高島易断

沢天夬|意味・卦辞爻辞解説

沢天夬䷪:一言で読む 夬は、もう決断を避けられない時です。五つの陽が下に集まり、一つの陰が上に残り、問題は高い所まで来ています。 現代語訳 夬は上が兌沢、下が乾天です。沢の気が天の上にのぼれば、やがて雨となって降ります。卦の中では五つの陽爻が下にあり、一つの陰爻だけが最上にあります。陽気は盛んで、陰邪は尽きようとしている。だから夬です。夬とは、決断する、切り開く、決して去るという意味です。

導入

一言で読む

夬は、もう決断を避けられない時です。五つの陽が下に集まり、一つの陰が上に残り、問題は高い所まで来ています。

現代語訳

夬は上が兌沢、下が乾天です。沢の気が天の上にのぼれば、やがて雨となって降ります。卦の中では五つの陽爻が下にあり、一つの陰爻だけが最上にあります。陽気は盛んで、陰邪は尽きようとしている。だから夬です。夬とは、決断する、切り開く、決して去るという意味です。

序卦伝は「益して已まざれば必ず決す。故に之を受くるに夬を以てす」と言います。物事が益して満ちきり、それを処理しなければ、必ずどこかで破れます。だから益の後に夬が来ます。増えた力、増えた資源、増えた勢いの中に、過剰や隠れた患いが残れば、決断して処理しなければなりません。

夬は剥と反対です。剥は五陰が一陽を剥ぐので、小人の勢いが根深い。夬は五陽が一陰を決するので、君子の気は公明です。しかし陽が盛んで陰が衰えていても、軽率でよいわけではありません。陰は少ないけれど、上位にいます。群陽を押さえ、反発を起こす力がまだあります。処理を誤れば、かえって禍を激しくします。

実際の読み方

夬を得たら、問題を処理すべき時です。もう放置はできません。

ただし方法は、怒りで突進することではありません。まず事実を公にし、号令を明らかにし、内部へ告げ、証拠と筋道を整え、それでも退かない時に強い処置へ進みます。

卦辞

一言で読む

決断は私怨で急襲せず、公に示し、内部へ告げ、武力を初手にせず進める時に利があります。

現代語訳

夬は、王の庭で明らかにします。真心をもって号令しますが、危険があります。告げる時は自分の邑から始めます。すぐ兵事に就くのは利ではありません。進む所があるのは利です。つまり、決断は公明に示し、まず内部へ告げ、武力を初手にせず進める、という字面です。

「王庭に揚ぐ」とは、不正な人や事の罪状を明らかに述べることです。陰で報復せず、私怨で裁かず、公の場所で筋を立てます。「孚号」とは、号令に信があり、衆が同じ声で応じることです。名分も証拠もなく動いてはいけません。「有厲」は、決断そのものが危険を帯びるという警告です。虎の尾を踏むように、少し誤ればしっぺ返しを受けます。

「告自邑」は、まず内部へ通知し、戒め、邪を去って正に帰る機会を与えることです。一度告げても退かなければ、その後に強い処理を考えます。「不利即戎」は、永遠に戦えないという意味ではありません。初手から武力へ向かうのがよくないという意味です。夬の正道は、文徳が前にあり、武力は後にあります。

実際の読み方

会社や組織を問うなら、まず事実と規則を公開し、それから責任を処理します。関係を問うなら、陰で仕返しせず、先に境界を明らかにします。

法的な争いなら、先に証拠を取り、告知し、手続きを踏みます。小人や弊害を問うなら、姑息にしてはいけませんが、焦って断ってもいけません。

彖伝

一言で読む

強く断つ時ほど、公明さと和を保ち、根拠を示して邪を去ることが必要です。

現代語訳

夬とは決することです。剛が柔を決することです。健やかで悦び、決して和します。つまり、強く断っても粗暴にならず、筋を立てて和を保つ、という字面です。五陽が一陰を決するので、一見とても強硬です。しかし下卦は乾の健、上卦は兌の悦です。だから粗暴に争うのではありません。健やかでありながら悦びを失わず、決断しながら和を失わない。断つ力があり、しかも厚道と公正を保つのが夬です。

「柔、五剛に乗る」とは、一陰が五陽の上にいることです。問題は孤立しているようでも、高位にあります。だから慎重でなければなりません。罪を明らかにしなければ、衆は信服しません。告げずに攻めれば、忠厚の道を失います。夬は、何のために決するのか、何を根拠に決するのか、どこまで決するのかを、衆に分かるようにする必要があります。

