六十四卦

六十四卦 意味・読み方

地山謙|意味・卦辞爻辞解説(ちざんけん)

資料説明周易と高島易断をもとに整理
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本ページは公開資料をもとに、卦辞、彖伝、象伝、占断、爻辞、占例を現代日本語で整理したものです。

引

一言で読む

実力があるのに高く置かない卦です。山は地に隠れ、だからこそ終わりまで保てます。

卦象と卦名

謙は上が坤地、下が艮山です。山は本来、地の上に高くそびえるものです。しかしこの卦では、山が地の中にあります。これは、才、功、位、財がある人が、それを人の上へ誇らず、低いところに置く象です。高島の「謙」は、心がつねに下へ向かい、自満せず、亢らない徳です。自分を屈して物の下に置くのも謙であり、自分を低くして人に従うのも謙です。

卦の中心的な意味

この卦は大有の後に来ます。大きく所有した者は、満ちすぎてはいけません。富、名声、地位、能力を持った後に、なお謙でいられるか。それが大有を保つ方法です。謙は、弱くなることでも、意見をなくすことでも、何でも譲ることでもありません。高いものを自分で低く置き、余ったものを足りないところへ回し、強さを人への圧として使わないことです。

向いている問い

仕事では、有能な人が功を独り占めせず、部下や協力者へ功績を分ける時です。名声を問えば、自慢しないほど長く残ります。家庭では、貢献を理由に人を圧しません。共同事業では、利益、負担、権限を公平に量ります。修身では、力が増した時ほど自分を小さく保ちます。謙卦は六爻に吉が多い卦です。不思議な幸運を呼ぶからではありません。満ちすぎを自分で削り、足りないものを補い、周囲の怨みを減らし、終わりまで続けられる形を作るからです。

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卦辞

一言で読む

実力や功を低く置ける人は、始めだけでなく終わりまで道を保てます。

原文

謙:亨、君子有終。

書き下し文

謙は亨る、君子終わり有り。

現代語訳

謙は通ります。君子は終わりを全うできます。

卦辞の読み解き

謙は低く退くことを義とします。内には艮の止があり、外には坤の順があります。内で止まり、外で順い、高いものを屈して低いところへ置く。だから通じます。小人は少し得るとすぐ満ち、小さな成功を泰と思い、満ちてしまえば結局を保てません。君子は尊くても低く、高くても下り、心を小さくするほど道が大きくなります。

卦辞には「吉」とは明言されません。しかし「有終」の中に吉が含まれています。世の多くの事は、始めは通っても終わりまで通ることが少ないものです。謙は、最後まで保つための徳です。

実際の読み方

事業では、謙は不進を意味しません。低い姿勢で着実に進むことです。名声では、功を自分から誇らず、人が自然に認めるのを待ちます。協力では、譲るところは譲り、相手を尊重し、余地を残すほど成りやすくなります。家庭では、自分の貢献を武器にしません。謙を読む時は、「終わりを保てるか」を見ます。始めに勢いがあることより、有功、有財、有権、有名になった後も、驕らず、満ちすぎず、人を圧しないかが大事です。口だけ謙虚で、心は勝ち負けに燃えているなら、それは謙ではありません。

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彖曰

一言で読む

満ちすぎたものは削られ、低く受けるものは助けられます。だから謙は長く通ります。

原文

謙、亨、天道下済而光明、地道卑而上行。天道虧盈而益謙、地道変盈而流謙、鬼神害盈而福謙、人道悪盈而好謙。謙尊而光、卑而不可逾、君子之終也。

書き下し文

謙は亨る、天道は下り済して光明あり、地道は卑くして上り行く。天道は盈つるを虧きて謙なるに益し、地道は盈つるを変じて謙なるに流し、鬼神は盈つるを害して謙なるに福し、人道は盈つるを悪みて謙なるを好む。謙は尊くして光り、卑くして逾ゆべからず、君子の終わりなり。

