六十四卦 意味・読み方
坎為水|意味・卦辞爻辞解説(かんいすい)
整理説明を見る
本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。
引
坎為水は重なる危険を通る卦です。頼りになるのは心の信と、平日に練った手順です。
卦象と卦名
坎は上下とも坎なので、経文では「習坎」と言います。水は穴に出会えばそこへ入り、満ちればまた前へ流れ出します。険しい所を通っても、下へ流れ行く本性を失いません。この卦が語るのは凶険そのものというより、連続する危険のなかで人がどう心を守り、方法を練り、一歩ずつ通っていくかという話です。
卦の中心的な意味
坎は大過の後に来ます。序卦伝は、物事はいつまでも過重、過大ではいられないので次に坎が来る、と説きます。大過は梁が重さに耐えすぎる象でした。坎は、坑に落ちて険境が連なる象です。坎の字そのものにも、不足や陥下の意味があります。卦体では一陽が二陰の中に蔵れ、乾天の陽が坤地の中に隠れ、湿を化して水を生じるようなので、坎は水です。
「習」には二つの意味があります。一つは重なることです。上下とも坎なので、険の上にまた険が重なります。もう一つは練習、学んで時に習うという意味の習です。危険は、現場での度胸だけでは越えられません。水性、地形、規則、手順、救助の仕方を平日に習熟していてこそ、救おうとしてさらに沈む事態を避けられます。
向いている問い
坎を得たら、まず危険が本当にあることを認めます。一か八かで賭けるのも、怖がって動けなくなるのも、どちらも坎の答えではありません。どこが険なのか、穴はどれほど深いのか、援けはあるのか、自分が道を失っていないか。そこを確かめます。
坎の道は、危険をすべて避けて回る道ではありません。心に信を置き、事実を見て、習熟した手順に沿って険を通り抜ける道です。
卦辞
険が重なっても中心に信があれば心は通り、その心で行けば尊ぶべき成果が残ります。
原文
習坎:有孚、維心亨。行有尚。
書き下し文
習坎は、孚有り、維れ心亨る。行けば尚ばるること有り。
現代語訳
習坎は、信があります。これによって心は通ります。行けば尊ぶべきものがあります。
卦辞の読み解き
重なる危険の中で、心に真実の信があれば、まず内心が通じます。その心で行動する時、行いは尊ぶべきものになります。
なぜ険の中で先に有孚を言うのでしょうか。坎の中には一陽が中央にあり、誠信、真実、定力の象を示します。外の二陰は険であり、暗さであり、圧力です。それでも中の一点の陽は失われていません。人が危険に入る時、いちばん恐ろしいのは、心が先に乱れ、信が先に破れ、言葉が先に偽り始めることです。中心さえ虚でなければ、険はあっても道はまだあります。
維心亨の一句が重く響きます。外の環境はすぐには通じないかもしれません。川はまだ深く、穴はまだあり、敵は近く、病は難しい。それでも心が通じれば判断は塞がらず、判断が塞がらなければ行動も乱れません。行有尚が尊ぶのは、行動なら何でもよいという話ではありません。誠実で中定した心のまま険を行く、その歩みです。だから功として尚ぶべきものがあります。
実際の読み方
仕事では、まず帳簿、連絡、判断を真実にします。関係では、危機の中でこそ相手を欺きません。訴訟や危機処理では、巧い弁解より信を守ることが重くなります。健康では、病状を隠さず、乱れた治療に走りません。
坎卦の第一歩は、心を穏やかに保ち、事実をありのままに言うところに置かれます。
彖曰
満ちても溢れず、険を行っても信を失わない。水のその性質が、険を越える力になります。
原文
習坎、重険也。水流而不盈、行険而不失其信。維心亨、乃以剛中也。行有尚、往有功也。天険不可升也、地険山川丘陵也、王公設険以守其国、坎之時用大矣哉!