高島は繰り返し、君子が小人を去る時、小人が君子を害するように残忍苛刻であってはならないと言います。まず文徳をもって告げ、やむを得ない時に武力を用いる。孤陰を軽んじ、自分の人数と勢いを頼んで急に動けば、かえって党禍を引き起こします。

国家も同じで、家事や交友も同じです。家の中に一つ奸邪を残せば、後に蔓延します。友人の中で偏邪な者と交われば、やがて巻き込まれます。しかし処理は公明でなければならず、一時の嫌悪だけで決してはいけません。悪を去るのは草を除くようなもので、根を断つ必要があります。夬を用いるのは水を治めるようなもので、決壊の後の洪水も防がなければなりません。

実際の読み方

夬を読む順序は、問題が本当に決断を要する所まで来たか、証拠を公開できるか、内部へ告げたか、衆が同心か、手段が中正か、後患を清められるかです。

一つでも欠けるなら、急ぐべきではありません。

象伝

一言で読む

上に満ちた禄や徳は抱え込まず、下へ施して初めて決壊を防げます。

現代語訳

沢が天に上るのが夬です。君子はこれを見て、禄を施して下に及ぼします。徳の上に居座って独り占めすることを忌みます。つまり、上に満ちた恵みは下へ施し、徳を自分だけのものにしない、という字面です。沢の気が天へ上ると、最後には雨となって万物へ降ります。君子はこの象を取り、上にある富貴、俸禄、徳沢を下の人々へ施します。

「施禄及下」は、天が雨を降らせ、万物が潤って生きるようなものです。君子は賢者とともに天職を治め、ともに天禄を食むのであって、その徳沢を私物のように抱え込むべきではありません。もし徳に居て自分だけのものとし、惜しんで施さなければ、夬の意味を失います。夬とは、上に溜まった沢を決して下へ流し、下を益することでもあるのです。

ここは益卦とつながります。益は上を損して下を益しました。夬は、上に徳や禄がある時、それを溜めたままにしてはいけないと教えます。よいものが上にだけ集まり、下へ行かなければ、必ず満ちてあふれます。下へ施すことができて、初めて正しい決となります。

実際の読み方

富や地位を問うなら、得た後に分かち、下へ施し、公のために用います。指導者を問うなら、功を誇り、徳を私することを最も戒めます。

組織では、資源を上層だけに積まないことです。個人の修養でも、能力があるなら下にいる人を助ける。満ちたまま抱えれば、満ちは損を招きます。

占断

一言で読む

夬では決断してよいが、焦ってはいけません。財は散らし、事は公にし、証拠は明らかにし、行動は中道に置きます。

現代語訳

高島の総占では、時運は今強く盛んです。ただし財は散らすのがよく、集めて抱え込めば禍があります。戦いでは、賞を明らかにし、罰を公にし、自分を誇ったり功を奪ったりしてはいけません。また軍糧をむやみに減らしてはいけません。経営では、利益が厚くても、自分だけでなく人も利するようにし、財の分配は公平にします。吝んで施さなければ、衆の嫉みを招きます。

功名では、沢が天に上るので高位に居る象があります。しかし満ちれば損を招くので、自ら戒める必要があります。家宅は、沢が天に上る象から、水が溢れることを防ぎます。婚姻は、夬に決絶の意味があり、反対卦の姤も女を取るに用いる勿れと言うので、この縁は成りにくい。訴訟は、夬が決であるため、一度断ずれば訟を終えられます。妊産は多く男を主に見ます。

総じて、断つべき時には断ちます。しかし断つなら公開して断つ。分けるべきなら公正に分ける。去るべきなら去るが、反撃を防ぐ。夬が最も嫌うのは、正義を私怨にし、決断を衝動にすることです。

実際の読み方

重大な処理を問う時は、まず内部へ告げ、証拠を整え、相手に改めるか退く機会を与えます。それでも退かなければ、そこで果断に進めます。

この順序なら、決は正しく、往く所に利があります。怒りだけで動けば、後に必ず傷が残ります。

初爻

一言で読む

力や位が足りないうちに先走れば、正義感があっても勝てず自分の咎になります。

現代語訳

足の指が前へ進むことに強い。進んでも勝てず、咎となります。つまり、下から急いで突き進んでも力が足りず、かえって過ちになる、という字面です。初爻は最下にあり、夬の始めです。足の指が先に動き、先に強くなるような象です。自分が率先して決しようとしますが、最下の陽で最上の陰を決しようとするので、上下が遠く、力も位も足りません。だから往っても勝てません。