現代語訳

謙は通ります。天の道は下へ助けて光明となり、地の道は低くして上へ行きます。天の道は満ちたものを欠けさせ、謙を益します。地の道は満ちたものを変じて謙へ流し、鬼神は満ちたものを害して謙に福を与え、人の道は満ちたものを憎み、謙を好みます。謙は尊くても光り、卑くても越えられません。これが君子の終わりです。

彖伝の読み解き

天は高いのに、その気を下へ降ろして地を助けます。地は低いのに、その気を上へ伸ばして天に交わります。謙は、この上下が助け合う道です。満ちたものが損なわれる例として挙げられるのは、日月の晦明、山川の変化、奸雄の末路、暴富が怨みを集める姿です。満ちきれば、自然も人もそれを削ります。謙とは、外から削られる前に、自分で低くして通路を作る徳です。

実際の読み方

高い位置の人には、下に問い、下を助け、現場に下りることが要ります。低い位置の人は、卑屈にならずに低さで受け止め、上へ伸びる力を持ちます。組織では、上位が圧するだけ、下位が恨むだけなら謙になりません。上下が流通してこそ謙です。

「謙尊にして光り、卑くして逾ゆべからず」という言葉も重要です。尊い人が謙であれば、かえって光が増します。低い人が正しく謙であれば、誰も踏み越えられません。謙は自分を消すことではなく、位置を整えて道を長くすることです。

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象曰

一言で読む

謙は態度だけの話でしょうか。多い所を減らし、少ない所へ補う配分にも現れます。

原文

地中有山、謙、君子以裒多益寡、称物平施。

書き下し文

地中に山有るは謙なり。君子以て多きを裒め寡なきを益し、物を称りて施しを平らかにす。

現代語訳

地の中に山があるのが謙です。君子はこれを見て、多いものを減らし、少ないものを益し、物を量って施しを公平にします。

象伝の読み解き

山は高いのに地の中に含まれ、外からは高さを誇りません。近くから小さな丘を見れば高く見え、遠くから千仞の高山を見れば平らにも見えます。この遠近が要点です。地が山を包む。それが謙です。

君子はここから、分配の道を学びます。多すぎるところから少し削り、足りないところへ補います。物の軽重を量り、相応に施します。謙は態度だけにとどまりません。利益、名声、権限、責任をどう整えるかという実務でもあります。

実際の読み方

資源の多い人は少し譲ります。資源の少ない人には必要な補いをします。リーダーは功績を下の人へ分けます。富家は弱い者を顧みます。共同事業では、出資、労力、危険、信用を量って配分します。家族でも、介護、家計、子育ての負担を公平に見ます。口先で謙虚と言いながら、利益配分が歪んでいれば謙はありません。逆に、多いところを少し削り、少ないところへ回し、強弱を調えて平らにするなら、謙徳は現実のものになります。

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占断

一言で読む

平順、漸進、低くして助けを得ること、そして有終を読みます。争いと取り尽くしを嫌います。

総合的な占意

謙の総占は、低く始め、公平を守り、最後まで成果を保てるかを見ます。単なる遠慮とは違います。

項目別の占断

  • 時運・事業:目下は平順で、一歩ずつ高まります。低く根を張り、公平を守れば終わりを全うできます。
  • 商業・財運:物価は均平で利益は順適、事業を長く保てます。意外の財を貪りません。
  • 家宅・年成:家は山麓に近いことがあり、家道は平順です。風雨が調い、年成は豊凶に偏りません。
  • 戦争・訴訟:まず隊伍と賞罰を整え、必要な時だけ進軍します。訴訟は平和に収め、争いを広げません。
  • 健康・雑占:病は内の鬱を見て、心を広くして調治します。行人は舟で帰り、失物は積土の中を探します。