書き下し文
習坎は、重険なり。水流れて盈たず、険を行きて其の信を失わず。維れ心亨るは、乃ち剛中を以てなり。行けば尚ばるること有るは、往きて功有ればなり。天険は升るべからざるなり、地険は山川丘陵なり、王公険を設けて以て其の国を守る。坎の時用大なるかな。
現代語訳
習坎は重なる険です。水は流れても満ちあふれず、険を行っても信を失いません。心が通るのは剛中だからです。行けば尊ぶべきものがあるのは、往けば功があるからです。天険は登れず、地険は山川丘陵で、王公は険を設けて国を守ります。坎の時の用は大きい。水は絶えず流れます。穴に遇えば入り、満ちればまた出て行きます。
彖伝の読み解き
自分の満ちに驕らず、時に従って流れ、約束されたように増減していく。人が険に処する時も同じです。過度に進まず、途中で絶えず、信を失わずにいられるかどうかが問われます。
順境に処するのはたやすく、逆境を履むのは難しいものです。定識と定力のない人は、険に遇えば退くか、乱れるかのどちらかになります。坎は凶が多く見えますが、同時に険には大きな用があることも示します。天には天険があるので、人は昇れません。地には山川丘陵の険があるので、形勢を守ることができます。王公は険を設けて国家を守ります。険それ自体は歓迎しがたいものですが、時と場所によっては防護、秩序、境界になります。
人事に当てれば、坎は進んでも険、退いても険で、困難に困難が重なります。君子は険の中で心を動かし、性を忍ばせて、かえって徳を成します。小人は険の中で節を失い、自分の身を陥れます。分かれ目は険の有無ではなく、習の有無のほうにあります。平日の訓練、常の徳行、どこを行けてどこを行けないかの判断。そこに差が出ます。
国家にも同じ象があります。上下君臣がみな険に陥り、朝政が乱れ、民の志が騒ぎ、穀麦が実らない。それも一つの坎の世です。上下が信を交わし、乱を撥ね難を靖めれば、険は越えられます。道を失って妄動すれば、険はさらに深まります。
実際の読み方
坎を読む時は、これは外から来た険なのか、自分が道を失って作った険なのかを分けます。防線として使える険なのか、埋めるべき穴なのかも見ます。自分に信、習熟、同伴、守中があるかを問います。
坎を通すのは、勇気だけの突破ではありません。信と、習と、守中と、知険です。
象曰
危険が重なる時ほど普段の徳を崩さず、教えと手順を繰り返し習わせておきます。
原文
水洊至、習坎、君子以常徳行、習教事。
書き下し文
水洊りに至るは習坎なり。君子以て徳行を常にし、教事を習う。
現代語訳
水が重なって至るのが習坎です。君子はこれを見て、徳行を常にし、教えと事を習います。
象伝の読み解き
洊は、水が続いて来ることです。水は一度来て終わらず、波に次いで波が来ます。険も同じで、一つの関門を越えたら終わりとは限りません。一つの問題が、次の問題を呼び込みます。
君子はこの象から二つを学びます。常徳行と習教事です。常徳行は、危険を理由に節を変えず、徳行を一貫させることです。習教事は、教化、訓練、制度、非常時の手順を反復して練ることを指します。事故が起きてから考え始めるのでは間に合いません。
内卦の三爻は己に属するので修己、外卦の三爻は人に属するので教人と分けられます。まず自分の心性を険の中でも穏やかに保ち、それから人に必要な規則、訓練、協力を習わせる。そうして初めて、重険に遇っても一群が同時に慌てる事態を防げます。
実際の読み方
チームでは、演習、予案、事後点検をします。家庭では、安全の規則と連絡の習慣を平日に作ります。修身では、難しい時ほど常の徳を守り、険の中で顔を変えません。教育では、理屈を一度話して終わりにせず、使えるようになるまで繰り返し練ります。
坎の訓練は、危険が来た時の心の余裕を作ります。
占断
険難が繰り返す時です。信を守り、防ぎを設け、訓練どおりに動いて通り抜けます。
総合的な占意
現実では、反復する圧力、連続する危機、一度で解けない問題として出やすい卦です。賭けに出るのはよくありません。かといって、恐れに縛られて動けなくなるのも違います。険の位置を確かめ、安全の境界を作り、真実の連絡を保ち、訓練した通りに動きます。