この爻は、何より躁進を戒めます。正義感は強く、勇気もあります。しかし時位が低く、力が足りず、準備も整っていない。そこで無理に突き進むと、事は成らず、辱めや禍を招きます。夬は早ければよい卦ではありません。力、手続き、時機がそろうまで待つ必要があります。

占例では、豊島某が近い時期の企ての成否を問うて、夬が大過に変じる初九を得ました。高島は、企ては高い地位に関わるもので容易に届かず、同志はあるが、相談者だけが身を奮って進もうとしている。力を量らないので、謀は成りにくく、咎を招く。ゆっくり図るべきだと断じました。後にその人は聞かず、すぐ動いて、果たして辱めを受けました。

実際の読み方

時運は、気負いが強すぎ、妄動すれば過失があります。戦いでは、位が低く力も小さいのに勇を頼んで直進すれば敗れます。経営では、時位を見ずに貨物を動かすと、財を傷め、身も損ねます。

功名は躁進して失敗しやすい。婚姻は門戸が合わず、強く合わせれば過ちがあります。行人はすぐ帰るのがよく、訴訟はやめるのがよい時です。

二爻

一言で読む

決断の時は、昼夜に備えと号令を明らかにすれば、夜の兵事にも慌てません。

現代語訳

恐れて警戒し、号令します。夜遅くに兵事があっても憂えることはありません。つまり、危険を見て先に備え、号令を明らかにすれば、急な騒ぎにも慌てない、という字面です。九二は乾の中におり、乾の夕惕の徳があります。惕号とは、内では警醒し、外では号令を明らかにすることです。暮夜は陰の時で、盗賊や兵事は人の不備に乗じて起こりやすい。だから夜こそ警戒します。これができれば、兵事があっても憂えません。

九二は初九より成熟しています。初九は足が先に突進しましたが、九二は警戒が先に立ちます。危険がないのではありません。危険のある場所を知り、先に号令し、保険をかけ、防備を立てるから、患いを免れるのです。

占例では、ある豪商の家の幹事が、外へ商旅に出る間、店の事を友人に任せました。ところが彼らは共謀して不正をし、余金を勝手に支出し、貨価を高くし、虚帳を作りました。これを暴くべきか隠すべきかを問うて、夬が革に変じる九二を得ました。高島は、夬は不正な者を決し去る卦であり、偽りや不正はみな陰謀で、暮夜の象に合うと読みました。ただし厳しく詰め過ぎると、窮した者が反撃し、小さくは口舌、大きくは武力にも至る。しかし相談者は理が直く言葉も正しいので、相手が武を用いても憂えることはない。慎重に、健やかで悦び、決して和するように処理すべきだと断じ、その通り穏やかに結びました。

実際の読み方

時運は中正を得ており、慎めば憂いはありません。戦いでは夜襲を防ぎ、常に警備します。経営では、貨物の運送に盗難、火災、水害を防ぎ、保険をかけるのがよい。

家宅は夜の火災を防ぎます。婚姻には昏礼の象があり吉。病は昼軽く夜重いことがあり、陰虚火盛として慎重に治します。

三爻

一言で読む

怒りを顔に出せば凶ですが、公のために独り決するなら怨まれても大過はありません。

現代語訳

頬のあたりが強くなります。凶があります。君子は決してまた決します。独り行けば雨に遇い、濡れたようになって怒られることがありますが、咎はありません。つまり、感情を顔に出せば凶だが、公のために独り進むなら怨まれても大過はない、という字面です。頄は頬骨、顔のあたりです。怒気が先に顔へ出るなら、まだ機事が密でないのに感情だけが外へ漏れている。だから凶があります。

しかし後半は、君子夬夬と言います。公のために邪を去らねばならず、やむを得ず独り前へ行くなら、途中で雨に遭い、衣が濡れ、小人たちに怨まれても、志が中正であれば大きな過失はありません。ここでは、感情が露わになる凶と、独り公事を済ませる無咎を分けて見ます。