六爻の要点

  • 初六:謙の上にさらに謙を重ね、低い姿勢で艱難を担い、大川を渡ります。
  • 六二:徳が内に積もって自然に外へ鳴り、正しさを守って吉です。
  • 九三:労して功があっても居らず、謙を最後まで保つ主爻です。
  • 六四:謙を具体的な施策、配分、人の用い方へ発揮します。
  • 六五:富で隣を従わせず、柔の中に必要な剛断を用います。
  • 上六:謙の名は聞こえても志はまだ得られず、まず内部を整えます。

実際の読み方

事業では、まず低い姿勢で根を張ります。共同事業では、公平な分配と余地が大事です。競争では、軽々しく兵を動かさず、まず隊伍と賞罰を整えます。病や心身では、鬱結をほどき、急に攻めず調えます。関係では、一歩退くのは負けというより、長く続けるための通路を開くことです。謙の実占は、勝つことより終わりを保つことを重んじます。今少し譲ることで後の大きな損を避けられるなら、それが謙の吉です。

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初爻

一言で読む

低いところでさらに謙を重ねる人なら、その慎みで大きな危険も渡れます。

原文

初六:謙謙君子、用渉大川、吉。

書き下し文

初六、謙謙たる君子、用て大川を渉る、吉なり。

現代語訳

謙に謙を重ねる君子です。それを用いて大川を渡れば吉です。

爻辞の読み解き

初六は柔で最下にあり、謙卦の初めです。まさに謙の中の謙です。利益を先に言わず、謙の道を用いて険を渡るので、おのずから宜しくなります。江海を渡るような危険は、軽率に急いで進めば失いやすく、寛やかで慎重なら患いが少なくなります。

象伝の「卑くして自ら牧す」は、自分の心を牛馬を牧するように制することです。争って先へ出ようとする心、誇ろうとする心、焦る心を、低く保ちます。

実際の読み方

事業では、低い姿勢で難しい仕事に取りかかれば通ります。商売の初めは、謙虚に慎めば大きな利を得る可能性があります。家宅では、苦労して家を興し、資産を積みます。訴訟では、双方が費やし傷つきやすいので慎みます。

高島の占例

ある県の勧業課長が、種牛購入、畜牧改良、桑園、蚕業、米麦良種の収集で農業を振興したいと問うた時、高島は初六を得ました。上位者が下民のために、貴い身で賤事を謀るのは謙にかなうとし、事業は大きく難しくても、農桑牧畜の泥の中へ自ら下りれば成功すると読みました。初六は、口先だけで終わらせず、身体で下へ行く謙です。

次へ:二爻

二爻

一言で読む

本物の謙徳は宣伝しなくても自然に伝わります。正しく守れば吉になります。

原文

六二:鳴謙、貞吉。

書き下し文

六二、謙を鳴らす、貞にして吉なり。

現代語訳

謙が鳴ります。正しければ吉です。

爻辞の読み解き

六二は柔順中正で、下は九三に比します。六五とは二五の位で向き合いますが、ともに陰なので正応ではなく、位の対応にとどまります。九三の剛に服し、六五の柔に従うことができるので、謙名は遠近へ伝わります。鳴謙は、自分から「私は謙虚です」と言うことではありません。徳が内に積もり、名声が自然に外へ響くのです。

名を求めて謙を装えば、ただの沽名です。名と実が合って、はじめて貞吉になります。謙の声は、自慢の声ではなく、周囲が感じ取って伝える声です。

実際の読み方

時運では名声が起こり、得意があります。商業では利を得ます。家宅では蓄えがあり、外の評判もよくなります。戦いでは鼓を鳴らして直進し、中軍を攻めて勝つという読みがあります。病は心労の過ぎを見ます。功名や試験では、名を得る喜びがあります。

