後に、人々が再び共通の目標を見つけ、同心協力して否を救い、道を開く卦です。
導入
一言で読む
天火同人は、人と共に事を成す卦です。小さな内輪ではなく、明るく公開できる場所で、公の目的のために人を合わせます。
現代語訳
同人は上が乾天、下が離火です。火は上へ炎上し、天は高く明らかです。火の明るさが天へ向かい、天と同じ明に達するので同人と呼ばれます。高島は、離が下にあり乾が上にあるため、二つを合わせると炎のように光明が上達する象があると見ます。この卦は否の後に置かれます。否は天地が交わらず、上下が閉じる卦でした。同人は、その閉塞の後に、人々が再び共通の目標を見つけ、同心協力して否を救い、道を開く卦です。
ただし同人は、誰とでもただ仲良くすればよいという意味ではありません。核心は「公の協同」です。明るく、正しく、外へ出しても恥ずかしくない原則の上で人と同じになることです。高島は「野」と「宗」を対比します。野は広く、遠く、隠し事のない場所です。宗は近い親族、内輪、私的な属する圏です。野へ出れば亨る。宗だけに閉じると吝です。
実際の読み方
仕事では、共同事業、連盟、合資、公共プロジェクト、部門横断の協力に向きます。まず、この件は明るい場所で説明できるかを見ます。目的、帳簿、権限、責任、利益配分を公開しても成立するなら同人です。親戚、同郷、旧友、自分に従う人だけを集め、内輪で利を分けるなら、形はにぎやかでも同人の大同ではありません。
同人を得た時は、三つを問います。同じになる根拠は公義か私利か。集まる範囲は大きな目的か小さな内輪か。集まった後、大きな危険や責任を共に担えるか。これが通るなら「同人于野」です。
卦辞
一言で読む
人と共に事を成すなら、内輪を出て公明な目的で集まる時にこそ難事も渡れます。
現代語訳
人と同じくするのは野においてです。通ります。大川を渡るのに利があり、君子の正しさに利があります。野は、広く開け、隠れた私情を置きにくい場所です。高島は、同人の道は広遠で隔てがなく、内外が一つでなければならないと説きます。人心に私欲がなければ、前にある険阻は少なくなります。大川のような大難でも、衆志が一つなら渡れます。
しかし「同」には公と私があります。自分に合う人だけを同とし、合わない人を異として排除するなら、それは小人の朋党であって同人ではありません。君子の貞に利がありますと言うのは、同じになるにも正しさと公明が必要だからです。人数が多いこと、声が大きいこと、仲がよいことだけでは足りません。
実際の読み方
協力を問うなら、透明であれば進めます。秘密の分配、排他的な内輪、私情での人選が必要なら退くべきです。チーム作りでは、目標が大きいほど規則を明らかにします。恋愛や人間関係では、「私たちは仲がよい」という感覚だけを正当性にしません。事業では、合資、提携、公開性のある社会的な計画に向きます。
実際の判断では、目的、規則、責任が明るいかを見ます。隠さなければ成り立たない同人は、同人の名を借りた私党です。明るく置ける同人なら、難事にも進めます。
彖伝
一言で読む
内に明らかな判断があり外に健やかな行動力がある時、人々の志は公の目的へ通います。
現代語訳
同人とは、柔らかなものが位を得て中を得て、乾に応じることです。だから同人と言います。人と同じくするのは野においてであり、通ります。大川を渡るのに利があるのは乾の行いだからです。文明でありながら健やかで、中正に応じるのが君子の正しさです。君子だけが天下の志を通じさせることができます。
下卦の離は文明、明見、よく見る力です。上卦の乾は剛健、実行力、大きく動く力です。内に明らかな判断があり、外に健やかな行動がある。しかも二と五が中正で応じる。だから君子は天下の志を通じさせることができます。
高島は、ここを単に一陰が九五だけへ専ら応じるとは見ません。六二は中にいるので、諸陽に遍く応じる量があります。つまり、同人とは一対一の親密だけではなく、多くの人の志を正しい中心へ通わせる働きです。否の時には上下が閉じ、天下に邦なしという状態でした。同人になると、君臣が志を合わせ、閉塞を救って泰へ開くことができます。
実際の読み方