項目別の占断
- 戦い:敵兵がしばしば侵す勢いがあります。常に防備し、安易に険へ入りません。
- 功名と経営:功名は一歩ずつ昇るもので、一足飛びは望めません。財は流水のように入り得ますが、正しい流通の道を守ります。
- 家宅:家の外の北方に穴や泉流があることがあり、近隣の工事の影響にも注意します。
- 病:水瀉など長引く病を防ぎ、継続して治療と調養を行います。
- 婚姻と妊産:親族のあいだで縁が重なる象があります。妊産は、古い断だと男子に見ます。
- 現代での応用:反復する圧力や連続する危機では、険所を見定め、境界を設け、正直に連絡し、訓練どおりに動きます。
六爻の要点
- 初六:険中でさらに深く入らず、直ちに止まって援助を求めます。
- 九二:険中ではまず小さな成果を求め、それで局面を安定させます。
- 六三:進退ともに危うい時は突破を急がず、止まって深い穴を避けます。
- 六四:簡素で誠実な意思疎通が、険中に道を開きます。
- 九五:危険が収まりかけても満杯を求めず、均衡を保てば足ります。
- 上六:険に慣れて改めなければ、縄で縛られて茨の囲いに置かれ、三年も脱することができず凶です。
実際の読み方
危機処理では、まず止血し、次に状況を明らかにし、それから動きます。投資では、底の見えない穴に踏み込みません。関係では、隠し事も試し行為もしません。健康では、長引く病を段階的に治します。
坎が重なる時にいちばん貴いのは、心を乱さず、道を見失わずにいられることです。
初爻
険に入ったばかりで、さらに深い穴へ落ちる形です。妄動を止めて援けを確保します。
原文
初六:習坎、入于坎窞、凶。
書き下し文
初六、習坎、坎窞に入る、凶なり。
現代語訳
重なる坎です。さらに深い穴へ入ります。凶です。
爻辞の読み解き
窞は、穴の中にあるさらに小さく深い穴を指します。初六は坎卦の最下にあり、はじめて険地へ入るところです。本来、険に習うのは険を脱するためですが、初六は習ってもまだ精しくなく、一つの穴からさらに深い穴へ落ちます。
ここで高島は列子を引きます。河辺に住む人は水性に慣れ、善く泳ぐ者は溺れにくい。初六の難点は、険に触れた経験がないことではありません。触れたのに、本当のところを学べていないのです。だから失道して凶となります。救おうとしてさらに沈み、資金を回そうとしてさらに損し、医を求めてかえって危うくなる形です。
実際の読み方
戦いでは、伏兵を設けたつもりが反対に敵の計に落ちることを防ぎます。功名では、幸運頼みで名を求めるとかえって辱めを受けます。売買では、他所へ転じても市場がさらに悪い恐れがあります。病では、医師が法を失えばいっそう危うくなります。婚姻は詐りを防ぎ、正しい媒酌によらない縁に注意します。妊産は難産を防ぎます。
高島の占例
友人が気運を占って初六を得たことがあります。坎は水であり溝瀆であって、初爻は水に入ったばかりで深浅を知らない所だ、と高島は断じました。目下は不利なので、道を守るほかありません。もし道を失って妄動すれば、さらに深く陥ります。爻位から、九五の坎不盈、祗既平の時になってようやく平復すると読み、後にその通りになりました。
二爻
険はまだ解けていません。中を守って現実的に求めるなら、小さな得は手に入ります。
原文
九二:坎有険、求小得。
書き下し文
九二、坎に険有り、求めて小しく得。
現代語訳
坎に険があります。求めれば少し得ます。
爻辞の読み解き
九二の一陽は二陰の中に陥り、前後左右がみな険です。外からの援けもなく、すぐに坎を出ることはできません。それでも内に真実と忍耐があり、険の中でも一点の中定を守れます。ですから求め続ければ、少なくとも小得はあります。
この爻の勘所は、期待の置き方にあります。険はまだ解除されておらず、大成とは言えません。それでも、まったく得がないわけでもないのです。困難のなかで、一人の顧客、一つの小利、一つの小勝、一段の病状改善を得る。それも立派な小得です。小得を取るのは自分を小さく見積もることではなく、険中で妥当な段階成果を確保することにほかなりません。
実際の読み方
