六十四卦 意味・読み方
雷火豊|意味・卦辞爻辞解説(らいかほう)
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。
引
盛りが極まると陰り始めます。明るいうちに決めておく卦です。
卦象と卦名
豊は上卦が震で雷、下卦が離で火、日、電です。雷は物を動かし、日は物を照らして温めます。雷と電が同時に至れば、万物は動かされ、照らされ、豊かに茂ります。震は動、離は明にあたり、明と動が合わさって豊になります。
卦の中心的な意味
卦辞は「豊は亨る。王之に假る。憂うる勿れ、日中に宜し」と言います。豊が亨るのは、財が世を済うに足り、徳量が人を容れるに足り、事に窒碍がないからです。「王假之」の假は、感通する、至る、来るという方向に取ります。王者が誠をもって豊の道に感通できれば、天下を照臨できます。
しかし豊卦は最初から戒めを含んでいます。「憂うる勿れ」は、まったく心配がないという意味ではありません。豊盛の中でこそ日中のように明るく、公正で、中正であれということです。正午の太陽は最も明るいのですが、正午を過ぎれば西へ傾きます。月も満ちれば欠けます。豊の大きさの中には、すでに衰えへ転じるきざしが潜んでいます。
向いている問い
豊を得たら、今の勢いが本物かどうかを問います。資金、人材、信頼、制度まで豊かなのか。光明はまだあるのか。中心に事を主れる人がいるのか。
豊は、明るいうちの決断を勧めます。同時に、過盛、驕り、人に遮られること、表面の賑わいと内実の空虚を警戒します。
卦辞
豊かさは恐れず用いますが、正午の光のように公開と公正を保ちます。
原文
豊:亨。王假之、勿憂、宜日中。
書き下し文
豊は亨る。王之に假る、憂うる勿かれ、日中に宜し。
現代語訳
豊は通じます。王がそこに至ります。憂えることはありません。日が中天にあるようであるのがよい。
卦辞の読み解き
高島が引くのは『正義』の「財多く徳大なるをもって豊と称す」という一句です。財だけがあって徳がなければ奢りになります。勢いだけがあって明がなければ乱れになります。本当の豊は、財、徳量、行動、光明がそろって足りている状態です。だから亨ります。
「日中に宜し」はとくに大切な一句です。離は日であり、日中は光が最大で、最も遠くまで照らします。王者が豊に処する時は、自分の明徳を天下に照らし、上下が公開で明らかな、公正な光の中で事を行うべきです。そうしてはじめて、豊盛は少数者の享楽に閉じず、天下がともに見られる明治になります。
ところが彖伝はすぐに警告します。「日中すれば昃き、月盈つれば食す。天地盈虚、時と消息す。而るを況や人においてをや、況や鬼神においてをや」。天地にも満ち欠けがあります。人事が永遠に盛って衰えないはずはありません。豊盛を長く保てるかどうかは、明が欲望に遮られないこと、動きが驕満によって中を失わないことにかかっています。
実際の読み方
事業が熱くなり、家業が盛り、職位が高まり、名声が大きくなった時こそ、透明性、制度、危険、後継、財務、人心を点検します。
豊の時は、憂えて退縮しすぎるのも、満ちて目が見えなくなるのも困ります。事を日中の光で照らせる状態に保っておきます。
彖曰
明察してから動くから大業が成り、明が遮られると盛るほど乱れます。
原文
豊、大也。明以動、故豊。王假之、尚大也。勿憂宜日中、宜照天下也。日中則昃、月盈則食、天地盈虚、与時消息、而況于人乎?況于鬼神乎?