高島の占例

占例1

井田氏の爵賞を友人が願い出ようとした時、高島は六二を得て、功高くして低位にある謙であり、朋友が代わって申し立てるのは鳴謙が上に達する象だと読みました。

占例2

求学の書生にも、虚心に師に従えば名誉が後から自然に出ると読みました。六二は、本物の名声が内から鳴る爻です。

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三爻

一言で読む

大きな功労がある人ほど、その功に居座らなければ、終わりまで吉を保てます。

原文

九三:労謙君子、有終吉。

書き下し文

九三、労して謙する君子、終わり有りて吉なり。

現代語訳

労して謙である君子です。終わりがあり、吉です。

爻辞の読み解き

九三は全卦で唯一の陽で、衆陰の中にいます。多くの陰がこれに順うため、一人が信任され、万民が帰服する象があります。力も功も労もあります。しかし自分で功を伐らず、人に恩を着せず、功績を自分の所有にしません。身が険難にあって、動くたびに恐れを知る。それが労謙です。

労して労を誇らず、功があって功に据わらない。そうであれば、天下にその功を争う者はいません。だから有終吉です。謙卦の主爻であり、もっとも実務的な謙と言えます。

実際の読み方

時運では、長い苦労の後に通達し、老運がさらによいと読みます。商業では、辛苦の経営の後に事業の基盤が成り、長く利を得ます。家宅では、苦労して家を興し、持盈保泰します。病では労弱に注意します。功名では、労績によって登用されます。国家の例で高島が労謙と見るのは、維新の諸侯や臣子が王事に勤労し、封土を奉還し、郡県へ改め、有功でも自ら誇らない姿です。ただし、功ある者が過度に退隠し、国家の召しに応じないと、不平の徒に利用されることもあります。九三は、有功不居はよいが、担うべき時に逃げすぎてもいけないと教えます。

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四爻

一言で読む

謙を心の中だけで終わらせず、用人や制度として施せば、何事にも利があります。

原文

六四:無不利、撝謙。

書き下し文

六四、利あらざるなし、謙を撝う。

現代語訳

利のないものはありません。謙を施し発揮します。

爻辞の読み解き

六四は大臣の位置にあり、上には柔順で謙徳の君、下には労謙で功ある九三がいます。その間に正位でいるので、上に疑われず、下に忌まれません。だから無不利です。「撝」は振るう、施す、発揮するという意味です。謙を心に持つだけで終わらせず、法則にかなって用いる。そこが眼目です。

この爻の謙は、口の柔らかさにはとどまりません。賢者を立てる、功を分ける、権限を委ねる、低い声を聞く、制度を整える。謙が実際の動きになります。

実際の読み方

時運では好運に当たり、万事吉です。商業では、適切な指揮に従えば利がありますが、売買には余地を残します。家宅では、家中が謙和に事を行い順です。戦いでは指揮が意のままに行き、大勝を得ます。病では、表へ散らす治療を考えます。

高島の占例

明治二十二年、ある院の気運を占って高島は六四を得ました。謙卦では九三の一陽が衆の宗となるので、衆賢の集まる場所に、九三のような有功で下にいる人を登用すべきと読みました。撝謙とは、虚心に賢を求め、さらに信任して任用することです。

次へ:五爻

五爻

一言で読む

高位でも富を誇らず隣と同心します。必要な時には境界を守る剛断も用います。

原文

六五:不富、以其隣、利用侵伐、無不利。

書き下し文

六五、富まずして、其の隣を以てす、用て侵伐するに利あり、利あらざるなし。

現代語訳

富まず、隣とともにします。侵伐に用いるのに利があり、利のないものはありません。

爻辞の読み解き

六五は尊位にあり、柔中の徳を持ちます。「不富」は貧しさを言うのではなく、爵位、財、権勢を自慢の富にしないことです。「以其鄰」は、臣隣と心を合わせて治を図ることです。君が謙順で、高さを誇らなければ、人心は帰ります。

ただし謙は、一味の柔和ではありません。柔らかすぎれば、軽んじて服さない者が出ます。そこで「利用侵伐」と言います。柔を剛で済い、威徳をともに明らかにする。そこが要点です。これは好戦ではなく、境界を守る剛です。