戦いでは、隧道を通じて敵営を襲うような小勝はありますが、大捷とは限りません。商業では小利を謀り、大きく貪りません。功名は小試のほうに利があります。家宅では外の河岸や土手が崩れやすく、修理が必要です。病は治療に小効がありますが、すぐ全快は期しません。妊産は男を得る象があります。
高島の占例
東京のある富商が店運を占い、九二を得たことがあります。本店も支店も同じく険に遭い、商運は一時衰微して、動けば損が出ます。これは誰か一人の過失ではなく気運がそうなのだ、と高島は読みました。代理で占った人が店務に心を尽くし、偏私なく全力で経営すれば、大利はなくても必ず小得があると告げ、後にその通りになりました。
三爻
来るも険、往くも険。ここは動かずに枕して止まり、息をついて援けを待ちます。
原文
六三:来之坎坎、険且枕、入于坎窞、勿用。
書き下し文
六三、来るも之くも坎坎たり、険にして且つ枕す、坎窞に入る、用うる勿かれ。
現代語訳
来ても行っても坎です。険で、しばらく枕して止まります。深い穴に入ります。用いてはいけません。
爻辞の読み解き
来るも険、往くも険で、前後左右に坎があります。枕は、止まって一息つく意味に取れます。すでに険を踏んでいるのですから、まず止まり、休み、強く動かずにいます。止まれなければ、さらに深い窞へ落ちます。
六三は才が弱いのに志だけが強く、二つの坎の間にあって応援もありません。進退とも阻まれている時に無理に争っても、功は挙がりません。しばらく守って変を待つほうが、さらに深く陥ることを防げます。枕を治水の堤防や川の祭りとして読む説もあります。ただ水を押さえるばかりで水性に順わなければ、勢いはかえって猛くなり、功はない、という見方です。
実際の読み方
戦いでは、営塁の四方が険に臨むような形で、守って援けを待ちます。海運や貿易では、船が阻まれたら港に入りしばらく守ります。功名は当面困厄で功がなく、晩成を望みます。家宅は水法が乱れているので、北方の坑を埋めるとよいでしょう。婚姻は男家から求めても成りにくいところです。妊産は、古い例では男子と読みます。
高島の占例
占例1
ある人が気運を占って六三を得たときは、前進も険、後退も険で、一時は厄運を脱し難いところでした。困窮のなかで自守し、後運を待つべきだという答えでした。
占例2
明治三十年の外交を占ったときも同じ爻で、日本は四面が海であり、外国船の往来によってどこも坎険になると見ています。この時は内防を厳しくし、枕戈して待つのがよく、妄りに外との衝突を開けばいっそう難しくなります。後に政府は海陸軍を拡張し、砲台を築き、爻象に合いました。
四爻
豪華な礼より、瓦の器に載せた誠意です。窓から通した約束が、終わりの咎を消します。
原文
六四:樽酒簋弐、用缶、納約自牖、終無咎。
書き下し文
六四、樽酒簋弐、缶を用う、約を納るるに牖よりす、終に咎なし。
現代語訳
一樽の酒と二つの簋を供え、瓦の器を用います。約束を窓から入れます。最後には咎がありません。
爻辞の読み解き
樽は酒器、簋は黍稷を盛る器、缶は素朴な瓦器です。供える礼は質素ですが、そこに誠意があり、節約があり、通じる道があります。牖は窓のことです。納約自牖とは、危険の中で、明るく通じる小さな窓から信と約束を差し入れるような象です。
六四は重険で恐れの多い位置にあり、本来なら禍を招きやすいところです。それでも簡素な礼と真実の心、そして上位とのつながりによって、最後には大過を免れます。君臣、上下、内外が危険のなかで交わる象です。大きな儀礼や飾りを整えるのではなく、最も実際的な食糧と礼意と信約を、必要な相手へ届ける。それが六四です。
実際の読み方
戦いでは兵糧が要点で、補給を密かに運び、敵の略奪を防ぎます。経営では坎を酒と見て、酒造、飲食、液体に関わる仕事に応じることがあります。功名では、宴に賓客を楽しませるような喜びがあります。病では、誠心の祈りと実際の調養を合わせます。婚姻はおおむね吉です。
高島の占例
占例1
ある縉紳の気運を見たときに出たのが、この六四でした。飲食を倹約し礼を守る人だから、険地にあっても過ちを免れる、という読みでした。四は五に近く、君臣相得る象もあります。
占例2