書き下し文
豊は大なり。明にして以て動く、故に豊なり。王之に假るとは、大を尚ぶなり。憂うる勿かれ日中に宜しとは、天下を照らすに宜しきなり。日中すれば則ち昃き、月盈つれば則ち食く。天地の盈虚も、時と与に消息す。而るを況んや人においてをや、況んや鬼神においてをや。
現代語訳
豊とは大きいことです。明をもって動くので豊です。王がこれに至るとは、大を尊ぶことです。憂えるな、日中に宜しとは、天下を照らすべきだということです。日が中天にあれば傾き、月が満ちれば欠けます。天地の満ち欠けも時とともに消えたり伸びたりします。まして人や鬼神ではなおさらです。
彖伝の読み解き
帰妹の後に豊が来るのは、帰する所を得た後に、事が大きくなるからです。豊が大きくなる理由は、下に離の明があり、上に震の動があるところにあります。明は見抜き、動は実行します。見てから動き、動いても光明を離れない。そこから事業が盛大になります。
豊を人事に移した時、人が最も憂うべきなのは不豊よりも不明のほうです。不豊はまだ補えます。不明になると、豊かな財はかえって心を暗くし、豊かな欲は乱れを生み、豊かな功は傲りとなり、豊かな勢は人を覆います。互卦には大過の象があり、中を過ぎれば危険です。日が中を過ぎれば昏くなり、月が中を過ぎれば欠けます。過盛は必ず衰へ向かいます。
国家に推せば、豊は王者の明徳が上にあり、天下が熙然とする盛局です。しかし治乱盛衰は天運のように巡ります。文明で柔順、上下が信を通じ、邪を去り賢を任ずるなら、風雨や晦冥も日を傷つけません。反対に、上下が互いに蔽い、近習が権を弄べば、動けば動くほど困り、豊は不豊に変わります。
実際の読み方
豊を読む時の核心は「明はどこにあるか」です。誰が本当の情報を持っているか。誰が公開して判断できるか。誰が光を遮っているか。何が人に疑いと恐れを生んでいるか。
明がある限り、動きは豊を成します。明が遮られれば、賑わいが大きいほど危険も大きくなります。
象曰
事実を照らす明と決断の威がそろう時に、裁きを先送りしません。
原文
雷電皆至、豊、君子以折獄致刑。
書き下し文
雷電皆至るは豊なり。君子以て獄を折め刑を致す。
現代語訳
雷と電がみな至るのが豊です。君子はこれを見て獄を折り、刑を致します。
象伝の読み解き
雷は威を主り、電は明を主ります。明だけで威がなければ、問題を見ても処理できません。威だけで明がなければ、冤罪や乱断が起こります。豊の象は、明と威が同時に備わるところにあります。
折獄とは案件を審らかに断つことで、離の明によって情実を見ます。致刑とは刑罰を施すことで、震の威によって罪と罰を相当させます。明は奸偽を洞察し、威は決断を推し進めます。明をもって威を運ぶので、察することも決することもできます。威によって明を助けるので、私せず、枉げません。
豊の時は、事が多く、利が大きく、人が雑多になります。分別と裁断が遅れれば、盛局はたちまち乱れます。表面が豊かなほど、規則と賞罰を明らかにしておきます。草木が密に覆い、白昼に星が見えるような象は、明が遮られている印です。
実際の読み方
管理、組織、家族の大きな事を問うなら、豊は賑わう時ほど監査、事実確認、責任確定、裁断が要ると言います。
人を恐れて判じないのも、勢いだけで乱断するのも困ります。先に事実を照らし、それから責任を落とす。そうしてはじめて豊は腐りません。
占断
盛運は成りやすいものの、財と権と名が豊かなほど透明さが要ります。
総合的な占意
豊は大きいこと自体を恐れません。恐れるのは、大きいのに明がないことです。旺んなこと、金の多いこと、名の盛んなことも同じで、問題になるのは、主がいないこと、公平を欠くこと、そして驕ることのほうです。
項目別の占断
- 時運と盛衰:気運は旺盛ですが、豊かさの中で欠けと陰りを忘れなければ長く保てます。
- 経営と功名:利益が豊かな時ほど帳簿を透明にし、公平を守ります。明断と威を要する職なら、力を発揮できます。
- 戦いと競争:勢いが強く勝ちやすくても、威勢に隠れた情報と後の消耗を見落としません。
- 婚姻と家宅:関係には調和の象があり、家の財も豊かになり得ます。盛んな時ほど意思疎通と明晰さを保ちます。
- 病・失せ物・行人:熱の強い症状は受診します。失せ物は早く調べ、旅人は争いへの巻き込まれを防ぎます。
六爻の要点