実際の読み方

時運では正運にありますが、齟齬があるなら奮い立つ必要があります。商業では、得た利益を他人に取られて揉めないよう手を打ちます。家宅では、よい隣を選び、守望相助を重んじます。婚姻では近隣の縁に利があります。病では、攻めて消す治療を取る場合があります。訴訟では、隣人の証言で理を得ることもあります。

高島の占例

占例1

高島は国家の気運を六五で占いました。維新後の政府が寛厚に人民を養う中、自由を放縦と誤って節制を受けない者もいたため、寛大さの中でも罰すべき者には「猛をもって寛を済う」必要があると読みました。

占例2

台湾施政を占った時も六五を用い、まず寛柔に鎮撫して民情を知るべきだが、凶悍な者がたびたび乱を起こし官吏に抗し、外力が密かに武器を送るなら、姑息にせず兵威を振るう必要があると判断しました。六五が説くのは好戦ではありません。謙徳にも温柔と境界の両方が要ると教えます。

次へ:上爻

上爻

一言で読む

謙が極まっても内が整わないなら、外へ強がらず自分の範囲を整えます。

原文

上六:鳴謙、利用行師、征邑国。

書き下し文

上六、謙を鳴らす、用て師を行るに利あり、邑国を征す。

現代語訳

謙が鳴ります。軍を動かし、邑国を征するのに利があります。

爻辞の読み解き

上六は謙の極みで、再び鳴謙と言います。しかし六二の鳴謙が、誠が中に満ちて自然に外へ響くものだったのに対し、上六は極にいて志がまだ十分に得られず、平らかでないために鳴く面があります。柔が上にあり、柔だけでは物事を収束できません。そこで師を行います。

ただし征するのは「邑国」です。これは自分の範囲内の小国、小集団、内部の不服を指します。大規模に外へ強引に攻めることまでは含みません。謙の最後は、虚名に安んじるのではなく、内側の乱れを整えるところへ向かいます。

実際の読み方

時運では盛りを過ぎ、すぐ得意とは限りません。商業では名はあっても実が薄く、旧業を整える必要があります。家宅では怪しい音や不安を整理し、鎮めます。病では自ら心志を調えます。内部の統制、後継、家内の不服、部署内の混乱に向く爻です。

高島の占例

明治九年のある占で、高島は上六を、有功の大臣が高位を辞し山林に隠れ、天下がその謙徳を称えるが、長く召しに応じず疑わしい跡があれば、朝廷はやむなく声罪して討つ、と読みました。後に西海と東京で事が起こり、天命の畏るべきを感じたと述べています。上六は、退きすぎて内部の不平を生むなら、最後は整頓が必要になると示します。

地山謙:読みの覚え

地山謙は、実力を低く置く卦です。自分を小さく見せる技巧というより、高いものを下げ、足りない所へ補う働きを言います。

功はあっても取り尽くさない

謙の難しさは、自分を貶めもせず、功を争いもしないところにあります。本当に重みのある人は、いつ語気を収め、いつ利を譲り、いつ人の足りない所を補うかを知っています。口では謙と言いながら、行いではどこでも先を取るなら、それは形を変えた驕りです。

収めるものと、収めないもの

- この件で収めるべきは、語気や姿勢ですか。それとも利益の配分ですか。 - いまの私は本当に謙なのか、それとも我慢を物分かりのよさで包んでいるだけでしょうか。 - 実力を見てもらいながら、鋒先で人を傷つけないためには、どうしますか。

低い所の方が長持ちする

昇進、協力、家庭の分担、名声や功労を問えば、謙はたいてい、諦めよとは言いません。事をやり尽くすなと言います。一分を人に残し、一分を退路に残しておけば、功はかえって安定します。

坤為地と雷地豫のあいだ

坤為地と並べると、坤は厚く受け止める働き、謙は高いものが自ら下る働きです。坤は厚い土、謙はその厚い土に入った山にあたります。雷地豫と並べれば、謙は収めさせ、豫は動かせます。謙が過ぎれば滞り、豫が過ぎれば浮つく。謙の位置はちょうど二つの間にあります。厚い底があるから収まり、後ろに奮い立つ力が控えていると分かるから、収めることが止まることになりません。