日本と韓国の交際を占ったときは、韓国は小国で弱く、各国がこれを窺うと見ました。納約自牖は、密かに食品を送るような象です。後に韓国国王がロシア公使館へ逃れる事件が起こり、一時難に遭って後に復位しました。
五爻
水はまだ満ちず、平らへ近づいています。満杯を求めなければ、咎はありません。
原文
九五:坎不盈、祗既平、無咎。
書き下し文
九五、坎盈たず、祗に既に平らかなり、咎なし。
現代語訳
坎はまだ満ちません。すでに平らなところに近づきます。咎はありません。
爻辞の読み解き
水は坑の中にありますが、まだ氾濫するほど満ちていません。すでに平らかに近づいています。水の徳は平らなところにあります。平らであれば険は険でなくなり、満ちすぎれば横へ流れ、決壊して災いになります。九五は坎の中で最もよく険に処する爻で、満ちを求めません。
坎不盈は、険の中で覚えておくべき節度を示します。一時の得勢で驕らない。小利で貪らない。水位を限界まで押し上げない。坎険はもともと美事ではありませんから、九五も大吉とまでは言えず、大過を免れる程度です。それでも険の中で平を得られるなら、それはたいへん貴いことです。
実際の読み方
戦いでは、主将が功に驕って将兵に不満を抱かせることを最も忌みます。売買では意外な暴利を貪らず、物価を平らかに見て、久遠を計るのが善商です。功名は、大きな名位まで届かなくても保てます。時運は、謙は益を受け、満は損を招くと読みます。家宅は外に清浅の水と平坡があり、安らかな景です。婚姻は両家の門戸が相当し吉です。
高島の占例
商人の一人が気運を尋ね、九五を得ました。坎は困難の卦で、過去は辛苦が多かったけれども、今は次第に平和へ向かい、その後は盛運へ交わる、と高島は読みました。爻辞の坎不盈、祗既平は、険から平へ、労苦から安定へ移る象で、後にその通りになりました。
上爻
失道が習慣になれば、縄と茨で長く縛るほかありません。三年を要する凶です。
原文
上六:係用徽纆、寘于叢棘、三歳不得、凶。
書き下し文
上六、係ぐに徽纆を用い、叢棘に寘く、三歳まで得ず、凶なり。
現代語訳
縄で縛り、棘の中に置きます。三年たっても得られません。凶です。
爻辞の読み解き
徽纆は縄、叢棘は獄壁や刑獄の象です。上六は坎険の尽きる所にあります。ここまで来てなお悔いないなら、はじめて誤って入ったのではなく、失道が習慣になっています。言葉だけでは足りず、法で拘束するほかありません。
坎を罪、獄、叢棘と見るのが高島の取り方です。初六の失道は、まだ世故を知らなかったとも言えます。上六の失道は、険に狎れてそれを常としているので、道理で説くだけでは改まりません。三年得ずとは、長く拘束して悔改の時を与えるという意味です。聖人が悪を懲らす時、始めは厳しくても、最後には過ちを悔いて善へ移ることを望みます。人を軽く捨てるための罰ではありません。立ち返る時を与えるための拘束です。
実際の読み方
戦いでは、兵を疲れさせて遠征し、長く帰れないことを防ぎます。経営では、蚕糸の買い付けなど、三年後に利を見ることがあります。功名では、意外な災いや牢獄の事を防ぎます。婚姻は赤い糸で足を結ばれるような縁はあっても、良縁はまだ来ず、時を待ちます。妊産は、子を得るのが遅くなります。家宅は荒れて藤蔓の多い家なら修理が要り、前の住人には不利でも後の住人には吉となることがあります。
高島の占例
占例1
秩父郡の暴徒蜂起を占って上六を得たことがあります。教化に従わない以上は刑法で治めるほかなく、縄で拘し、刑獄に置いて悔いを知らしめる、というのが高島の読みでした。後の政府処分はこの意に外れませんでした。
占例2
ロシア、フランス、ドイツ三国の遼東還付干渉を占ったときも同じ爻で、上六が卦の外にあることから外国の陰謀を示すと見ています。三国は清国保護を名として実は自利を謀り、後に各強国は要地を借り、鉄道を築き、鉱山を取り、失道が明らかになりました。
坎為水:読みの覚え
坎為水は、危険が重なる卦です。険を避けられない時、心の信と日ごろの訓練だけが、通り抜ける力になります。
恐れの中で手順を守る
