六十四卦 意味・読み方
地沢臨|意味・卦辞爻辞解説(ちたくりん)
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。
引
地沢臨は、近づいて責任を持つ卦です。上が下へ臨み、強いものが弱いものへ臨み、事が目の前へ来ます。成長の勢いと、後の衰えへの警戒が同時にあります。
卦象と卦名
臨は上が坤地、下が兌沢。地が沢の上にあり、上位者が下位者へ近づくような形です。また大地が沢の水を容れ保つ象でもあります。臨とは、教え、養い、監督し、保護しながら、責任をもって近づくことを言います。上から圧しつける態度とは、方向がまるで逆になります。臨の一字には、君が臣民に臨むこと、賢否を見分けること、人才を器に応じて用いること、監守することまでが含まれています。
卦の中心的な意味
卦の下には二つの陽があり、上には四つの陰。下から陽気がしだいに伸び、陰は退き始めています。だから臨には、好機が近づく、責任が来る、上級者や貴人、顧客が近づく、事が門前に来るという読みがあります。しかし卦辞は同時に「八月に至れば凶あり」と言います。勢いが伸びている時ほど、後の転衰を思う必要があります。
向いている問い
仕事では、機会が近づきます。上司、顧客、責任、案件が目の前に来たら、逃げずに現場へ臨みます。管理では、命令を下すだけでなく、教え、訓練し、支えます。家庭では、親や年長者が子どもや若い人に近づき、話を聞き、保ちます。営業や商売では、来た流れを受けますが、周期反転に備えます。臨を得た時は、まず今近づいているものを受け止めます。そのうえで順調なうちに、制度、引き継ぎ、資金、体力といった次の備えを整えます。春のうちに秋を思うのが臨です。
卦辞
勢いが伸びて機会が目の前に来る時ほど、盛りの後の衰えを先に備えます。
原文
臨:元亨。利貞。至于八月有凶。
書き下し文
臨は元いに亨る。貞しきに利あり。八月に至れば凶有り。
現代語訳
臨は大きく通り、正しく守ることが利です。ただし八月に至れば凶があります。
卦辞の読み解き
今は成長して通じる時です。それでも卦辞は、盛りが極まった後の衰えを先に警戒せよと言います。臨には坤の順、兌の悦があり、陽気が下から伸びているので、元亨利貞の道があります。高島の読みでは、臨は二月の卦にあたります。二月は陽気がまさに長じる時です。しかし八月になると陽は消え、陰が長じていきます。凶の道は、盛りの後に伏しています。
「至」は、まだ至らないうちに先に防ぐという意味です。「有」は、まだ現れないうちに先に慮ることを言います。凶が実際に目の前へ来てから避けようとしても遅すぎます。臨は、好調の時にこそ衰えを読む卦です。
実際の読み方
事業では、今は成長できます。しかし退路、資金、後継、次の商品、契約の更新を先に用意します。商売では、市況がよい時ほど周期反転を見ます。関係では、親近が強い時ほど礼と正を守り、過熱を避けます。管理では、人心が順っているうちに制度を作ります。臨を見て「吉」とだけ言うのでは半分です。前半には成長、接近、感応、得人があり、後半には盛極必消と防微杜漸があります。この二つを一緒に読むところが臨の眼目になります。
彖曰
下から伸びる力が順に応じる時は大きく通りますが、伸びるものはやがて消えると知って備えます。
原文
臨、剛浸而長。説而順、剛中而応、大亨以正、天之道也。至于八月有凶、消不久也。
書き下し文
臨は、剛浸して長ず。説びて順い、剛中にして応じ、大いに亨りて以て正しきは、天の道なり。八月に至れば凶有りとは、消して久しからざるなり。
現代語訳
臨は、剛が少しずつ長じることです。喜んで順い、剛が中を得て応じます。大きく通り正しいのは天の道です。八月に至れば凶があるとは、消える時が遠くないからです。
