高島易断
水地比|意味・卦辞爻辞解説
水地比䷇:一言で読む 水地比は、誰に親しみ、誰に帰り、誰と同じ側に立つかを問う卦です。親近は吉になり得ますが、中心が正しく、意図が誠で、時機が合うことが条件です。 現代語訳 比は上が坎水、下が坤地です。水は地の上を流れ、地は水を載せ、水は地を潤します。互いに近づき、助け合い、まとまる象です。高島は「比」を二人が並ぶ姿として説きます。並べば親しみ、親しめば相輔け、相輔ければ楽しみが生まれます。
導入
一言で読む
水地比は、誰に親しみ、誰に帰り、誰と同じ側に立つかを問う卦です。親近は吉になり得ますが、中心が正しく、意図が誠で、時機が合うことが条件です。
現代語訳
比は上が坎水、下が坤地です。水は地の上を流れ、地は水を載せ、水は地を潤します。互いに近づき、助け合い、まとまる象です。高島は「比」を二人が並ぶ姿として説きます。並べば親しみ、親しめば相輔け、相輔ければ楽しみが生まれます。
しかし、比はただ仲良くする卦ではありません。全卦では五つの陰が九五の一陽を中心にして親しみます。つまり、関係には信頼できる中心が必要です。中心が正しければ、衆が来て親しむのは吉です。中心が不正なら、親しみは結党、攀附、依存、悪い圏への入り込みになります。関係そのものに善悪があるのではなく、誰に、いつ、何のために比するかが吉凶を分けます。
実際の読み方
協力、援助を求めること、同盟、入社、帰属、婚姻、外交、コミュニティづくりでよく出ます。まず相手や集団が正しい中心を持つかを見ます。次に、自分が誠意で近づくのか、眼前の利益で貼りつくのかを見ます。
比を得たら四つ問います。中心は正しいか。自分の意図は真実か。来る時機は遅すぎないか。この関係は長く守れるか。善人に比すれば吉、匪人に比すれば害です。早く誠で来るのは比、事が定まってから利だけを見て来るのは後夫です。
卦辞
一言で読む
人と親しむことは吉ですが、根本、長久、正しさを確かめずに近づくと凶にもなります。
現代語訳
比は吉です。根本をたずねて占い、元から善く、長く続き、正しければ咎はありません。不安な者は今まさに来ますが、遅れて来る者は凶です。高島は「原筮」を、ただ機械的にもう一度占うこととは取りません。関係の始まりへ遡り、なぜ親しむのか、どんな中心に帰るのか、その結びが元善を持つか、長く続くか、正を守れるかを審べることと読みます。
「不寧方に来る」は、不安な人々が正しい中心に来て安んじることです。九五が剛中で正しいから、迷う者、不安な者は来て親しみます。しかし「後夫は凶」です。来るべき時に来ず、様子を見て、形勢が定まってから利を求めて来る者は、比の道を失っています。親近も同盟も、時機と誠意が命です。
実際の読み方
協力なら、相手の起点、信用、期限、原則を調べます。恋愛なら、一時の親密さではなく、長く正しく続けられるかを見ます。チームなら、中心が信頼できなければ、人が集まるほど乱れます。仕官や転職なら、成功が見えた後だけ近づくような態度は避けます。
「この人は強いか」より「この中心に近づけば自分はより正しく、安定し、長く働けるか」を問います。比の三門は、元、永、貞です。
彖伝
一言で読む
正しい中心を助ける関係なら人は安らぎますが、中心が歪めば親しみは派閥になります。
現代語訳
比は吉であり、比とは輔けることです。下の者が順に従います。根本をたずね、元から善く、長く続き、正しければ咎がないのは、剛中の中心があるからです。不安な者が来るのは上下が応じ合うからで、遅れて来る者が凶なのは、その道が尽きているからです。
九五の一陽が尊位にあり、中正で、五陰がこれに親しみます。中心が剛中であるから、不安な者が来て安らぎます。高島は孟子の「多助之至、天下順之」を引いて、中心に徳と信があれば、人は自然に助けに来ると見ます。
