高島易断

風山漸|意味・卦辞爻辞解説

風山漸䷴:一言で読む 漸は、順序を踏んで進む卦です。山の上の木が少しずつ伸び、鴻雁が一段ずつ止まるように、婚姻、仕事、学問、出世は飛び級できません。 現代語訳 漸は上卦が巽で風、また木。下卦が艮で山です。山の上に木が生えている形で、木は一夜で林になりません。土を得て、風を受け、日々少しずつ高くなります。巽は入り、木は伸び、艮は止まって動かない。だからこの卦には進む意味がありますが、性急な前進ではなく、山の重みによって節度を持つ進み方です。

導入

一言で読む

漸は、順序を踏んで進む卦です。山の上の木が少しずつ伸び、鴻雁が一段ずつ止まるように、婚姻、仕事、学問、出世は飛び級できません。

現代語訳

漸は上卦が巽で風、また木。下卦が艮で山です。山の上に木が生えている形で、木は一夜で林になりません。土を得て、風を受け、日々少しずつ高くなります。巽は入り、木は伸び、艮は止まって動かない。だからこの卦には進む意味がありますが、性急な前進ではなく、山の重みによって節度を持つ進み方です。

序卦伝は「艮は止なり。物は終に止まるべからず、故にこれを受くるに漸を以てす。漸は進なり」と言います。前の艮は止まることを説きました。しかし万物は永遠に止まりません。止まって定まった後は、また前へ行きます。ただし艮の後の進みは、震のように突然発する動きではありません。ゆっくり、礼を踏み、位置を確かめながら進むことです。

卦辞は「漸は、女帰ぐに吉。貞に利があります」と言います。女帰は女子が嫁ぐことです。古代の婚礼には媒妁、父母の命、納采、問名などの手順があり、喜びだけで勝手に結び合うものではありません。漸は女帰を借りて、本当に安定する成就は、一歩ごとに礼、時、位に合うことから生まれると教えます。

実際の読み方

漸を得たら、急いで結果を取ろうとしないことです。恋愛なら、名分、承諾、家庭、時機が一つずつ整っているかを見る。仕事なら、資歴、資源、立場が積み上がっているかを見る。学びなら、段階ごとの土台を作ります。

漸はのろのろすることではありません。一歩ごとに立てる場所を作ることです。遅く見えても、位置が正しければ本当の前進です。

卦辞

一言で読む

安定した成就は、情や結果を急がず、礼・時・位を順に整えるほど吉になります。

現代語訳

漸は、女子が嫁ぐのに吉です。正しくするのに利があります。つまり、婚姻のような大事は順序を踏んで正しく進めば吉、という字面です。漸と帰妹は対になります。どちらも女子が嫁ぐ象を取りますが、漸は礼にかなった女帰です。帰妹は、悦びや情が先に立ち、名分が後から乱れやすい。漸は長女が順に帰ぐ象で、媒妁、父母、年齢、礼節が少しずつ熟しているので、正を得やすいのです。

高島は咸卦とも比べます。咸は少男少女が相感し、男が女を娶るので、まず「貞に利があります」と言い、その後で娶女吉を言います。漸は艮男、巽女で、女が男に帰ぐので、まず「女帰吉」と言い、さらに正を守ることを告げます。この順序の違いは細かいようで大切です。感情は起こることがありますが、婚姻は漸く成るものです。機会は突然現れても、名分と責任は段階を踏んで定まります。

漸の吉は、遅らせることそのものにあるのではありません。礼を越えないことにあります。女子の婚姻だけでなく、事業への参加、職位の昇進、学問の進階、家庭の建設も同じです。前段の名分が曖昧で、手順が正しくなく、位置が不安なら、後で一時に賑わっても、帰妹の不正へ傾きます。

実際の読み方

漸を読んだら、まず三つを点検します。正当な道筋があるか。時機は成熟しているか。自分に相応する位置があるか。

恋愛では熱情だけで決めません。仕事では野心だけで進みません。投資では流行だけに乗りません。漸は前進を許しますが、一歩一歩を長く支えられる形にすることを求めます。

彖伝

一言で読む

進むべき位へ正しく進むから功があり、家や国の秩序まで育ちます。

現代語訳

進んで位を得れば、往って功があります。正をもって進めば、国を正すことができます。つまり、進む先が正しい位置であって初めて功があり、正しい進みは大きな秩序を整える、という字面です。女帰が吉である理由も「進みて位を得る」ことにあります。進む先が進むべき位置であって初めて、往って功があります。正しい道で進めば、家を正し、国を正すことにもつながります。夫婦は家道の始めです。家道が正しくなければ、風俗や国家の秩序も根を持ちません。だから漸は婚姻だけでなく、あらゆる秩序がどのように育つかを説く卦です。