明治二十二年、高島が印旛沼の開鑿を占い、夬が兌に変じる九三を得ました。この計画は水路を通し、利根川の泥沙を東京湾へ導き、長い後には沃壌を成そうとするものでした。しかし工事には珪藻土、堤防、水力の洗掘、村落の水害など複雑な問題がありました。高島は夬を決水の象と見ました。水勢が高い所で壮んになれば、氾濫決壊の凶がある。開鑿者は君子であり、夬夬とは一度で終わらない大工事を示す。独り行き雨に遇うとは、同志は多くても創始者がまず責を負うこと。濡れて慍らるるとは、近い村が少し水に浸かり怨みを持つこと。けれども成れば数十万の民に利が及び、功は千百年に垂れるので、終に大過はないと読みました。

実際の読み方

時運は正を得ていますが、陽気が盛り過ぎ、独行すれば疑われやすい。戦いでは孤軍で深く入り、水に阻まれることを防ぎます。経営では、独り遠く行く客が雨水で遅れることがあります。

功名は孤高で人に妬まれやすい。家宅は門構えが立派でも上から漏水するので修理します。婚姻は一時よい偶を得にくい。病は顔の腫れや湿熱が上に衝く象です。

四爻

一言で読む

落ち着かず迷う時は、独断で衝かず正道に従えば悔いは消えます。

現代語訳

尻に皮膚がありません。その行き方はためらいがちです。羊に牽かれれば悔いはなくなります。言葉を聞いても信じません。つまり、座っても進んでも不安定だが、正しい導きに従えば悔いは消える、という字面です。臀に膚なしとは、座って安定できないことです。行くこと次且とは、歩いてもためらうことです。四は陰位にあり、剛が陰に覆われています。進むか退くかの間にいて、行こうとして退き、心が安まりません。

兌は羊です。羊にはよく決する象があります。羊を牽くとは、自分が前で乱暴に衝くことではありません。群羊を導き、しかも自分は中正の九五に従って進むことです。朱子は、羊が前にいると進まないが、人が後ろから牽けば行くと言います。九四が九五に従えば悔いは亡びます。しかしこの爻は、号令や忠告を聞いても疑って信じにくいところがあります。

占例では、西村貞陽、井関盛艮が横浜の洋銀仲買、雨宮啓次郎を伴って占いました。雨宮は洋銀相場で十五万円の巨金を得て、後の事業を考えていました。高島は、この金で山梨から東京へ馬車鉄道を開くよう勧めました。民に利があり、本人にも安定した収益があるからです。「臀に膚なし」は、雨宮が若い頃に身を削る苦を受け、今ようやく肉を得るほどの大金を得たこと。「其の行くこと次且」は、金を得てから計画が定まらないこと。「牽羊悔亡」は、この羊を牽いて正業に用いれば悔いが消えること。「聞言不信」は、彼が疑って従わないことを示す。後に雨宮は同業者の勧めでさらに相場を張り、大損して半ばを失いました。

実際の読み方

時運は道が当たらず、事が転倒して成りにくい。経営は心に定見がなく、機会を失って利を得にくい。功名は進まなければ成りません。戦いでは負傷し、退こうとし、号令も行われにくいので勝ちにくい。

病は皮膚のただれや耳病を防ぎます。婚姻は初めためらいますが、久しければ礼を成すことがあります。行人はしばらく帰りません。

五爻

一言で読む

蔓延する小さな邪は何度も断つ必要がありますが、中道を外さなければ咎はありません。

現代語訳

莧陸を決してまた決します。中道を行けば咎はありません。つまり、柔らかく広がる害は重ねて断ち、しかも中道を守れば咎がない、という字面です。莧陸の解釈は昔からいろいろありますが、高島は柔らかく生えやすい草のように見、また兌の羊の象とも結びます。不正なものは柔らかく小さく見えても、放っておくとすぐ蔓延します。一度で根を清めなければ、後にまた生える。だから夬してまた夬するのです。

五は卦主で、尊位にいます。最も上六の一陰に近く、また最も迷わされやすい位置でもあります。だから群陽とともに、小人を遠ざけ、君子を近づけ、王庭を清めなければなりません。しかし「中行」とあるように、過激になってはいけません。除去の名を借りて私怨を行ってはいけません。中道を行ってこそ、咎はありません。

占例では、ある華族家の僕が老主人の気運を問うて、夬が大壮に変じる九五を得ました。高島は、老主人が維新以来別邸に隠居し、不正な人に親しみ、家業が日に衰えていると聞きました。夬の五は卦主に当たり、主人に小人を遠ざけ、君子を近づけるよう勧めるべきだと読みました。蔓草を刈るように旧癖を根から除く。中行を得れば家道は正しくなり、気運も盛んになると断じました。