しかし、中心が歪めば比は壊れます。親しみは派閥、私党、依存、利用し合いになります。表面は仲良くても、内では利益を奪い合う。だから比卦では、人数の多さではなく、来る人の理由と中心の徳を見る必要があります。
実際の読み方
組織では、九五が誰かを探します。責任者、制度、使命、家の中心、または自分の心の原則です。その中心が人を落ち着かせ、責任を明らかにし、善い方向へ導くなら近づいてよいです。逆に、恐怖、利益、情実だけで人を縛る中心なら近づくほど危険です。
近づいた後、自分の心が明らかになり、責任が明確になり、事が正しくなるなら比吉です。近づいて貪り、隠し事が増え、判断が濁るなら比を誤っています。
象伝
一言で読む
本当の親しみは、近づくだけでなく、各人の居場所と責任を整えて長く通わせることです。
現代語訳
地の上に水があるのが比です。先王はこれを見て、万国を建て、諸侯に親しみました。水は地上に流れ、散れば万流となり、集まれば一つの水系になります。高島はここに、政治と共同体の形を見ます。天下は一人が統べることはできても、一人で直接すべてを治めることはできません。だから功臣を藩屏として置き、諸侯を親しみ、朝聘往来、巡狩述職、租税の軽減、法の平等、恩沢の流通によって、関係を親しくしつつ秩序を作ります。
比の親しみは、人を一人の私物にすることではありません。各地、各人、各部門に居場所と責任を与え、流通させることです。
実際の読み方
チームでは、共通中心を持ちつつ、分担と授権を置きます。協力では、親密さだけでなく契約、連絡、見直し、退出条件を定めます。家庭では、親しいからこそ境界と役割が要ります。外交では、親善と規則を両立させます。
良い比は、水が地を潤すように、各方を安んじます。悪い比は、人を一塊に縛り、自由な出口をなくし、後で嫌怨を生みます。
占断
一言で読む
比を得た時は、同盟、帰附、親近、援助、仲間、婚姻、流通を読みます。吉は善を択んで比することにあり、凶は遅来、無首、比すべきでない人へ近づくことにあります。
現代語訳
高島の占断では、比は戦争、商売、功名、家宅、婚姻、疾病、妊産に用いられます。戦争では、水が下へ流れるように勢いがあり、平定後は封建立藩のように秩序化する必要があります。商売では、地上の水のように流通し、仲間と信用が利になります。功名では、建国封侯のような栄顕の象があります。家宅は低く水に近く、また貴人に近いこともあります。婚姻は百年好合で貴い象があり、疾病では心腹の水腫や近くの良医を求める読みがあります。妊産では女を主とし、貴い象を取ることがあります。
六爻は比の階層を細かく示します。初は孚が缶に盈つ。二は内より比す。三は匪人に比す。四は外に賢上へ比す。五は顕比して囲まず。上は首なく凶です。
実際の読み方
事業では、信頼できる中心と長期のパートナーを探します。恋愛では、誠実、正当、長久であれば進みます。商売では、流通、信用、紹介、協力に利があります。助けを求めるなら、近くの信頼できる専門家を頼ります。
仕官やキャリアなら、正当な旧誼と能力があれば親近が昇進をもたらしますが、久しく疎遠な人へ臨時に頼るのは難しいです。外交や上級との関係では、大体を見て小事で長期親睦を破らず、同時に規則と境界を定めます。比の要は、まず自分が信頼できる人になることです。
初爻
一言で読む
親しみの始まりは、飾りよりも内に満ちた誠があれば、思いがけない吉を呼びます。
現代語訳
誠があってこれに親しめば、咎はありません。誠が素朴な缶に満ちるほどであれば、最後には思いがけない吉も来ます。缶は華美な器ではなく、素朴な土器です。高島はここに、比の初めは地位や飾りより、中に満ちた本当の信が大切だと見ます。器は素朴でも、酒が満ちれば香りは外に達します。人も同じで、内に誠があれば、遠近の人が自然に聞きつけて来ます。
この爻では、親しみの起点が最も大切です。話術や包装で近づくのではなく、実情、実力、実心をもって近づきます。