- 初九:相応しい責任者や協力者に会えば短期の協力は成りますが、適期を過ぎて引き延ばしません。
- 六二:明るさが覆われ疑われる時は、力押しせず、誠によって遮りを開きます。
- 九三:遮りが深く実行の要を失ったら、まず損傷を認め、さらなる失敗を防ぎます。
- 九四:暗い局面でも信頼できる相手に会い、心を通わせれば吉へ転じます。
- 六五:才徳ある人を招き、その明るさを現せば、慶びと名誉を得ます。
- 上六:外形だけ大きく中に人も光もなければ、豊かさは閉ざされた空洞になります。
実際の読み方
上昇期にいるなら、透明な帳簿、明確な分担、適時の判断を整えます。遅らせてはいけない決定が、必ずいくつかあります。
注目度は高いのに情報が曖昧で、人が雑多で、内実が空なら、豊の後半に出てくる蔀、沛、豊屋無人の象を警戒します。
初爻
力の釣り合う相手に遇いました。旬を過ぎないうちに動けば尊ばれます。
原文
初九:遇其配主、雖旬無咎、往有尚。
書き下し文
初九、其の配主に遇う、旬なりと雖も咎なし、往けば尚ばるること有り。
現代語訳
その配主に遇います。十日であっても咎はありません。往けば尊ばれることがあります。
爻辞の読み解き
配主とは、勢いが相当し、配することのできる主人です。初と四はともに陽で、正応ではなく敵応です。ですからここの「配」は求め合う意ではなく、力量が相当して向かい合う意になり、客が主人に遇うような形をとります。旬は十日であり、均等という意味も含みます。その期限の中で往来して相処すれば、大きな咎はなく、往くことに称すべきものがあります。
ただし象伝は「旬しと雖も咎なしとは、旬を過ぐれば災あるなり」と戒めます。豊は過盛と過久を恐れます。出会いはよいことですし、礼遇もよいことです。しかし止まることが長すぎ、親しみが過ぎ、時限を逃せば、かえって災いになります。初爻は盛局の開き始めで、出会いがちょうどよい時なので、時にかなうことが何より大切です。
実際の読み方
時運は人の助けを得て、短期によい運があります。経営では十日ほど、あるいは短期のうちに貨物が売れ、期限を過ぎると不利になります。功名は即日によい知らせがあることもあります。
戦いでは敵我が相遇うので速進がよく、長引けば敗象になります。婚姻は縁分が相当するので、時を逃さず成すのがよいでしょう。病は良医に遇い、旬日で癒えることがありますが、長く引くと不利です。
高島の占例
明治三十一年に英仏両国の交際を占って、豊が小過に変じる初九を得ました。高島は、豊は雷電が相遇う卦で、二つの雄が並び立つ象だと読みました。初爻は英、四爻は仏で、両国は敵しつつも相配し、表面は和しながら、内には疑心と侵奪があります。英が謀を恃まず、仏が勇を恃まず、それぞれ徳と勇義を明らかにできれば、往有尚で豊を保てると断じました。
二爻
日中に北斗が見えるほど覆われた時、力押しより誠が遮りを開きます。
原文
六二:豊其蔀、日中見斗、往得疑疾、有孚発若、吉。
書き下し文
六二、其の蔀を豊いにす、日中に斗を見る、往けば疑疾を得、孚有りて発若たれば、吉なり。
現代語訳
その蔀を大きくします。日中に北斗を見ます。往けば疑いの病を得ます。誠があって発き開けば吉です。
爻辞の読み解き
蔀は光を遮るもので、雲、草、覆いなどと読めます。六二は本来、離明の中にいて日中のような所です。ところが草木が密に茂り、邪なものが上を覆うため、昼が夜のようになり、斗星まで見えてしまいます。
この暗さは、殷の紂王の昏乱、奸臣の弄権に重ねて読まれます。白昼が隠れ、北斗がかえって現れる。周の文王ほどの聖人でも、羑里に囚われることを免れませんでした。だから「往きて疑疾を得」と言います。疑疾は普通の病ではなく、疑心や遠慮、讒言に遮られて生じる病です。
転機は「孚有りて発若」にあります。孚は真実、誠です。忠であっても讒を受ける人は、力づくで疑いを壊せません。誠を積み、主を感ぜしめ、遮りがだんだん開くのを待ちます。疑いが開ければ、明は戻り、凶は吉へ転じます。
実際の読み方
時運は難に遭っても、正を守れば凶を吉に変えられます。経営は見識が明らかでなく、疑いも重いので、誠信によって人の助けを得ます。功名は先に凶、後に吉となります。
戦いでは伏して発せず、内応を待ちます。婚姻は初め疑い、終わりに和します。家宅は花木が茂りすぎて光を遮っているので、開けるのがよいでしょう。病は疑いと鬱から来るものとして、心を開くことも必要になります。失せ物は塵草を払えば得られることがあります。