彖伝の読み解き
下から新しい力が伸び、上下が応じる時は通ります。ただし消長の理を忘れてはいけません。剛とは下の初九、九二の二陽を指します。浸は、じわじわ伸びていく様子です。内卦の兌は悦び、外卦の坤は順いです。九二は剛中で、六五の柔中に応じます。ここに剛柔が助け合う形があります。
剛がしだいに長じる時、君子は天に応じて行うことができます。しかし剛がやがて消え始める時のことも、先に戒めておかなければなりません。これが陰陽消長の天道です。
実際の読み方
人事では、強さと柔らかさを配します。強硬だけなら人を圧し、柔順だけなら守りを失います。組織では、下から新しい力が伸びています。上にいる人は、それを恐れるのではなく、容れ、任用し、正しい道へ導きます。個人では、才気が伸びる時ほど正を守ります。寒くなる前に衣を考え、飢える前に食を考える。臨の備えはその調子です。悪が現れる前に自ら点検し、邪が盛んになる前に防ぎます。臨の「八月有凶」は、まさに吉の中の予防です。
象曰
人に臨むとは支配することでしょうか。尽きない教えと限りない保護をもって近づくのが臨です。
原文
沢上有地、臨、君子以教思無窮、容保民無疆。
書き下し文
沢上に地有るは臨なり。君子以て教思窮まりなく、民を容れ保つこと疆りなし。
現代語訳
沢の上に地があるのが臨です。君子はこれを見て、教える思いを尽きなくし、民を容れて保つことに限りを置きません。
象伝の読み解き
上に立つ者は下へ近づく時、教えと保護を惜しんではいけません。地は高く、沢は低いので、上が下へ臨む象です。しかし地が沢に臨むのは、水を奪うためではありません。水を容れ、保ち、潤いを受け止めます。臨下の道は、教と養の二字に尽きます。
兌にあるのは悦びです。教えるには、人が心から心服するような道が要ります。坤には順いと承載があります。養うには、多くの人を載せて保つ厚さが必要です。教えに思いがあり、容れて保つ量がある時、臨は圧迫ではなく徳になります。
実際の読み方
リーダーは、命令だけを下しません。人を教え、守り、成長させます。親や師は、子や学生に近づき、実際の状態を見ます。会社では、研修、制度、安全感、相談窓口、現場訪問を通じて人に臨みます。地域や国家では、下情を上へ通し、報告書だけで民を見た気になりません。顔を出すだけ、甘い言葉をかけるだけでは、本当の臨とは呼べません。長く教え、長く容れ、相手が自分から受ける影響の結果まで引き受けます。
占断
臨を得た時は、運がしだいに長じ、貴人や案件が近づき、商流が通り、家業が盛んになります。ただし引き延ばし、甘言、盛極の衰えを防ぎます。
総合的な占意
臨の総占は、近づいてくる好機、人、責任をどう受け、盛りの後まで保てるかを見ます。
項目別の占断
- 時運・事業:好運が伸び、機会と責任が近づいています。今受け取りながら、盛りの後も考えます。
- 商業・財運:貨物の流通と販売地に利があり、利益は厚く遠く及びます。協力や契約は好機を逃しません。
- 家宅・婚姻:家は水沢に近いことがあり、家業、財、人が盛んです。二姓は和合して長く栄えます。
- 戦争・統治:水辺の布陣に利があり、一時の勝利だけでなく、徳による帰服を目指します。
- 健康・訴訟:病は命を保つ象でも長引きやすく、訴訟も長期化に備えます。
- 失物・妊産:失物は川岸を探します。妊産は、旧来の占では女児にあたります。
六爻の要点
- 初九:正道によって感じて臨み、新しい機会へ誠実に近づくので吉です。
- 九二:中道によって広く感応し、私的な相手だけに偏らないため吉で無不利です。
- 六三:甘言で人を悦ばせるだけでは利がなく、早く憂えて改めれば無咎です。