卦体は下に艮、上に巽です。艮は止まり、巽は順い入ります。止まってから順い、順ってから動くので、動きが窮まりません。艮の篤実がなければ、巽の入り方は軽く流れます。巽の成長がなければ、艮はただの停滞になります。漸とは、根を据えた後に、ものごとを順に進める道です。

高島は、天下の事はみな進むことを貴ぶが、進みは速いことを貴ぶのではなく、ゆったり順を得ることを貴ぶと言います。世の人は急功を好むので、漸の道は忘れられやすい。婚嫁だけにはまだ手順が多く残るため、卦辞はとくに女帰を取りました。また六爻はすべて鴻雁を象に取ります。雁は来る時があり、飛ぶ列があり、配偶が定まるので、有序に進むことを最もよく表します。

実際の読み方

漸で成敗を見る時は、速度だけを見ません。位を見ます。昇進は資歴に合っているか。創業は基礎に合っているか。婚姻は承諾に合っているか。学問は工夫に合っているか。

各段階には、水辺、磐石、陸、木、陵、逵があります。位置を乱さないことが、本当の前進です。

象伝

一言で読む

徳は命令で急に変わらず、長くその徳に居ることで風俗を少しずつ善くします。

現代語訳

山の上に木があるのが漸です。君子はこれを見て賢徳に居り、風俗を善くします。つまり、木が少しずつ育つように、徳に長く居て世のならわしを善くする、という字面です。木が山上にあるのは、その所を得ている形です。女子が正しく嫁ぐのも、所を得ることです。木は漸く長じ、一日で材になりません。風俗も漸く善くなり、一日で改まるものではありません。

君子はこの象を見て、教化は一時の命令で押し出せるものではないと知ります。まず自分が賢徳に居り、見ることのできる手本となる。すると人は少しずつ仁に親しみ、義に近づき、風俗は自然に善へ向かいます。高島は、古代の賢婦の徳が風俗を化すことにも触れます。家の中の徳、男女の正しい配偶、日常の礼節が、ゆっくり外へ広がっていくのです。

ここでの「居」は大切です。たまに善い顔をすることではありません。長くその徳の中に安んじることです。山上の木は、日々風を受け、日々土に養われて高くなります。人の徳も日々そうであってこそ、周囲を納得させます。

実際の読み方

組織、家庭、教育、ブランド、評判を問う時、漸は速成を求めるなと言います。風俗、信頼、口碑、家風、専門能力は、長く居て化するものです。

一度の大きな宣言より、毎日正しいことを少しずつ行う方が強い。漸の力は、派手さではなく、積み重ねにあります。

占断

一言で読む

順序を作り、蓄積と礼法を守れば終わりは吉で、急げば位を失います。

現代語訳

高島の総占では、時運を問えば、木が高山にあって春に遇い、だんだん発達する象があります。経営では、山は財貨を蔵し、木は生発し、巽は商いでもあるので、利市三倍の意味があります。ただし利益も急にではなく、漸く来ます。功名は賢才の選に入ることができます。戦いでは、軍が深山茂林へ進み、伏兵に遭うことを防ぎます。

婚姻は、多く賢徳ある淑女、良配が成る象です。家宅は徳門仁里で、君子の住むに適します。病は古占では木が土に克つ象などを見て、安居し調養するのがよいとしますが、現実には医師に従います。妊娠出産についても、古い男女の象は参考にとどめます。

この卦の吉は、多くが有序から来ます。感情には礼が必要です。事業には履歴が必要です。学びには段階が必要です。経営には資金の流れと信用が必要です。家宅には家風が必要です。結果へ飛びたいだけで過程を歩まないなら、漸の道を失います。