高島の占例
明治三十一年に自由党の気運を占って、豊が大壮に変じる六二を得ました。高島は、白昼に斗を見るのは臣が君を蔽い、陰が陽を蔽う象だとし、自由党が庶民の私議をもって政府に上干し、言論が狂妄で疑疾を招くと断じました。後に悔い悟り、勢力で相凌がず、貞誠で相感ずれば吉へ転じると読み、実際に自由党は政府案に順って大過を免れました。
三爻
右腕を折るほどの損でも、暗さを認めて権を弄ぶ者を退ければ咎はありません。
原文
九三:豊其沛、日中見沫、折其右肱、無咎。
書き下し文
九三、其の沛を豊いにす、日中に沫を見る、其の右肱を折る、咎なし。
現代語訳
その沛を大きくします。日中に沫を見ます。その右肱を折ります。咎はありません。
爻辞の読み解き
沛は水草が多く茂ること、沫は昧とも通じ、暗さや星象を含みます。二爻では蔀が日を遮りました。三爻では水草がさらに密になり、光明がいっそう深く遮られます。
「右肱を折る」は重い言葉です。君にとって臣は股肱であり、右肱は最も力のある腕にあたります。ここで引かれるのは、文王が紂王に羑里で囚われた話です。紂は讒言を聞き、自分の右腕を折りました。右腕は折れても、文王は終身紂に仕えたので、文王の側には大きな咎がありません。しかし紂の側から見れば、天下の大事を成す腕を失っています。
この爻が示しているのは、ありふれた小損ではありません。重要な実行力、核心の補佐、右腕となる人物が折られる象です。それでもなお豊盛を装えば、事はさらに悪くなります。損傷を認め、権を弄んで光を遮る者を退けるなら、残った局面は保てます。
実際の読み方
時運は、白昼なのに夜のように見える時なので、災いを防ぎます。ただし一時、身命は保てることがあります。戦いでは旗が進む時に、風雲の急変と右軍の損失を防ぎます。
経営では価格の大きな上下で損耗しやすくなります。功名はついに用いられにくいところです。病は右腕、右側、あるいは重要な機能の損傷に注意します。家宅は田園が荒れ、水草が茂るので、長居には向きません。
高島の占例
ある友人が、ある会社に入るべきかを問うて、豊が震に変じる九三を得ました。高島は、会社の中には小人が多く、君子に権がなく、白昼が昏黒となっていると読みました。「右肱を折る」は、社中で最も権を弄ぶ者を去らせることで大過を免れるという意味です。友人には入らないよう勧め、後にその会社は閉鎖されました。
四爻
暗い中でも遇える相手はいます。動いて遇うから、この爻は吉です。
原文
九四:豊其蔀、日中見斗、遇其夷主、吉。
書き下し文
九四、其の蔀を豊いにす、日中に斗を見る、其の夷主に遇う、吉なり。
現代語訳
その蔀を大きくします。日中に北斗を見ます。その夷主に遇います。吉です。
爻辞の読み解き
九四は六二と同じく、蔀があり斗が見えます。同じように光明が遮られた局面です。しかし六二は陰が陰位に居るので、明が覆われて疑いを生じました。九四は陽剛で動く力があり、遮りを払いに動けます。
「夷主」は、卑しい主人というより、平らかで平易な、互いに遇える主人を指します。これは卦辞の「王假」につながる読み方です。信じられ、感通できる主人に遇えば、前の疑疾は解け、遮蔽は開き、動いて吉になります。
象伝は「位不当なり」「幽にして明ならざるなり」と言います。九四はなお最も正しい位置におらず、環境も暗いままです。しかし「吉行」とあるように、その吉は動いて人に遇うところから生まれます。二爻が疑いの中に閉じ込められるのに対し、四爻は外へ出て相手に遇える爻です。
実際の読み方
時運は、以前は蔽われていましたが、今は改めて動く好機があります。戦いでは兵が幽谷に入って道を見失いますが、幸いに案内者に遇います。経営では貨物の真偽が入り混じるものの、買い手に遇えば利を得ます。
功名は機会に遇って名を立てます。婚姻は良縁に偶然遇う象です。家宅は位置が暗くても、人に遇って改作すれば吉になります。病は目に翳が生じる象で、良医を得れば治せます。
高島の占例
ある豪家の支配人が気運を問うて、豊が明夷に変じる九四を得ました。高島は、この人は以前必ず抑えられて自分を明らかにできなかったが、今は幸いに主に遇い、事を謀れると読みました。ただしその主はもともと昏庸な性質があるので夷主と言います。本人が誠実で信頼に足るなら、信用を得て吉行できると断じました。