組織では、中心目標が明らかで、責任者に実行力があり、参加者が公の事に協力できるかを見ます。個人なら、まず自分の内側に明らかな判断を持ち、それを行動へ移せるかを見ます。単に「助けてくれる人がいる」と読むだけでは浅いです。
よい同人は、違いを消しません。役割、経験、立場、能力の違いを認め、その違いを正しい目的の下で働かせます。会社でも家でもプロジェクトでも、意見を各自が隠し、上下が通らない時は否です。違いを明るく出し、共通の目的へ向け直せる時が同人です。
象伝
一言で読む
本当に人を合わせるには、まず種類と役割を分け、公私と正邪を混ぜないことが必要です。
現代語訳
天と火があるのが同人です。君子はこれを見て、族を類ごとに分け、物を弁えます。天は上にあり、火も上へ向かいます。どちらも明るさへ向かうので同人です。しかし君子がここから学ぶのは、すべてを一つに混ぜることではありません。同類は同類として集め、違う物は違う物として弁えることです。
同人の危険は、団結という言葉で善悪、公私、正邪、役割の違いを曖昧にしてしまうことです。「みな仲間だ」と言いながら、不正な人も、責任を負わない人も、私利だけの人も同じに扱えば、同人は乱同になります。本当の同は、違いを分けた後に、公の目的で協力することです。
実際の読み方
チームでは、役割、決裁、実行、監査、責任を分けます。共同事業では、出資、技術、営業、リスク、利益配分を明らかにします。コミュニティでは、公議と私情を分けます。家庭でも、親密さと原則を混同しません。
同人は親和だけではなく、分類と境界の卦です。分けることは冷たさではありません。むしろ、正しく分けるからこそ安心して共に働けます。よい団結は、青も赤も分からなくすることではなく、分かったうえで正しい事に力を合わせることです。
占断
一言で読む
同人を得た時は、協力、提携、合資、公開行動、友人の助け、衆心の一致を読みます。吉は公明無私、凶は偏私と結党です。
現代語訳
高島の占断では、時運は上昇の象があり、朋友の助けを得て大吉です。商業では合資会社のような事業に利があります。家宅は一家和悦。戦いでは軍士が同心して進めます。病では火症や薬の誤りを疑い、別の良医を求めることがあります。訴訟では、相手に同党をかばう者がいて、すぐには結びにくいことがあります。妊産は女を主に見ます。失物は同類の品の中を細かく探します。行人は友人と共に帰ることがあります。
高島自身は明治三年、維新後の新しい時勢に、自分が商家の身でありながら国家の開けにどう応じるかを占い、同人を得ました。彼は自家の利益だけでなく、民間の身で政府の政略に応じ、飛脚船、鉄道計画、洋学校、外国教師の招聘、横浜の瓦斯灯などに力を注ぎました。これを同人于野の用法として見ています。
実際の読み方
事業では同道を探しますが、規則を公開します。投資や会社設立では合資が可能でも、私情で制度を曲げません。官司では、相手の仲間内のかばい合いを警戒します。健康では、炎症、発熱、心火、薬の選択を慎重に見ます。
同人の判断では、「人がいるか」より「その人々が公明な目的に向いているか」を見ます。目的、帳簿、規則、責任を明らかにできるか。近い人だけを集めていないか。違う人の長所を容れられるか。これが同人の実占です。
初爻
一言で読む
協力の始まりは、内輪に閉じず外へ開いて往来できれば咎はありません。
現代語訳
人と同じくするのは門においてです。咎はありません。初九は同人の始まりです。門は内と外の出入り口です。門の内は親しい人、家族、身内の世界で、私情に傾きやすい場所です。門を出ると、天地万物と通じる広い場があります。高島は、初九が六二だけへ私的に同じようとせず、門を出て広く交わるところをよいと見ます。
まだ大きな功業を成す段階ではありません。しかし方向は正しいです。小さな自分の圏から出ること、外の正しい縁に触れること、内輪の安心に閉じないことが初九の同人です。
実際の読み方
仕事では、外部の人に会う、訪問する、紹介を受ける、新しい市場へ出ることに利があります。商売では、座して待つより行商や外回りがよいです。家宅では、一門の和があれば咎はありません。病では、土地を替えて養生する読みもあります。失物は門外を探します。
ある友人の気運占で高島が初爻を得た時、内の親好には情があっても私に流れやすく、出門して広く往来すれば無咎、後に人望を得ると読みました。初九は、同人が自己閉鎖を出るところから始まると教えます。