坎では、恐れを消すことより、恐れの中で手順を守れるかどうかが問われます。水のように満ちても驕らず、穴の形を知ってから進みます。 危機のさなかに決めておくのは、安全確認、連絡、記録、支払い、治療、避難といった順番です。怖いからこそ、手順を省きません。
同じ穴へ戻らないために
同じ危険を繰り返しているなら、運の悪さだけが理由とは限りません。この卦は危険そのものより、危険への入り方の癖を見ます。秘密を抱える、焦る、確認を飛ばす、助けを呼ばない。そうした癖が、同じ穴へ人を戻します。 隠し事は出口を狭くし、即興の判断は穴の形を見失わせます。必要な相手へ早く知らせ、記録を残し、単独で決める場面を減らすことが、そのまま習坎の習になります。
蹇と解のあいだで
水山蹇とあわせると、坎はすでに険の中にいる状態、蹇は前路が塞がれている状態であり、坎では心を守って険を越え、蹇では止まって助けを求める違いが分かります。雷水解とあわせれば、坎が険を通る時、解が険の後に結び目をほどく時であり、坎中で乱れないことが解の軽やかさにつながると見えてきます。
坎為水:読みの覚え札記を開く
坎為水は、危険が重なる卦です。険を避けられない時、心の信と日ごろの訓練だけが、通り抜ける力になります。
恐れの中で手順を守る
坎では、恐れを消すことより、恐れの中で手順を守れるかどうかが問われます。水のように満ちても驕らず、穴の形を知ってから進みます。 危機のさなかに決めておくのは、安全確認、連絡、記録、支払い、治療、避難といった順番です。怖いからこそ、手順を省きません。
同じ穴へ戻らないために
同じ危険を繰り返しているなら、運の悪さだけが理由とは限りません。この卦は危険そのものより、危険への入り方の癖を見ます。秘密を抱える、焦る、確認を飛ばす、助けを呼ばない。そうした癖が、同じ穴へ人を戻します。 隠し事は出口を狭くし、即興の判断は穴の形を見失わせます。必要な相手へ早く知らせ、記録を残し、単独で決める場面を減らすことが、そのまま習坎の習になります。
蹇と解のあいだで
水山蹇とあわせると、坎はすでに険の中にいる状態、蹇は前路が塞がれている状態であり、坎では心を守って険を越え、蹇では止まって助けを求める違いが分かります。雷水解とあわせれば、坎が険を通る時、解が険の後に結び目をほどく時であり、坎中で乱れないことが解の軽やかさにつながると見えてきます。
この卦を読む前に
本卦、動爻、問いを照らす
卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。
関連記事
本卦の問い
危険の最中です。まず何から手をつけますか。
心を静めて、事実をそのまま言うところからです。帳簿も連絡も病状も、隠した分だけ穴が深くなります。信さえ保てれば、判断は塞がりません。
同じ失敗を何度も繰り返しています。運が悪いだけでしょうか。
初六と上六の差がそこにあります。一度目は不慣れでも、繰り返すのは入り方の癖が直っていないからです。何を省いて穴へ入ったのかを、具体的に書き出します。
小さな成果しか出ません。それでも意味がありますか。
九二が求めよ少し得ると言うのは、まさにその段階です。険が解けていない間は、一つの契約、一段の回復で十分な前進になります。大成を急ぐほど深みへ落ちます。
危険の最中です。まず何から手をつけますか。開く
心を静めて、事実をそのまま言うところからです。帳簿も連絡も病状も、隠した分だけ穴が深くなります。信さえ保てれば、判断は塞がりません。
同じ失敗を何度も繰り返しています。運が悪いだけでしょうか。開く
初六と上六の差がそこにあります。一度目は不慣れでも、繰り返すのは入り方の癖が直っていないからです。何を省いて穴へ入ったのかを、具体的に書き出します。
小さな成果しか出ません。それでも意味がありますか。開く
九二が求めよ少し得ると言うのは、まさにその段階です。険が解けていない間は、一つの契約、一段の回復で十分な前進になります。大成を急ぐほど深みへ落ちます。
本ページの現代語訳は gaodaoyijing.com が独自に整理・翻訳したものです。© 2026 gaodaoyijing.com。無断転載、複製、機械的な大量取得、商用データベースでの利用を禁じます。