実際の読み方
協力では、真実の帳簿、能力、条件、責任を示します。恋愛では、飾り立てるより誠実さを保ちます。商売では、信用が満ちれば遠近の客が来ます。近隣や家宅では、近い者が信じ、遠い者も慕う象です。
留英帰国者の占例で、高島がその人の温和、外交能力、誠信を見て望外の吉を読んだように、初六は「よい関係に入る前に、自分を信頼される人にする」爻です。
二爻
一言で読む
外へ売り込むより、内側から正しい中心と応じ合う関係が長く吉になります。
現代語訳
これに親しむのは内側からです。正しければ吉です。六二は中正で、九五と正応します。これは外から見える熱気や攀附ではなく、価値、信任、内部合意から生まれる比です。高島は、道を抱く人が外へ急いで自分を売らず、求められて正しく助ける姿として読みます。
この親しみは安定しています。なぜなら、無理に引かれたものでも、利益で買われたものでもないからです。内で相応し、正を守ります。
実際の読み方
チームでは、まず中核メンバーの信頼を整えます。恋愛や婚姻では、心意が内から相応するなら守れます。事業では、内部の仲間や上司との信頼を土台にして外へ広げます。名声では、外からの引き立てより内在的な実力と正当な関係を重んじます。
県知事が省へ栄転する占例で、高島が六二を、素より信任され大臣を補佐する象と読んだように、この爻は「内側から任される」吉を示します。
三爻
一言で読む
相手を誤って親しむなら、孤立よりも危険で、自分の判断と未来を傷つけます。
現代語訳
親しむ相手が、正しい人ではありません。言葉は短いですが、警告は重いです。六三は不中不正で、周りも柔弱です。上には首なき上六が応じるだけで、正しい中心へ比していません。高島はこれを、悪友、佞人、悪い主人、腐ったパートナー、悪い圏として読みます。
比卦は親しみの卦ですが、ここでは親しみそのものが害になります。関係は近いほど影響が深い。相手が匪人なら、親しむほど自分の判断、名誉、財、将来が傷つきます。
実際の読み方
協力では、プロジェクトより先に人品を調べます。相手の信用、動機、周囲の人、過去の扱いを見ます。商売では、目先の利だけに走る人や小人と長く貼りつかないこと。功名では、関係が不正なら名声を損ないます。婚姻では、誤った配偶は一生の害になります。
共興大商業の占で、高島が友人を「非人」と断じ、後に重罪に関わった例のように、六三は非常に実務的です。共同事業の前に人を審ぶことは、案件を審ぶことより重要です。
四爻
一言で読む
内輪にこもらず、外にある正しい中心へ誠実に従えば吉になります。
現代語訳
外にあるものへ親しみます。正しければ吉です。六四は本来初六に応じる位置もありますが、ここでは外の九五へ比します。高島はこれを、背内向外の投機ではなく、外にある賢明な上位者へ親しみ従うことと読みます。九五は剛陽中正で尊位にあり、六四が守正して近づくなら吉です。
ただし、外比は誤解されやすいです。単に嫌貧愛富で旧を捨て新に走るなら吉ではありません。外の中心が本当により正しく、より大きく事を成せる時、そこへ比することが賢明なのです。
実際の読み方
事業では、外部プラットフォーム、上級機関、導師、貴人、制度、海外市場へ正しく接続します。商売では、外地、海外、流通の拡張に利があります。家庭では、内外の親比が調えば和します。婚姻では、外地の縁、正式な紹介が成ることがあります。
宮内大臣の占で、高島が六四を九五君側へ忠正に比する象と読んだように、六四は「中心のそばで補佐する」位置です。権力へ近づくことが吉になるのは、私欲ではなく忠正による時です。
五爻
一言で読む
公正な中心は人を囲い込まず、来る者を受け去る者を追わないので信頼されます。
現代語訳