五爻
章ある人を招けるか。慶びと誉れは、そこから皆へ広がります。
原文
六五:来章、有慶誉、吉。
書き下し文
六五、章を来す、慶誉有り、吉なり。
現代語訳
章を来します。慶びと誉れがあります。吉です。
爻辞の読み解き
章は文采であり、美しい徳です。慶は賞賜、誉は名誉を指します。二爻では往くと言い、五爻では来ると言います。六五と六二はともに陰で正応にはなりませんが、五は尊位にいて明徳の才を招くことができるので、慶びと誉れがあります。
ここは文王の事につなげて読まれます。二爻が誠信をもって往き、五爻はその到来によって慶を得ます。慶は上から出て、誉は賢に帰ります。一人に慶があれば、兆民がその恵みに頼ります。豊卦の本当の吉は、財や勢いの多さだけから来るのではありません。君主、家主、責任者が賢才を見分け、忠言を納れ、賞罰を正しくするところから来ます。
実際の読み方
時運は盛運が大きく来て、実が至り名が帰します。経営は貨物の往来に利があり、名声も得られます。功名は恩賞と名利を兼ねます。
婚姻は門第が明らかで資財も豊かな、天合の良縁です。戦いは戦わずして成功し、凱旋して賞を受けることがあります。家宅は表彰される名門になります。病は名医が来て癒えることがあります。失せ物は探さずとも戻ることがあります。秋の収穫は大豊です。
高島の占例
占例1
ある富翁が気運を問うて、豊が革に変じる六五を得ました。高島は、この家は富盛で、五は家主だから本来は極めて吉であると見ました。しかし全卦には明が遮られる象があるので、必ず家臣が権を弄び、善悪が転倒しているだろうと読みました。家主が正直で信頼できる人の言を聞き、邪を去り賢を任ずれば、吉不吉はここで転じると説いています。
占例2
岩手田老村の海嘯の後、旧友の落合氏について占ったときも、同じ爻でした。高島はその家に必ず生き残った者がいると断じ、後に次男と四男が先に隣村へ行っていたため助かったことが分かりました。
上爻
屋ばかり大きく、覗けば人がいない。三年会えないと爻辞は言います。
原文
上六:豊其屋、蔀其家、窺其戸、闃其無人、三歳不覿、凶。
書き下し文
上六、其の屋を豊いにし、其の家を蔀う、其の戸を窺えば、闃たり其れ人なし、三歳覿ず、凶なり。
現代語訳
その屋を大きくし、その家を覆います。その戸をのぞくと、しんとして人がいません。三年会えません。凶です。
爻辞の読み解き
屋を豊いにするとは、自ら高く大きくすることです。家を蔀うとは、自分の家を覆って光を入れないことです。外は大きいのに中は空で、戸の内をのぞけば、しんとして人がいません。
上六は重陰で卦の極にあり、動きが極まって疲れとなり、明が極まって暗となり、豊が極まって衰えに至ります。盛りの極では宗社が傾き、宮室は空になります。紂王が瑶台璇室に深く隠れ、自ら楽しみ自ら蔽い、祭祀に務めず、ついに宗廟に三年人を見ないような象です。豊屋はよい屋を指しません。自分を蔽う屋です。
この爻は豊卦の終局の警告になっています。財産は大きいのに経営する人がおらず、組織は大きいのに本当の責任者がいません。名声は盛んでも内実に人がなく、制度は華やかでも実質がありません。豊盛が建物、看板、見せ場だけになると、「闃其無人」へ行き着きます。
実際の読み方
時運は、屋があって人がない大凶の象です。戦いでは営塁が空虚で、敗亡を招きます。経営は貨物だけが空しく残り、管理する人がいません。功名は身を保てず、名も得にくいところです。
婚姻は不利です。家宅は田園が富んでいても破落し、人煙が少なくなります。病は古い占い方では命限の重さを見ますが、現実には速やかに医療機関を受診します。行人は帰り集まる期が定まりません。
高島の占例
明治十五年、横浜洋銀取引所で西村ら三人に会った折、大蔵省の増税が重く、軽減願いが許されるかを問われました。占って得たのは豊が離に変じる上六です。取引所は表面では一日の出納が数十万金で、まさに豊屋にあたる。しかし内実には不足があり、減税の議にも本当に担える人がいない恐れがある。三年たっても許可は得にくい——高島はそう断じました。翌日、その店は果たして停業しています。
雷火豊:読みの覚え
雷火豊は、盛大で満ちている卦です。光と勢いがある時ほど、陰りの前に公正な処理をしておきます。