地山謙:読みの覚え札記を開く

地山謙は、実力を低く置く卦です。自分を小さく見せる技巧というより、高いものを下げ、足りない所へ補う働きを言います。

功はあっても取り尽くさない

謙の難しさは、自分を貶めもせず、功を争いもしないところにあります。本当に重みのある人は、いつ語気を収め、いつ利を譲り、いつ人の足りない所を補うかを知っています。口では謙と言いながら、行いではどこでも先を取るなら、それは形を変えた驕りです。

収めるものと、収めないもの

- この件で収めるべきは、語気や姿勢ですか。それとも利益の配分ですか。 - いまの私は本当に謙なのか、それとも我慢を物分かりのよさで包んでいるだけでしょうか。 - 実力を見てもらいながら、鋒先で人を傷つけないためには、どうしますか。

低い所の方が長持ちする

昇進、協力、家庭の分担、名声や功労を問えば、謙はたいてい、諦めよとは言いません。事をやり尽くすなと言います。一分を人に残し、一分を退路に残しておけば、功はかえって安定します。

坤為地と雷地豫のあいだ

坤為地と並べると、坤は厚く受け止める働き、謙は高いものが自ら下る働きです。坤は厚い土、謙はその厚い土に入った山にあたります。雷地豫と並べれば、謙は収めさせ、豫は動かせます。謙が過ぎれば滞り、豫が過ぎれば浮つく。謙の位置はちょうど二つの間にあります。厚い底があるから収まり、後ろに奮い立つ力が控えていると分かるから、収めることが止まることになりません。

この卦を読む前に

本卦、動爻、問いを照らす

卦は一ページだけで読み切るより、問いの置き方、動いた爻、六十四卦全体の流れと合わせて見ると見え方が落ち着きます。

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本卦の問い

姿勢を低くしたら、なめられませんか。

謙は、ただ引き下がることではありません。実力を持ちながら人を圧さず、功があっても取り尽くさず、位を持ちながら全体を見る。姿勢は低くても、境界はそのまま残ります。

謙と我慢は、どう見分けますか。

謙には自分で選んだという実感と、はっきりした境界があります。我慢は、言えない、求められないという状態です。譲った後に落ち着くなら謙、溜め込んで心が歪むなら我慢です。

仕事のことを謙で占うと、どんな注意がありますか。

成果が出た時ほど、光をすべて自分に集めないことです。功を分け、偏りを補い、頭を下げて働ける人の方が、長い信頼を得ます。

六爻に吉が多い謙で、六五と上六が行師征伐を言うのはなぜですか。

謙が、どこまでも柔らかいだけの徳ではないからです。柔一辺倒では、軽んじて従わない者が出ます。だから六五は剛で柔を済い、上六はまず自分の範囲の不平を整えます。謙には温かさもあり、境界もあります。

姿勢を低くしたら、なめられませんか。開く

謙は、ただ引き下がることではありません。実力を持ちながら人を圧さず、功があっても取り尽くさず、位を持ちながら全体を見る。姿勢は低くても、境界はそのまま残ります。

謙と我慢は、どう見分けますか。開く

謙には自分で選んだという実感と、はっきりした境界があります。我慢は、言えない、求められないという状態です。譲った後に落ち着くなら謙、溜め込んで心が歪むなら我慢です。

仕事のことを謙で占うと、どんな注意がありますか。開く

成果が出た時ほど、光をすべて自分に集めないことです。功を分け、偏りを補い、頭を下げて働ける人の方が、長い信頼を得ます。

六爻に吉が多い謙で、六五と上六が行師征伐を言うのはなぜですか。開く

謙が、どこまでも柔らかいだけの徳ではないからです。柔一辺倒では、軽んじて従わない者が出ます。だから六五は剛で柔を済い、上六はまず自分の範囲の不平を整えます。謙には温かさもあり、境界もあります。