- 六四:本当に事へ親しく臨み、正しい位置から実行するので無咎です。
- 六五:知によって臨み、人を知って任せ、自分で抱え込まない大君の宜です。
- 上六:敦厚をもって臨の終わりを収め、末段でも厚道を守って吉です。
実際の読み方
案件なら機会が近づいています。営業や販売では、流通と販路に利があります。住宅では水辺や地勢を見ます。協力や契約は、よい時を逃さず結びます。病や訴訟では長期化に備え、計画と忍耐が要ります。臨は、上が近づくことでもあり、事がこちらへ近づくことでもあります。近づいて来たものをどう受けるか。そして近づいた後にどう責任を持つか。ここが問われます。
初爻
互いに感じ合って近づく始まりです。正を守れば、その一歩は吉になります。
原文
初九:咸臨、貞吉。
書き下し文
初九、咸じて臨む、貞にして吉なり。
現代語訳
感じて臨みます。正しければ吉です。
爻辞の読み解き
互いに感じ合って近づく時も、正しさを守れば吉になります。初九は陽気が初めて長じる爻で、六四と応じます。咸は感で、互いの気が通うことを示します。初九は剛で正を得ており、六四は柔で位を得ています。それぞれが正を守るため、相感して進み、上位の治理を助けられます。臨の始まりで最も大切なのは正しさです。最初から正しければ、後の臨は圧迫にも迎合にもなりません。
実際の読み方
時運は新しく交わり、正を守れば利があります。商業では、新しい商品が出て市価も平正、運ぶに利があります。家宅は忠厚中正の家で、吉事が近づきます。戦いでは初めて敵に臨み、大道から進むのがよいです。病は初起なら正気があり速く癒えます。婚嫁は家格と品行が合います。
高島の占例
ある友人の気運占で高島は初九を得ました。四爻には貴顕の象があるが、まだ力が足りず、来占者も初めて会う段階で急いで事を望むべきではない。翌年、九二の咸臨の時を待てばよいと読みました。初九は、近づき始めた時ほど、急がず正感を育てる爻です。
二爻
中正の力で人と感応して臨むなら、吉で不利はありません。
原文
九二:咸臨、吉無不利。
書き下し文
九二、咸じて臨む、吉にして利あらざるなし。
現代語訳
感じて臨みます。吉で、利のないものはありません。
爻辞の読み解き
中を得た力で上と感応して近づくなら、吉で何事にも利があります。九二は臨卦を成す主で、剛でありながら中を得て、六五の柔中の君に応じます。初九は正によって感じ、九二は中によって感じます。だから爻辞は特に「吉、無不利」と讃えます。とはいえ九二はまだ下位にあり、任官や任用の浅い段階にあります。衆陰のすべてが服しているとは限りません。上位者がその才徳を感じ取り、時に応じて用いることが重要です。
実際の読み方
時運はよく、貴人の照応があって大吉です。商業では、初回が吉で、二度目はさらに利があります。家宅は福星が臨み、前後とも吉です。戦いでは再び進めば吉ですが、部下の不服に注意します。婚嫁には利があります。訴訟は敗れませんが、すぐ順には進まないこともあります。
高島の占例
占例1
ある人が貴顕の気運を占って九二が復へ変わる爻を得た時、高島はその年を大吉と判断しました。
占例2
金原明善が孫娘の縁組を問うた時、高島は、老母と少女が相臨する象、二五相応の婿入りの象から、速やかに婚姻を成すべきで、時を逃せば三四爻の不利へ移ると読みました。九二は、よい時機を遅らせず受ける爻です。
三爻
甘い言葉で人を喜ばせるだけの臨み方は利がなく、気づいて改めてこそ咎を免れます。
原文
六三:甘臨、無攸利。既憂之、無咎。
書き下し文
六三、甘んじて臨む、利ろしき攸なし。既に之を憂うれば、咎なし。
現代語訳
甘く臨みます。利するところはありません。すでにこれを憂えるなら、咎はありません。