実際の読み方

時運は中正を得て、万事に大過はありません。戦いでは、五を主将とし、軍を率いて大道からそろって進みます。経営では時令が過ぎようとしており、貨物は決断して早く売るのがよい。遅れれば悔いがあります。

功名は名が現れますが、小人を遠ざけ君子に近づく必要があります。家宅は蔓草が茂るなら速やかに刈ります。婚姻は陰陽相合う吉兆があります。病は陽気が盛り過ぎるので、中を得て調えれば安らぎます。

上爻

一言で読む

勝った後に号令と善後を怠れば、消えたような患いが戻り、最後には凶になります。

現代語訳

号ぶことがありません。最後には凶があります。つまり、決断の後に号令や善後をやめてしまえば、最後には凶がある、という字面です。号とは、前に出た孚号、惕号です。上爻では夬が尽き、不正の勢いも退いたように見えます。だからもう号令しなくてもよいように見える。しかし無号なら、不正な者の罪名が明らかにならず、奸計がまた起こることがあります。

夬はここで終わり、次に姤が始まります。姤では一陰がまた下から生じます。だから高島は、夬の上の一陰が尽きようとしても、小人が再び盛んになることを防ぐべきだと言います。除悪の後に善後をしなければ、余孽は形を変えて戻ります。終に凶があるのは、勝利がなかったからではなく、勝った後に備えを忘れるからです。

占例では、北沢正誠が佐久間象山の事を語りました。象山は洋学と易に通じ、吉田松陰の海外渡航の志を称えたため連座して幽閉され、免じられた後、一橋公に厚く召し用いられました。北沢は行く前に占うよう勧め、夬が乾に変じる上六を得ました。象山は卦に凶象があると知りながら、使命に応じて行き、ただ慎むと言いました。京都に至って中川宮の前で欧州の形勢と騎衛の術を説き、また馬に乗って示し、自らその術を誇りました。その後、木屋町に帰る途中で浪士に襲われ、馬上で死にました。高島は、象山は易を知りながら易を守れず、世に用いられたい急心に誤られたと嘆いています。

実際の読み方

時運は正運が退いた後で、いっそう警戒が必要です。戦いでは軍事が終わりかけても余孽が残るので、号令を重ね、善後を厳しくします。経営では貨物が売り尽くされようとしており、後の約束を確認します。商いの名目がなければ凶です。

功名は声名が絶える象があります。家宅は書声や笑語がまったくなく寂しいなら家運が凶です。病は陽が尽き陰が息み、叫ぶ声も出ない危うさがあります。婚姻は媒人が言葉を失い、成りません。

沢天夬:読みの覚え

沢天夬は、避けられない決断を公に行う卦です。悪を去る勇気は必要ですが、怒りや私怨で切れば夬の道を外れます。

切る前に、公にする

夬では、事実を公にし、内部へ告げ、証拠と手順を整えてから断ちます。強い処置ほど、信と中道がなければしっぺ返しを招きます。

これは嫌いな相手を消す卦ではありません。除くべき危険を、私怨ではなく公の判断として扱えるかが問われます。

立てておきたい問い

- これは本当に除くべき危険ですか、ただ嫌いな相手ですか。 - 決断の前に、公に説明できる証拠と手順がありますか。 - 勝った後の善後と分配を考えていますか。

私的な清算にしない

解雇、告発、別離、制度整理、利益配分では、私的な清算にしないことです。財や権限が上に溜まっているなら、下へ施すことも夬の一部です。

あわせて読む

火雷噬嗑は障害を裁く卦で、沢天夬は決断して除く卦です。沢火革と読むと、切った後にどんな改革へ移るかが見えてきます。

本卦の問い

これは本当に除くべき危険ですか、ただ嫌いな相手ですか。

嫌悪だけなら夬ではありません。公に説明できる危険、害、違反があるかを見ます。決断には証拠と中道が要ります。

決断の前に、公に説明できる証拠と手順がありますか。

手順が弱い決断は、たとえ内容が正しくても後で揺れます。記録、告知、基準、善後を整えてから切ります。

勝った後の善後と分配を考えていますか。

夬は切って終わりではありません。除いた後に何を整え、誰へ権限や資源を流すかまで考えます。