実際の読み方

目標を受け止められる段階に分けます。まず水辺に至り、次に磐石に立ち、さらに高い陸へ進み、平らな枝を得て、丘陵へ登り、最後に羽が儀となる。

漸は遅さを恐れません。順序がないことを恐れます。低い所にいることを恐れません。正しい道を離れることを恐れます。

初爻

一言で読む

始まりが浅く弱い時は議論も危うさもありますが、約束と礼を守れば咎はありません。

現代語訳

鴻が水辺へ漸みます。小子は危ういです。言葉があっても咎はありません。つまり、始まりの低い位置では危うさや議論があっても、正しい約束を守れば咎はない、という字面です。干は水辺です。鴻雁が水際に下りるのは、漸の最初であり、最も低く浅い位置です。雁は往来に時があり、群れで飛ぶ列があり、古代の婚礼にも用いられました。偶が定まり乱れないことを取るからです。漸卦の六爻がすべて鴻雁を用いるのは、この秩序ある進み方を示すためです。

「小子厲うし」とは、初位が年少で力が弱く、少男が長女に配されるように、年齢、地位、時機に不安があることです。人から議論されやすい。「言有り」は、媒妁の言、前の約束、または旁人の議論と読めます。すでに正当な約束があり、時を待ち礼を守れるなら、まだ低いことによって大きな過ちはありません。

占例では、友人が事業の成否を問うて、漸が家人に変じる初六を得ました。高島は、漸の初爻は事業初創であり、干は水辺の低い所、秋の雁が初めて来てまだ遠く飛べないようなものだと読みました。事業を始めれば必ず小人の妨げや閑言があります。しかし初志を抱き、成言を改めなければ、四年後に上爻へ至って応援を得、大きな利益を得られると断じました。

実際の読み方

時運は、人が微かで年も若く、初行に危うさがありますが、守正すれば大過は免れます。戦いでは江辺に屯し、危険を防ぎますが、謀言を告げる人があります。経営では取引が始まったばかりなので、契約や約束を早く明らかにします。

功名は起点が低くても漸進の象があります。婚姻は年齢や条件がまだなら待つべきです。家宅は水辺に近い象で、小さな病や災いを防ぎます。

二爻

一言で読む

足場が磐石まで整えば、飲食も和やかになり、漸進はいったん吉となります。

現代語訳

鴻が磐へ漸みます。飲食は和やかです。吉です。つまり、安定した足場に進めば、養いも楽しみもあり吉、という字面です。磐は水中の平らな石で、初爻の水辺より安定しています。衎衎は和楽の様子です。鴻雁が磐石に至れば、水を飲み、魚や稲を食べられます。女子が嫁いでその所を得、夫婦が合卺して食を共にし、室家が和楽であるような象です。

二は五と正応します。だから配偶が相得る象があります。高島は、賢徳の婦人は内助の功があり、ただ夫家の食を食むだけではないので、象伝が「素飽ならざるなり」と言うのだと説きます。平たく言えば、この位置の安楽は無功で受けるものではありません。配合が正しく、位置が正しく、内助に実があるから得られる安楽です。

占例一では、明治二十三年にある貴顕の気運を占い、漸が巽に変じる六二を得ました。高島は、この人は干から磐へ進み、足跡はだんだん高く、学識も漸く長じる。二五相応は君臣和楽、夫婦相得るようで、美衣飽食、安きこと磐石のごとしと断じました。占例二では、北海道庁の気運を占って同じ爻を得ました。乱から治へ、衰から盛へ入り、北海は魚産豊かで、民はその土地に住み飲食衎衎となると読みました。

実際の読み方

時運は安楽で満ち足り、吉です。戦いでは食糧が足り、軍心が喜び、磐石のように安定します。経営は小から大へ進み、漸く利を得ます。

功名には宴楽によって名を成す象があります。婚姻は二五相応で、長く和合できます。家宅は地盤が安く、一門が和楽です。病は飲食過多に注意し、胃腸を調えます。

三爻

一言で読む

高い所へ進んでも正道を失えば家庭も成果も乱れ、遠征より守りが利します。

現代語訳

鴻が陸へ漸みます。夫は征いて帰らず、婦は孕んでも育てません。凶です。寇を防ぐのに利があります。つまり、高く進んでも正しい関係を失えば凶で、外へ攻めるより守る方がよい、という字面です。陸は高く平らな地です。位置だけ見れば水辺、磐石より高くなっています。しかし九三は陽剛が過ぎ、内外の境にあり、正道を離れやすい。

「夫征きて復らず」は、男が外へ出て帰らないことです。「婦孕みて育わず」は、孕んでも養い成すことができないことです。高島は、これは夫婦の道が正を失うことだと見ます。三と四は近く比し、正応を離れて私に牽かれる象がある。漸進の大義に背くので、家庭は和せず、生育も順成しません。鴻雁は本来、雌雄が相守り、飛止も相保ちます。雄が飛んで帰らなければ、群れを離れ、道を失います。