爻辞の読み解き
甘言で人に近づくだけでは利がありません。それを憂えて改めれば、過ちはありません。甘は人が好む味を言います。そこから、悦ばせる、取り入る、甘言で近づくという意味が出ます。六三は陰で陽位にいて、中正を失っています。徳で人に臨むことができず、甘い言葉や巧みな態度で人に媚びようとします。
言葉が甘くても位置が正しくなければ、何の利にもなりません。ただし自分の臨み方が正しくないと知り、恐れ、反邪帰正できれば、咎は長く残りません。
実際の読み方
時運はよくなく、行いも正しくないが、改めれば後運を望めます。商業では、立地や基盤が悪く、甘味や糖業のような象を除けば利が薄いでしょう。家宅は運が悪く、移転が吉になる場合があります。戦いでは営地が悪く、移営がよいでしょう。病では薬が合わず、苦辛の薬を用いる必要があります。婚姻には不合があります。
高島の占例
横浜の沼地を安く買い、後に高く担保へ売って大きな利を得た商人の占で、高島は六三を得ました。一時の利で驕り、甘言や機巧で家政を専らにする象を見て、改めれば咎を免れると読みました。六三は、甘い臨み方ほど早く変質すると教えます。
四爻
人や事実に近づく時は、姿を見せるだけでなく、誠をもって深く至ることが大切です。
原文
六四:至臨、無咎。
書き下し文
六四、至りて臨む、咎なし。
現代語訳
至って臨みます。咎はありません。
爻辞の読み解き
遠くから眺めるだけでなく実際に近づき、誠をもって臨めば過ちはありません。六四は君位に近く、柔順で正を得ています。才志はそれほど強くなくても、地位の上下を忘れ、下の初九の剛正の賢に応じます。尊賢尚徳の心が深く、情意が懇ろに至るので至臨と言います。大臣に善を好む誠があり、自分を誇らず満ち足りもせず、至誠で賢者に感応して国事を共に謀る。至臨とは、そこまでの近づき方を指します。
実際の読み方
時運では、よい運がすでに来て、位置も当を得ます。商業では、販売・輸送が時を得て、行くところに利があります。家宅では宅位がよく、家業が興ります。戦いでは、時機が来て敵に臨み勝てます。病は危篤に至っても大患を残さない可能性があります。婚姻は相互に喜び、家格も合います。行人はすぐ至り、失物もすぐ得ます。
高島の占例
ある貴顕の気運占で高島は六四を得ました。内卦兌は口、外卦坤は衆であり、世論を聞き民情を量ってから臨事する象と見ました。四爻は柔中の徳で下の剛正に応じ、勢を忘れて賢に礼する至誠があります。六四は、本当に近づくとは、姿を見せることではなく、真実を聞くことだと教えます。
五爻
上に立つ人の知恵は、自分で抱え込まず賢者を知って任せるところにあります。
原文
六五:知臨、大君之宜、吉。
書き下し文
六五、知を以て臨む、大君の宜なり、吉なり。
現代語訳
知によって臨みます。大君にふさわしく、吉です。
爻辞の読み解き
上に立つ者が人を知り、賢者に任せる知恵で臨むなら吉です。知臨とは、智慧によって臨むことです。一人で天下の広さに臨み、自分の知だけを頼りにするのは不智です。天下の善を取り、天下の事を任せられる人に任せるのが大智です。六五は柔中で尊位にあり、下の九二の剛中の賢臣に応じます。誰が賢いかを知り、その人を任用できます。
舜が大智と称されたのも、好んで問い、近い言葉を察し、天下の知を自分の知にしたからです。六五の知は、独断の賢さというより、善を集める賢さに近いものです。
実際の読み方
時運は時を得て、よい人の助けもあり、事が成りやすいでしょう。商業では、過去と未来を知り、市況を通じて利を得ます。家宅には五福が臨みます。戦いでは、軍心を得て、彼我を知り、勝ちます。病では、良医が病因を知れば癒えます。婚姻は家に宜しく室に宜しい象です。