二爻
一言で読む
近い内輪だけで固まると、縁が正しくても広い公的な協同には足りず惜しさが残ります。
現代語訳
人と同じくするのは宗族の内においてです。吝です。六二は柔順中正で、上の九五と正しく応じます。本来はとてもよい位置です。しかし近い宗族だけで同じになることを戒めています。高島は、二と五が相応するのは臣と君、下と上が相得る形である一方、近すぎると人から偏私と見られやすいと読みます。三と四が求めても得られないため、嫉みや疑いも生まれます。
卦辞では野に同人すれば通ると言い、六二では宗に同人すれば吝と言います。中心に近い人ほど、小さな圏を作らない注意が必要です。正応があることと、公明であることは同じではありません。
実際の読み方
知人との協力は始められますが、身内びいきにならないようにします。会社では、中核チームが排他的な内輪にならないよう、規則、情報、評価を開きます。恋愛や家庭では、親密さそのものは悪くありませんが、私情で原則を曲げるのは問題です。名位では、上の信任を得た時ほど、外から疑われない公平さが必要です。
高島が維新後の事業を同人として読んだ時、彼が事を成せたのは政府や特定の一門への私的密着ではなく、民間の力を公開の文明開化へ接続したところにありました。六二は、よい縁があっても度量を広げなければ宗の吝に落ちると教えます。
三爻
一言で読む
公心を欠いた欲で協力を奪おうとしても、暗い争いになるだけで長く成りません。
現代語訳
兵を草むらに伏せ、高い丘へ登ります。三年たっても興ることができません。九三は剛ですが中を得ず、六二に近づきたいのに、六二は九五と応じています。求める同人を得られないので嫉みが生まれます。兵を草むらに隠すとは、正面からではなく暗く争うことです。高い丘に登って見るとは、機会をうかがうことです。しかし三年たっても興らないように、心の中には動きがあっても、時勢はまだ発動を許しません。
高島はこれを、暗中の謀奪、埋伏、疑忌、不正な競争として読みます。動機が公でなければ、力があっても光明の同人にはなれません。
実際の読み方
事業では、他人の権利や人脈を奪いに行くような動きは止めます。競争では、相手の伏兵を警戒すると同時に、自分が嫉妬から陰険になっていないかを見ます。商売では、山林や開拓のような長期案件なら時間を置いて利を見ることもあります。家宅では盗賊の窺いに注意します。失物は草むらや高い場所を探すことがあります。
明治二十四年、ある貴顕の気運占で高島はこの爻を得て、公の事業を謀る卦ではあるが、三爻は無理に求めても得られず伏して待つ象なので、三年後を待てと読みました。九三の戒めは明快です。公心を欠いた強い欲は、協力ではなく窺いになります。
四爻
一言で読む
奪う形で協力を得ようとした時、攻めきれず反省して止まれることが吉です。
現代語訳
城壁に乗りますが、攻めることはできません。吉です。九四は剛でありながら柔位におり、中正を失っています。六二とは正応でも親比でもありませんが、無理に同じになろうとします。その間には九三という壁があります。だから城壁に上るような形になります。初めは攻め、奪い、圧して得ようとします。
しかし九四は、九五の剛健中正を見ます。義理から見ても形勢から見ても、自分の攻めは直ではありません。そこで攻めることができなくなります。高島は、この爻の吉を、攻め勝つことではなく、反省して止めることに置きます。
実際の読み方
事業では、他人がすでに持つ権利、顧客、役職、成果を奪う計画なら直ちに止めます。商売では、商品を守って時価を待つ方がよく、強引な押し売りや買収は控えます。競争では、営塁を固め、防御を優先し、先に挑発しません。訴訟では今は理が薄くても、後に形勢が変わることがあります。家宅では、壁や囲いを修める読みもあります。
ある友人が他人の事業を羨み、同意者と権利を取ろうとした占で、高島は九四を得て、まさに「乗墉」の象だから中止すべきと読みました。後にその通りでした。九四は、機会に見えても、奪う形なら止めることが吉になると教えます。
五爻
一言で読む
大きな公的協力は、最初の誤解や反対を越えてこそ、後に笑って出会えます。