ただし爻辞は「寇を禦ぐに利があります」とも言います。雁群は夜に相呼んで警戒し、互いに従い保つので、防寇の象があります。この爻は主動的な遠征に不利ですが、守って外敵や盗難を防ぐことには利があります。乱れた所でさらに乱動せず、まず境界を守るべきです。

占例では、高島が獄中にいた時、獄吏の和田某が罪案について再占を請い、漸が観に変じる九三を得ました。高島は「夫征きて復らず」を旧案が再び追及されないこと、「婦孕みて育わず」を禍の種が枝を生まないこと、「御寇」を審獄の官が身を保つことと読みました。後に和田は継任官と相談し、五十か月の徒刑を二十か月に減じ、高島は出獄できました。

実際の読み方

時運は道筋が正しくなく、外からの禍を防ぎます。戦いは守御がよく、出征はよくありません。経営は利益を得にくく、盗難や共同者との失序を防ぎます。

功名は軍政や防務なら名を得ることがあり、ほかは不安定です。婚姻は初めが乱れ、後に離れることを防ぎます。家宅は生産に不利な象。病、とくに産に関わることは、現実には必ず医療を重んじます。

四爻

一言で読む

不本意な位置でも、足場を見つけて柔らかく身を置けば大きな失敗は避けられます。

現代語訳

鴻が木へ漸みます。あるいはその桷を得ます。咎はありません。つまり、本来止まりにくい所でも、平らな枝を得ればしばらく安んじて咎がない、という字面です。巽は木で、四は巽の始めなので木と言います。鴻雁は水鳥であり、本来は木に止まるのに向きません。桷は大きく平らな枝です。もしちょうどそのような枝を得れば、最上ではなくても、ひとまず足を置けます。

「或いは」は幸いに得るという響きです。高島は、これは鴻雁が所を失うことによって、婦人が所を失うことをたとえるとします。九三に「夫征きて復らず」があり、六四は正しい配所を失ったような状態です。ただ、柔順をもって自ら処し、随遇に安んじ、正を乱さなければ、大きな咎はありません。

占例では、旧大垣藩主華族戸田氏の母が神奈川の別荘で療養しており、医師の戸塚文海が病勢を問いました。高島は以前に代占して漸が遯に変じる四爻を得ており、近い病は差し支えないが、明後年あたり命限に阻みがあると推しました。後に三年を経て太君は果たして亡くなりました。高島は漸を長女、また帰魂の象とし、四から上まで三爻を三年と見たのです。

実際の読み方

時運は位置が正しくありませんが、順に処すれば一時は安んじます。経営では得るものは多くなくても、過失を免れる程度には足ります。戦いでは倚角の勢を得て、敵勢はすでに衰えています。

功名は競争の中で少し得るが大きくはありません。病は古占では肝木の盛り過ぎや順気調養を見ますが、医療判断を優先します。家宅は寡居、失所、相手に恵まれない感じが出やすい。行人は外で一時身を置き、すぐには帰りません。

五爻

一言で読む

長い遅れがあっても、正しく応じ合うものは最後に妨げられず吉となります。

現代語訳

鴻が陵へ漸みます。婦は三年孕みません。最後にはこれに勝つものがありません。吉です。つまり、高い段階で長く遅れても、正しい応じ合いは最後に妨げられず吉、という字面です。陵は大きな丘です。鴻雁は北方の故地へ帰ってこそ孕育の所を得ます。九五は尊位にあり、六二と正応します。だから正しい夫婦が家に居り、生育の遅速をもってこの爻を説明します。

「三歳孕まず」は、永遠に成らないという意味ではありません。時がまだ至らず、陰陽がまだ和しておらず、過程に待つべきものがあるということです。高島は、艮は少男、巽は長女であり、女はすでに成熟していても男がまだ冠していないように、すぐに生育できないと説きます。時が至って和合すれば、自然に孕みます。二五は正応で、内外とも位置が正しい。だから「終に之に勝つこと莫し」、この正応に勝てるものはなく、最後は願いを得ます。

この爻は九三との対照でもあります。九三は六四と近く比して正しくなく、孕んでも育てないので凶です。九五は六二と正しく応じ、しばらく孕まなくても最後には願いが成るので吉です。漸卦が重んじるのは、まさに正と時です。