正午のうちに決める
豊の吉は大きさから来るのではなく、明から来ます。彖伝はすぐに、日が中すれば昃き、月が盈ちれば食すと付け加えます。天地にさえ満ち欠けがあるのですから、人事の盛りが永遠に続くはずもありません。 だから、明るいうちに決めるべきことを決めます。透明な帳簿、明確な分担、適時の判断。繁忙期、好決算、名声、権限が集まる時ほど、後任、休息、財務、判断の透明性を先に用意しておきます。
明を遮っているのは誰か
六二と九四には、どちらも蔀があり、日中に北斗が見えます。真昼のはずの場所が暗いのは、光が消えたからではありません。誰かが覆っているという合図です。九三では覆いがさらに深くなり、右腕まで折れます。上六では屋だけが大きく、戸をのぞいても人がいません。 疑いが出た時、力で押し切れば疑疾になります。六二が示すのは、誠を積んで遮りが開くのを待つ道です。九四が示すのは、外へ出て遇うべき人に遇う道です。どちらも、規模を誇るより、中身と担い手を数えるところから始まります。
昇る日と、位置を離れる旅
火地晋とあわせると、晋は日が昇るように進む卦、豊は日中のように盛りが極まる卦なので、上昇の時と盛りが極まった後を守る時を分けて読めます。火山旅とあわせれば、豊は光が集まって盛大になる状態、旅は本来の位置を離れる状態であり、盛りを安んじられなければ旅へ転じることが見えてきます。
雷火豊:読みの覚え札記を開く
雷火豊は、盛大で満ちている卦です。光と勢いがある時ほど、陰りの前に公正な処理をしておきます。
正午のうちに決める
豊の吉は大きさから来るのではなく、明から来ます。彖伝はすぐに、日が中すれば昃き、月が盈ちれば食すと付け加えます。天地にさえ満ち欠けがあるのですから、人事の盛りが永遠に続くはずもありません。 だから、明るいうちに決めるべきことを決めます。透明な帳簿、明確な分担、適時の判断。繁忙期、好決算、名声、権限が集まる時ほど、後任、休息、財務、判断の透明性を先に用意しておきます。
明を遮っているのは誰か
六二と九四には、どちらも蔀があり、日中に北斗が見えます。真昼のはずの場所が暗いのは、光が消えたからではありません。誰かが覆っているという合図です。九三では覆いがさらに深くなり、右腕まで折れます。上六では屋だけが大きく、戸をのぞいても人がいません。 疑いが出た時、力で押し切れば疑疾になります。六二が示すのは、誠を積んで遮りが開くのを待つ道です。九四が示すのは、外へ出て遇うべき人に遇う道です。どちらも、規模を誇るより、中身と担い手を数えるところから始まります。
昇る日と、位置を離れる旅
火地晋とあわせると、晋は日が昇るように進む卦、豊は日中のように盛りが極まる卦なので、上昇の時と盛りが極まった後を守る時を分けて読めます。火山旅とあわせれば、豊は光が集まって盛大になる状態、旅は本来の位置を離れる状態であり、盛りを安んじられなければ旅へ転じることが見えてきます。
この卦を読む前に
本卦、動爻、問いを照らす
卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。
関連記事
本卦の問い
勢いがある今、何から手をつけるべきですか。
先送りしている決定からです。豊は明と威がそろう時の卦なので、事実確認、責任の確定、裁断を明るいうちに済ませます。暗くなってから同じ案件に触れると、必ず重くなります。
数字は大きいのに、内側が空っぽに感じます。
上六の豊其屋、闃其無人がその形です。屋だけを大きくして、人も光も入れなければ、三年たっても誰にも会えません。規模より、担い手が疲れていないか、内容が薄くなっていないかを先に見ます。
勢いがある今、何から手をつけるべきですか。開く
先送りしている決定からです。豊は明と威がそろう時の卦なので、事実確認、責任の確定、裁断を明るいうちに済ませます。暗くなってから同じ案件に触れると、必ず重くなります。
数字は大きいのに、内側が空っぽに感じます。開く
上六の豊其屋、闃其無人がその形です。屋だけを大きくして、人も光も入れなければ、三年たっても誰にも会えません。規模より、担い手が疲れていないか、内容が薄くなっていないかを先に見ます。
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