現代語訳
人と同じくします。先には泣き叫び、後には笑います。大軍が勝って相遇います。九五は尊位で中正、同人の主位です。本来は天下と同じくすべきで、六二だけを私的に親しむべきではありません。しかし九三と九四が嫉み、阻み、二五は一時相遇できません。そこに先の号咷があります。
やがて中正の力で阻隔を克服し、大衆が相遇して後に笑います。高島は、これを公正な協力が必ずしも最初から順調ではないこととして読みます。誤解、反対、競争、調整を経て、初めて本当の同人になることがあります。
実際の読み方
事業では、初めに小さな挫折や反対がありますが、後に大利があります。チームでは、先に争論し、後に統一します。病では、先に危うく後に安んじます。訴訟では、強く正当な弁護によって理を伸ばします。外交、会社整理、大きな公共事業、組織再編に向く爻です。
北海道炭鉱鉄道会社の社長問題で高島がこの爻を得た時、政府、北海道庁、大臣、社員、遠方の株主など位置の違う人々がいても、公明正大なら終に同心できると読みました。就任後、会社整理は成り、株価も上がりました。また日清戦後の三国干渉の中でも、先憂後喜として条約交換を読んでいます。九五は、大阻力の中でこそ、自分が中正公開の位置に立っているかを問います。
上爻
一言で読む
中心の名利を争わず少し外で公に関わるなら、大成ではなくても悔いはありません。
現代語訳
人と同じくするのは郊外においてです。悔いはありません。郊は都城の外です。宗より広く、野ほど無限に遠くはありません。上九は卦の終わりで、九五の上にありながら実位を持ちません。中心を争う段階ではなく、外れた場所で公に通じる形です。高島は、志は十分に得られていないが、私党から離れ、内争に巻き込まれず、功名を貪らないため無悔と読みます。
これは大亨通ではありません。清く争いを避け、自分を保つ爻です。中心の椅子を争うより、顧問、外部協力、周辺の働きとして関わる方がよい場合があります。
実際の読み方
事業では、中心職を争わず、外部支援、顧問、地方展開、周辺事業に回るのに向きます。商売では、市街の喧騒を離れた場所で守れば大損はありません。戦いでは郊外や荒地に陣する読みもあります。訴訟ではすぐに理が伸びにくいです。失物は郊外を探します。人生の終局を問う場合は、帰魂の象として慎重に見ます。
会社の役員が、頭取と大株主の争いに巻き込まれ免職を恐れた占で、高島は上九を得て、偏らず党せず、争いの外にいれば免職の憂いはないと読みました。上九は、立場を外に置くことで身を全うする知恵です。
天火同人:読みの覚え
天火同人は、人と共に事を成す卦です。内輪の結束ではなく、明るく公に開ける目的へ人を合わせます。
内輪ではなく、公へ開く
同人では、誰と組むかより、何のために集まるかが先です。私情や派閥を越えて、公明な目的と役割を置く時に、大川も渡れます。
親しい人だけで固まると、同人の明るさは狭くなります。違う立場の人にも説明できる目的があるかを見ます。
立てておきたい問い
- この協力は、公に説明できる目的を持っていますか。 - 内輪の好みで、人を分けていませんか。 - 違う立場の人を入れるだけの明るさがありますか。
理念とルールを先に共有する
共同事業、研究、友人との計画、公開活動では、先に理念とルールを共有します。近い人だけで固まるより、目的に合う人へ開くことが同人の道です。
あわせて読む
水地比が中心へ親しむ卦なら、天火同人は公の目的で共にする卦です。沢地萃と読むと、集まった人心をどう保つかが見えてきます。
本卦の問い
この協力は、公に説明できる目的を持っていますか。
外の人にも説明できる目的なら、同人の力があります。身内の都合や好みだけで集まるなら、後で不信や排除を生みやすくなります。
内輪の好みで、人を分けていませんか。
好き嫌いだけで人を分けると、目的が小さくなります。役割と能力、そして共有できる明るい目的で人を見ることです。
違う立場の人を入れるだけの明るさがありますか。
同人の明るさは、違いを消すことではありません。違う立場でも共に立てる目的とルールを用意できるかが問われます。
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