占例では、ある商人が気運を問うて漸が艮に変じる九五を得ました。高島は、この人は商いを長年営み、事業はすでに漸進して高くなっているが、今すぐ利益を得ることは難しいと読みました。鴻雁の雌雄が相随っても、一大一小でただちに生育できないようなものです。商業もさらに三年待てば大きな利を得て、他人の及ばないものになると断じました。

実際の読み方

時運は中正に進んでおり、三年または一つの周期の後に良くなります。戦いでは高阜に屯し、長く待って後に向かう所に利があります。功名は待つ必要があり、後に成ります。

経営は目先の利益が難しく、大利は後にあります。婚姻は子を得るのが少し遅くても終吉です。家宅は高丘の間にあれば吉。妊娠出産の古い象は参考にとどめます。

上爻

一言で読む

段階を踏み切った成果は、自分の成功を越えて周囲の手本になります。

現代語訳

鴻が逵へ漸みます。その羽は儀に用いることができます。吉です。つまり、最後まで整って進めば、その成果は人の手本となり吉、という字面です。上爻と三爻にはどちらも高い所へ進む意味がありますが、趣は異なります。九三は内外の境で正を失い、陸が不安の場所になります。上九は漸の終わりにいて、人の位を越え、羽翼が成り、礼儀に用いられるほどです。だから吉です。

高島は、漸卦の六爻がみな鴻雁を用いるのは、夫婦の礼をたとえるためだとします。雁は偶があり乱れません。古代の納采問名に雁を用いたのも、この秩序を取ったのです。上爻の「羽用て儀となすべし」は、人、家族、事業が、初めから終わりまで礼に従って漸進すれば、最後は自分が吉を得るだけでなく、他人が観て法とする姿になることを示します。

占例では、明治十九年、横浜でコレラが流行し、高島が箱根へ避けていた時、門人の尾藤某が越後高田裁判所長に赴任することになりました。自筮が不吉だったため、高島が再占して漸が蹇に変じる上九を得ました。高島は、全卦は漸進して上に至り、進む所がもうないので、新たに北国高田の任を授けられることには合う。爻辞にも吉象があります。しかしこの爻は帰魂の象でもあり、身命を占うには阻みがあると読みました。人々はなぜ一筮で死を断じるのか分かりませんでしたが、尾藤は赴任後まもなく亡くなりました。

実際の読み方

時運は盛んで、出て用いられることができます。ただし寿命や帰止のような問いでは、変卦と全体の流れも見ます。戦いでは平陸から進み、威儀が明らかです。経営では貨物がよく値も高く、利を得ます。

功名は世に出て用いられ、儀表となることがあります。婚姻は吉。家宅は地位が高く、人に仰ぎ見られます。妊娠出産の古い男女象は参考程度です。

風山漸:読みの覚え

風山漸は、順序を踏んで進む卦です。婚姻、仕事、学問、出世は、一足飛びより段階を守るほど吉になります。

遅さより、順序を守る

漸では、遅さを恐れません。正しい位へ進み、礼と時を守ることで、ゆっくりした進みが最後に安定した成果になります。

婚姻、仕事、学問、出世は、一足飛びに見える成功ほど危ういことがあります。足場が次の高さに耐えられるかを見ます。

立てておきたい問い

- 今の段階を飛ばして、結果だけを取りに行っていませんか。 - 足場は、次の高さに耐えられるほど整っていますか。 - 長い遅れの中でも、正しく応じ合う相手はいますか。

手順を飛ばさない

結婚、昇進、移住、研究では、手順を飛ばさないことが一番の近道です。不本意な位置でも足場を見つければ、大きな失敗は避けられます。

あわせて読む

地風升が上へ昇る卦なら、風山漸は順に進む卦です。雷沢帰妹と読むと、礼を越えて急ぐ関係の危うさが見えてきます。

本卦の問い

今の段階を飛ばして、結果だけを取りに行っていませんか。

肩書き、約束、実力、生活の準備が追いついているかを見ます。結果だけを先に取ると、後で足場が揺れます。

足場は、次の高さに耐えられるほど整っていますか。

次の高さに必要な技能、信頼、資金、関係があるかを確認します。足場が弱いなら、まず今の段階を整えます。

長い遅れの中でも、正しく応じ合う相手はいますか。

待てる相手、育て合える相手、手順を尊重できる相手がいるかを見ます。漸では、応じ合いにも時間が要ります。