親しみを明らかにします。王は三方から狩りをして、前に逃げる禽を失います。邑の人々は戒められなくても吉です。九五は比卦の中心です。顕比とは、私的な結党ではなく、公開で明らかな親比です。王の狩りで三面を囲み一面を開けるのは、禽に逃げる道を残し、尽く傷つけない礼です。前に逃げる禽を追わない。来る者は受け、去る者は強制しない。高島はこれを、王者の量として読みます。
人を囲い込み、離脱を恐れ、強制で保つ中心は、すでに信を失っています。九五の中心は中道で人を安んじるので、邑人も驚きません。
実際の読み方
リーダーは、規則を公開し、公平さを見える形にします。協力では、相手に選択と出口を残します。競争では、逃げる小利を追いすぎません。外交では、大局の親睦を保ちながら、必要な規則を立てます。病では、症状が顕れ、邪気が退く方向なら過度に驚かず治療を続けます。
米国猟船捕獲事件の占で、高島が国家間の大体を傷つけず、規則制定へ向かうべきと読んだように、顕比は軟弱ではありません。公開、礼、余地によって関係を保つ強さです。
上爻
一言で読む
中心を失った時の親近や遅れて貼りつく関係は、帰るところがなく凶へ向かいます。
現代語訳
親しもうとしても首がありません。凶です。比は九五を中心にすでに成っています。上六はその上にいて従わず、正しい陽の首を持ちません。高島は無首を、君なし、主将なし、店主なし、家主なし、主婚者なし、または代表を失うこととして読みます。卦辞の「後夫凶」がここに落ちます。来るべき時に来ず、比の道が成った後で貼りつこうとしても、位置がありません。
関係は中心を必要とします。行動にも主位が必要です。婚姻には主婚者、商事には店主、外交には代表が必要です。首がなければ、衆は帰るところを失います。
実際の読み方
協力では、機会を逃した後に無理に貼りつきません。チームでは、責任者や共同原則がなければ、事は終わりを持ちません。商売では、主人や責任者に近づけないなら成りにくいです。婚姻では、来歴不明、主婚者不明なら慎みます。家宅では、家主の失いに注意します。
旧誼を頼って上京した人の占で、高島が疎遠久しき関係では依頼が難しいと読んだように、上六は「関係は必要な時に誠で養うもの」と教えます。最後だけ来ても、首がありません。
水地比:読みの覚え
水地比は、誰と親しみ、どの中心に帰るかを問う卦です。近づくこと自体より、その中心の正しさと自分の誠を見ます。
親しさにも中心がいる
比は、ただ仲良くする卦ではありません。帰る中心を選ぶ卦です。
遅れて近づく、違う相手に比する、誠のない親近は、かえって孤立を深めます。誰と結ぶかだけでなく、どの時機に、どんな心で近づくかを見ます。
立てておきたい問い
- 私は本当に信頼できる中心へ近づいていますか。 - 親しさが、依存や派閥になっていませんか。 - 近づく時機を逃していないか、また急ぎすぎていないか。
損得だけで結ばない
提携、婚姻、転職、コミュニティ参加では、相手の根本を見ます。損得だけで近づくと、比の親しさは薄くなります。内側の誠が満ちているかを確かめる時、結びつきは力になります。
あわせて読む
地水師が人を率いる卦なら、水地比は人が帰り親しむ卦です。風沢中孚と読むと、親しさの根にある信が本物かどうかを確かめられます。
本卦の問い
私は本当に信頼できる中心へ近づいていますか。
その中心が人を利用するだけでなく、人を保ち育てるかを見ます。近づくほど自分の判断が薄くなる相手なら、比する相手ではないかもしれません。
親しさが、依存や派閥になっていませんか。
親しさが広がりを生むなら吉です。閉じた仲間意識、依存、排他性に変わるなら、比の結びつきが濁り始めています。
近づく時機を逃していないか、また急ぎすぎていないか。
比は時機も見ます。早すぎれば軽くなり、遅すぎれば中心に入れません。誠を持って、遅れず、媚びずに近づくことです。
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