高島の占例
占例1
明治十二年、高島はある貴顕の気運を六五で占いました。五爻は大君の位で人臣が自ら居るべきでないため、九二をその貴顕と見て、君上に知られて政に臨み、善政の功は君へ帰すべきだと読みました。後にその貴顕が凶暴な者に傷つけられたことからも、「八月有凶」の消長を後学へ戒めました。
占例2
英国商会が日本公債を購入する件を占った時も同じ爻を得て、双方が相臨して利を謀るため契約は成立すると判断し、翌日、四千万円の公債売買が成約しました。
上爻
収束の時は新しい功を争わず、厚い心で人と事を収めるほど吉へ向かいます。
原文
上六:敦臨、吉無咎。
書き下し文
上六、敦く臨む、吉にして咎なし。
現代語訳
厚く臨みます。吉で咎はありません。
爻辞の読み解き
臨の終わりを厚い心で収めれば、吉で過ちはありません。敦は篤く厚いことを言います。上六は臨の最後にあります。卦の上爻は過極になりやすいものですが、この爻は厚道で収めます。志は内卦の二陽にあり、尊を屈して卑に従い、高きを降ろして下へ就きます。礼意が篤いので、吉で咎はありません。熱を上げて近づく臨というより、長く照顧しつづける臨です。
実際の読み方
時運では、好運は尾に近いが、心が忠厚なら過失はありません。商業では内地への販売が吉です。家宅では、世代にわたり忠厚で、内外が整います。戦いでは、兵糧や兵を増し、内地を守ることが第一になります。病では元気を養い、薬なしで喜びがある場合もあります。失物は室内にあり、本当には失っていないことがあります。
高島の占例
ある友人の謀事占で高島は上六を得ました。臨の極で功業はすでに終わり、別に新しい図はない。だから臨の道にさらに敦厚を加えれば事は成ると読みました。上六は、収束期には新局を争わず、厚く守ることが最善だと教えます。
地沢臨:読みの覚え
地沢臨は、近づいて責任を持つ卦です。相手や案件が目の前に来る時、導く力と、やがて来る退潮への備えを同時に読みます。
近づけば責任も増える
臨は上から押さえつける働きではありません。近づいて教え、守り、任せることを指します。距離が縮まるほど相手をよく見ることになり、必要な所まで深く至る責任も生まれます。六四の至臨が言うのは、顔を見せて済ませる近づき方ではなく、実情のところまで踏み込む近づき方です。
盛りのうちに退き時を考える
勢いが伸びる時ほど、八月に至れば凶ありという予告を手放さずにおきます。臨は二月の卦で、陽気が長じる時にあたりますが、消長には期があります。人手も資金も人気も体力も、いつかは退いていきます。盛りのうちに後任、制度、距離の取り方を用意しておくのが臨の備えです。
近づく前に確かめたいこと
- 私は近づく相手を、本当に見ていますか。 - 甘い言葉だけで人を喜ばせていませんか。 - 今の盛りが退く時の備えはありますか。
抱え込まずに任せる
管理職、子育て、顧客対応、支援活動では、距離を縮めるだけでなく、そこから深く至れるかが問われます。上にいる人は自分で抱えすぎず、誰が賢いかを知って任せます。六五の知臨が大君の宜と讃えられるのは、独断の賢さより、善を集める賢さを取るからです。
近づくか、立って示すか
風地観と並べると、臨は人へ近づいて世話をする働き、観は自らを整えて人から見られる手本になる働きだと分かります。先に臨めるかどうかが、後で観られる姿を決めます。地天泰とあわせれば、臨は上下が通じ始める勢い、泰はすでに上下が通じきった状態です。今は一歩前へ出る時なのか、足を止めて位置を確かめる時なのか。三つを並べると見当がつきます。
地沢臨:読みの覚え札記を開く
地沢臨は、近づいて責任を持つ卦です。相手や案件が目の前に来る時、導く力と、やがて来る退潮への備えを同時に読みます。
近づけば責任も増える
臨は上から押さえつける働きではありません。近づいて教え、守り、任せることを指します。距離が縮まるほど相手をよく見ることになり、必要な所まで深く至る責任も生まれます。六四の至臨が言うのは、顔を見せて済ませる近づき方ではなく、実情のところまで踏み込む近づき方です。
盛りのうちに退き時を考える
勢いが伸びる時ほど、八月に至れば凶ありという予告を手放さずにおきます。臨は二月の卦で、陽気が長じる時にあたりますが、消長には期があります。人手も資金も人気も体力も、いつかは退いていきます。盛りのうちに後任、制度、距離の取り方を用意しておくのが臨の備えです。
近づく前に確かめたいこと
- 私は近づく相手を、本当に見ていますか。 - 甘い言葉だけで人を喜ばせていませんか。 - 今の盛りが退く時の備えはありますか。
抱え込まずに任せる
管理職、子育て、顧客対応、支援活動では、距離を縮めるだけでなく、そこから深く至れるかが問われます。上にいる人は自分で抱えすぎず、誰が賢いかを知って任せます。六五の知臨が大君の宜と讃えられるのは、独断の賢さより、善を集める賢さを取るからです。
近づくか、立って示すか
風地観と並べると、臨は人へ近づいて世話をする働き、観は自らを整えて人から見られる手本になる働きだと分かります。先に臨めるかどうかが、後で観られる姿を決めます。地天泰とあわせれば、臨は上下が通じ始める勢い、泰はすでに上下が通じきった状態です。今は一歩前へ出る時なのか、足を止めて位置を確かめる時なのか。三つを並べると見当がつきます。
この卦を読む前に
本卦、動爻、問いを照らす
卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。
関連記事
本卦の問い
臨が出ました。目の前の機会は本物と考えてよいですか。
臨には、人も案件も実際に近づいてくる象があります。ただし機会には期限がついてきます。受け取ると同時に、そこに付いてくる責任と段取りまで引き受けられるかを確かめます。
良かれと思って世話を焼いているのに、相手が窮屈そうにしています。
近づいた後で相手が安心しているか、見張られていると感じているかが分かれ目です。関心という名前で介入が過ぎると、臨は滋養から圧力へ変わります。六三の甘臨は、その手前で甘い言葉に頼り始めた姿を言います。
「八月に至れば凶あり」は、八か月後に必ず何か起きるという意味ですか。
月を数えて事故を予告する言葉ではありません。臨は二月の卦で陽気が長じる時、八月には陽が消えて陰が長じます。消長には期があるのだから、順境のうちに転換の余地を残しておきなさい、という戒めです。
臨が出ました。目の前の機会は本物と考えてよいですか。開く
臨には、人も案件も実際に近づいてくる象があります。ただし機会には期限がついてきます。受け取ると同時に、そこに付いてくる責任と段取りまで引き受けられるかを確かめます。
良かれと思って世話を焼いているのに、相手が窮屈そうにしています。開く
近づいた後で相手が安心しているか、見張られていると感じているかが分かれ目です。関心という名前で介入が過ぎると、臨は滋養から圧力へ変わります。六三の甘臨は、その手前で甘い言葉に頼り始めた姿を言います。
「八月に至れば凶あり」は、八か月後に必ず何か起きるという意味ですか。開く
月を数えて事故を予告する言葉ではありません。臨は二月の卦で陽気が長じる時、八月には陽が消えて陰が長じます。消長には期があるのだから、順境のうちに転換の余地を残しておきなさい、という戒めです。
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